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6 当たり判定が大きすぎる件
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思わず動きを止めたエレノアの目の前で、ゆっくりと煙が晴れていく。
そこにいたのは、見慣れたフィニアスの姿。先程までの可憐な少女の面影は、全く残っていない。
どうやら、先程腕が唇に当たったことで、魔法は解けたらしい。
「え、当たり判定大きすぎない……?」
思わずつぶやいたエレノアをよそに、フィニアスは自らの姿が元に戻っていることを確認すると、大きなため息をついた。
「……良かった……」
心底安堵したようなそのつぶやきに、エレノアも安心してため息をついた。可憐な美少女姿のフィニアスも素敵だったけれど、やっぱりエレノアが好きなのは、いつものフィニアスだから。
「別に唇へのキスでなくてもいいなら、もっと早く言ってくれたら良かったのに。避けられているみたいで、寂しかったのよ」
ちょっと拗ねた気持ちでそう言うと、フィニアスは気まずそうに視線を逸らした。
「いや俺も、こんなことで魔法が解けるなんて思ってもみなかったし……」
「まぁ、それはそうね。でも、魔女ロアンヌに目をつけられるなんて、何をしたの?」
エレノアの言葉に、フィニアスは苦い表情を浮かべる。
魔女ロアンヌは恋多き魔女として有名だけど、恋人や婚約者のいる男性に近づくことはなかったのに。
「なんというか、魔女リーザが俺たちの結婚式を祝う儀式の準備で忙しくしていて、構ってもらえないことに拗ねたらしい」
「えぇ、そんなことで?」
目を見開いたエレノアを見て、フィニアスは疲れたようにうなずいた。
「それで、俺が女の子になってしまえば結婚もなくなるだろう、と」
「すごい理由だわ……」
呆れたようにため息をついたエレノアは、ふと首をかしげた。
「でも、お昼間に会った時は女の子の姿じゃなかったわ。どうやって隠していたの?」
「それは……」
気まずそうに視線を逸らすフィニアスを見て、エレノアはその顔を下からのぞき込んだ。
「何かまだ隠していることがあるの?」
「……っ」
一瞬言葉に詰まったフィニアスは、覚悟を決めたように目を閉じたあと、エレノアの腕を掴んで引き寄せた。
抱きしめられるような体勢にエレノアが驚くより先に、フィニアスの腕がしっかりと背中に回って逃げ道を塞ぐ。
「……フィン?」
動揺して微かに震える声で囁くと、フィニアスが大きなため息をついた。
そこにいたのは、見慣れたフィニアスの姿。先程までの可憐な少女の面影は、全く残っていない。
どうやら、先程腕が唇に当たったことで、魔法は解けたらしい。
「え、当たり判定大きすぎない……?」
思わずつぶやいたエレノアをよそに、フィニアスは自らの姿が元に戻っていることを確認すると、大きなため息をついた。
「……良かった……」
心底安堵したようなそのつぶやきに、エレノアも安心してため息をついた。可憐な美少女姿のフィニアスも素敵だったけれど、やっぱりエレノアが好きなのは、いつものフィニアスだから。
「別に唇へのキスでなくてもいいなら、もっと早く言ってくれたら良かったのに。避けられているみたいで、寂しかったのよ」
ちょっと拗ねた気持ちでそう言うと、フィニアスは気まずそうに視線を逸らした。
「いや俺も、こんなことで魔法が解けるなんて思ってもみなかったし……」
「まぁ、それはそうね。でも、魔女ロアンヌに目をつけられるなんて、何をしたの?」
エレノアの言葉に、フィニアスは苦い表情を浮かべる。
魔女ロアンヌは恋多き魔女として有名だけど、恋人や婚約者のいる男性に近づくことはなかったのに。
「なんというか、魔女リーザが俺たちの結婚式を祝う儀式の準備で忙しくしていて、構ってもらえないことに拗ねたらしい」
「えぇ、そんなことで?」
目を見開いたエレノアを見て、フィニアスは疲れたようにうなずいた。
「それで、俺が女の子になってしまえば結婚もなくなるだろう、と」
「すごい理由だわ……」
呆れたようにため息をついたエレノアは、ふと首をかしげた。
「でも、お昼間に会った時は女の子の姿じゃなかったわ。どうやって隠していたの?」
「それは……」
気まずそうに視線を逸らすフィニアスを見て、エレノアはその顔を下からのぞき込んだ。
「何かまだ隠していることがあるの?」
「……っ」
一瞬言葉に詰まったフィニアスは、覚悟を決めたように目を閉じたあと、エレノアの腕を掴んで引き寄せた。
抱きしめられるような体勢にエレノアが驚くより先に、フィニアスの腕がしっかりと背中に回って逃げ道を塞ぐ。
「……フィン?」
動揺して微かに震える声で囁くと、フィニアスが大きなため息をついた。
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