137 / 139
137
私がそう提案すると、ソフィアは一瞬だけれど驚いたように目を丸くした。
南側の庭園は広大でよく手入れが行き届いているし、休憩どころとして利用されるガゼボの屋根も大きい。そこであれば多人数が行き交ったとしても迷惑の掛かることは少ないだろう。
(ガゼボのある場所を示したことが意外だったのかしら)
……ジェラルド殿下とミナ嬢が好んで利用される東屋でも連想させてしまったのかもしれない、と考える。
南側の庭園は公式行事にも使われるほどに開けている場所だが、二人がよく閉じこもっているそこは重なる木々によって影が出来、人気も少ない。しのぶのに最適とされているから、学園内でもよく公には発表できないような仲の方たちが利用されていると、まことしやかに伝えられるようなところだ。
(今となってはジェラルド様とミナがもっぱらの利用者となっているようだけれど……)
けれど、ソフィアの目には哀れみも嘲りもないようだった。
それだけに、純粋な驚きがどこから来ているのが気にかかってつい尋ねてみてしまう。
「……何か?」
「い、いいえ……!……皆様、お聞きになりまして?」
ソフィアが周囲の令嬢たちを振り返った。
「南の庭園の大ガゼボへ。あちらで、ヴィクトリア様を囲んでお茶会を開きます」
その宣言は波のように広がり、令嬢たちの間には驚きと歓喜が混じり合ったようなどよめきが広がった。
「まあ、素敵。私たちなどはご一緒出来ないのかもしれない思っていたけれど……」
「なんて寛大なのかしら。すぐにお茶の準備を整えなくては」
彼女たちは一様に顔を輝かせ、誰に指示されるともなく動き出した。軽やかな足取りは学園の中に活気を生んでいるかのよう。
「ヴィクトリア様、本当にあちらでよろしいのですか?」
その中の一人が頬へ紅潮を乗せながら私へと尋ねる。微笑んで頷くと、彼女の顔にも笑みが広がった。
「あそこなら、どなたも溢れることはありませんわ。青空の下で、ドレスのお話の続きをいたしましょう」
南側の庭園は広大でよく手入れが行き届いているし、休憩どころとして利用されるガゼボの屋根も大きい。そこであれば多人数が行き交ったとしても迷惑の掛かることは少ないだろう。
(ガゼボのある場所を示したことが意外だったのかしら)
……ジェラルド殿下とミナ嬢が好んで利用される東屋でも連想させてしまったのかもしれない、と考える。
南側の庭園は公式行事にも使われるほどに開けている場所だが、二人がよく閉じこもっているそこは重なる木々によって影が出来、人気も少ない。しのぶのに最適とされているから、学園内でもよく公には発表できないような仲の方たちが利用されていると、まことしやかに伝えられるようなところだ。
(今となってはジェラルド様とミナがもっぱらの利用者となっているようだけれど……)
けれど、ソフィアの目には哀れみも嘲りもないようだった。
それだけに、純粋な驚きがどこから来ているのが気にかかってつい尋ねてみてしまう。
「……何か?」
「い、いいえ……!……皆様、お聞きになりまして?」
ソフィアが周囲の令嬢たちを振り返った。
「南の庭園の大ガゼボへ。あちらで、ヴィクトリア様を囲んでお茶会を開きます」
その宣言は波のように広がり、令嬢たちの間には驚きと歓喜が混じり合ったようなどよめきが広がった。
「まあ、素敵。私たちなどはご一緒出来ないのかもしれない思っていたけれど……」
「なんて寛大なのかしら。すぐにお茶の準備を整えなくては」
彼女たちは一様に顔を輝かせ、誰に指示されるともなく動き出した。軽やかな足取りは学園の中に活気を生んでいるかのよう。
「ヴィクトリア様、本当にあちらでよろしいのですか?」
その中の一人が頬へ紅潮を乗せながら私へと尋ねる。微笑んで頷くと、彼女の顔にも笑みが広がった。
「あそこなら、どなたも溢れることはありませんわ。青空の下で、ドレスのお話の続きをいたしましょう」
あなたにおすすめの小説
妹は謝らない
青葉めいこ
恋愛
物心つく頃から、わたくし、ウィスタリア・アーテル公爵令嬢の物を奪ってきた双子の妹エレクトラは、当然のように、わたくしの婚約者である第二王子さえも奪い取った。
手に入れた途端、興味を失くして放り出すのはいつもの事だが、妹の態度に怒った第二王子は口論の末、妹の首を絞めた。
気絶し、目覚めた妹は、今までの妹とは真逆な人間になっていた。
「彼女」曰く、自分は妹の前世の人格だというのだ。
わたくしが恋する義兄シオンにも前世の記憶があり、「彼女」とシオンは前世で因縁があるようで――。
「彼女」と会った時、シオンは、どうなるのだろう?
小説家になろうにも投稿しています。
「姉なんだから妹に従え」と命じる両親。でも、その妹、お父様の子じゃありませんよ?
