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その翌日、私はいつになく晴れやかな気分で目を覚ました。
鏡の前に立つと、いつもより血色の良い肌をした私がいた。まだ目の下の隈は残っているけれど……
けれど、いつもなら……また殿下に小言を言わなければならないとか、嫌な顔をされるんでしょうね……と気を重たくしなければならなかった。
そんな憂鬱がなくなっただけでも、かなりすっきりとした心地で身支度をすることが出来る。
「……参りましょうか」
私はその日、あるものを持って部屋を出た。
登園をして向かった先は、学園にある王族専用の執務室。
本来は、全生徒の使用可能な部屋を使うべきだけれど……ジェラルド殿下は「一般生徒と混じるのは騒がしい」だなんだと言って、この個室を私物化している。
……つまり、この時間であればここにいるに違いない。
コン、コン。
ノックをした後は、返事を待たずに扉を開ける。
「失礼いたします、ジェラルド殿下」
部屋の中には、優雅に紅茶を啜る婚約者の姿があった。
ソファに深く腰掛けて、手には冊子が持たれているけれど……それも仕事の書類などではなく、娯楽のための雑誌が開かれている。
朝の貴重な時間を、実に優雅に浪費していらっしゃるようだった。
「……なんだ、ヴィクトリアか」
私を見ると殿下はあからさまに眉をひそめた。昨日、ミナ嬢に向けていたあの甘ったるいような笑顔とは大違いね……
「遅かったではないか、何をだらだらとしているんだ」
……だらだらとしているのはあなたでは?
そう思いながら、作り笑顔で机へと近づく。
「昨日の件はどうなった。それに、今日確認しなければならない書類は片づけたんだろうな?まだ机の上に置かれていないようだが……まったく。お前みたいな女にはそれぐらいしか出来ることがないのに、遅れてくるなどとは許さんぞ」
鏡の前に立つと、いつもより血色の良い肌をした私がいた。まだ目の下の隈は残っているけれど……
けれど、いつもなら……また殿下に小言を言わなければならないとか、嫌な顔をされるんでしょうね……と気を重たくしなければならなかった。
そんな憂鬱がなくなっただけでも、かなりすっきりとした心地で身支度をすることが出来る。
「……参りましょうか」
私はその日、あるものを持って部屋を出た。
登園をして向かった先は、学園にある王族専用の執務室。
本来は、全生徒の使用可能な部屋を使うべきだけれど……ジェラルド殿下は「一般生徒と混じるのは騒がしい」だなんだと言って、この個室を私物化している。
……つまり、この時間であればここにいるに違いない。
コン、コン。
ノックをした後は、返事を待たずに扉を開ける。
「失礼いたします、ジェラルド殿下」
部屋の中には、優雅に紅茶を啜る婚約者の姿があった。
ソファに深く腰掛けて、手には冊子が持たれているけれど……それも仕事の書類などではなく、娯楽のための雑誌が開かれている。
朝の貴重な時間を、実に優雅に浪費していらっしゃるようだった。
「……なんだ、ヴィクトリアか」
私を見ると殿下はあからさまに眉をひそめた。昨日、ミナ嬢に向けていたあの甘ったるいような笑顔とは大違いね……
「遅かったではないか、何をだらだらとしているんだ」
……だらだらとしているのはあなたでは?
そう思いながら、作り笑顔で机へと近づく。
「昨日の件はどうなった。それに、今日確認しなければならない書類は片づけたんだろうな?まだ机の上に置かれていないようだが……まったく。お前みたいな女にはそれぐらいしか出来ることがないのに、遅れてくるなどとは許さんぞ」
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