恋せよ恋
恋愛
「姉なんだから、妹に譲りなさい」
その言葉で婚約者も居場所も奪われた。
でもお父様、お母様。
私に押し付けたその妹、実は不義の子ですよね?
狂った愛の箱庭で虐げられた伯爵令嬢が、
真実という名の火を放ち、自由を掴み取る物語。
🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。
🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。
🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。
🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。
🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!
嫌われたと思って離れたのに
ラム猫
恋愛
私は、婚約者のカイルに嫌われたと思った。冷たくそっけなく、近づくたびに避けられる日々。
距離を置くことを選び、留学の準備も進めて心を落ち着かせようとするけれど——。
初夜に放置された花嫁は、不誠実な男を許さない~不誠実な方とはお別れして、誠実な方と幸せになります~
明衣令央
恋愛
初夜に新郎は元婚約者の元へと走り、放置された侯爵令嬢セシリア。
悲しみよりも屈辱と怒りを覚えた彼女は、その日のうちに父に連絡して実家に帰り、結婚相手に婚姻無効叩きつけた。
セシリアを軽んじた新郎と元婚約者は、社交界の制裁を受けることになる。
追い詰められた元婚約者の男爵家が放った刺客に襲われそうになったセシリアを救ったのは、誠実で不器用な第三騎士団副隊長レオン。
「放置どころか、一晩中、離すつもりはないよ」
初夜から始まったセシリアの物語は、やがて前回とは違う初夜へと辿り着く――。
「お前を愛することはない」と言ってしまった夫は、妻の本当の目的を知らない【完結保証】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
辺境伯ロランは、政略結婚で迎えた妻メリンダを「お飾り」だと思っていた。
だがある日、愛人が社交界で妻を侮辱し、王宮から勧告が下る。
窮地に立たされたロランは、妻の実家へ謝罪に向かうが──
メリンダは、9歳で商会を立ち上げ、15歳で貴族学園を3ヶ月で飛び級卒業した“怪物級の才女”だった。
さらに、ロランの代わりに愛人を修道院へ送り、家政も社交も完璧にこなす。
一方ロランは、妻の望む「コンドル」と「虎」を本当に捕まえて帰ってくるほど、妙な方向に頑張り始め──
気づけば、“お飾り”だと思っていた妻に、人生ごと振り回されていた。
そんな中、パーティーで“アフェイリ窃盗団”が出現。
ロランは初めて、妻を守るために剣を抜く。
病弱な姉は、何でも許されると勘違いしている。だから、あえて婚約者を譲ってやった。が、姉は知らない。彼は「病弱な幼馴染」を最優先することを
ぽんた
恋愛
※全七話
ラン・ブラックバーン伯爵令嬢には、病弱な姉がいる。姉は、病弱をいいことにランからいろいろなものを奪っている。そして、今回は婚約者。ランの生まれながらの婚約者をよこせという。ランは、抵抗した。婚約者を姉にさしだすことを渋った。しかし、姉を愛する両親と兄からも譲るようきつく言われ、ランはついに了承する。しかし、ランの婚約者には「病弱な幼馴染」がいて、ランの婚約者はすべてにおいてその「病弱な幼馴染」を優先するのだった。はたして病弱な姉は、「病弱な幼馴染」に勝てるのか?
※ハッピーエンド確約。ざまぁあり。ご都合主義のゆるゆる設定はご容赦願います。
仏の顔も六百六十六回まで ~聖女の許しが尽きた日、義母と婚約者と神殿の“借り物の幸運”が消えたので、法廷で断罪します~
他力本願寺
ファンタジー
聖女ルナリアは、義母に蔑まれても、婚約者に裏切られても、父に見捨てられても、ただ許し続けてきた。
だが聖女の加護には上限があった――六百六十六回。
最後の一回が尽きた朝、義母の美貌は崩れ、婚約者の才能は消え、父の領地の幸運も枯れた。
それらはすべて、彼女が許すたびに分け与えていた“借り物の幸運”だったのだ。
加護を失い、初めて怒りを知った聖女は、宮廷法院の法務調査官カイルと共に、家族・婚約者・神殿を法廷へ引きずり出す。
図書塔で恋した貴方は、親友の寝室で過ごす 〜留学中に不貞を働いた二人へ。身分目当ての貴方たちは勝手に没落してください〜
恋せよ恋
恋愛
偶然の出会いから親友となったティファニーとマーガレット。
伯爵家嫡子ティファニーは、男爵令嬢マーガレットの紹介で、
彼女の幼馴染のジャスティン子爵家次男と真剣な恋に落ちる。
三歳年上の婚約者のいるマーガレットは、二人を見つめて思う。
「あら、ジャスティンって、カッコ良かったのね。失敗したかも」
そこで、優秀なティファニーが隣国へと留学中の半年間、
ジャスティンを誘惑し、背徳の関係に溺れていく。
そんな親友+婚約者未満の恋人+優秀な伯爵令嬢の物語。
🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。
🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。
🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。
🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。
🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!