転生プログラマのゴーレム王朝建国日誌~自重せずにゴーレムを量産していたら大変なことになりました~

堀籠 遼ノ助

文字の大きさ
7 / 99
第1章 初めから死亡フラグ

7 東の隠し干支

しおりを挟む
 真っ白な肌に、金色こんじきの瞳。
 歳は15才ぐらいに見える。

 服装は黒を基調とした着物に、白色の帯。
 髪型は前髪を真っ直ぐ切り揃えたおかっぱで少し笑える髪型をしている。

  歩く日本人形かこいつ。

「おい、転生者。今失礼なこと考えたじゃろ」

 ぎく。
 何故バレたし。読心術か。
 俺はまだ赤ん坊だから表情など読み取れるはずも無いのだか。しかも何故転生者だということも解ってるんだこいつ。

「ふふん、驚いたか。わしはある程度相手の感情を読み取れるのじゃ。故に、お主が転生者だということもわかっとる。赤子がそれだけ複雑な感情を持つはずが無いからのう」

 少女はそういうと、無い胸を反らして胸を張る。

「……誰の胸が無いだと。貴様きさん、ええ加減にせいよ。これは、鬼装束おにそうぞくのせいでそう見えるだけで、無いわけではないわい!」

 うわっ?! 本当に感情だけ読み取っているのか?あまりにも正確に読みとっている。
 ……本人にも思うところがあるんじゃないだろうか?
 しかしその和服みたいな服は『鬼装束』っていうのか。随分物騒な名前だな。

「さて、時間も無いことだ。端的に話そう。お主が生き残ったのはワシのおかげじゃ。そこで、ワシに感謝し、ワシを讃え、ワシの願いを有り難く聞き届けよ」

 端的すぎるわ。そして余計な言葉が多すぎる。

「……理解しておらんようじゃの? では逆に聞きたいのだが、生まれたばかりの赤子が使ったこともない魔法を、しかも改編まで加えて発動出来ると思うのか?」

 ……確かにそりゃそうだ。あの時はせっぱ詰まってたから深く考えて無かったが。

「あればワシが特別に貸してやった、『創造』という能力じゃ。……本来は装備品を精製する能力で、魔法を改編する力など無いはず何だがのう。≪魔法こんぱいら≫とは、ずいぶん奇態な能力じゃ。……お主、よっぽど面白いタマシイを持っておるようじゃの」

 頂きました。管理者に続いて二人目の『タマシイが面白い』。
 俺のタマシイはそんなに爆笑もの何だろうか。ちょっとへこむ。

「何を隠そう、ワシはこの森に古くから住む『鬼』じゃ。ワシは強いのじゃぞ。例えば、ワシの2つ名である『あずまかく干支えと』と言えば、誰もが恐れおののくはずじゃ。お主が必死こいて倒していた犬畜生等とは、格が違うぞ。ーーそれでじゃ、何か面白そうな事は無いかといつものように森をぶらついておったら、何やら騒がしい気配がする。気配を消して覗いてみると、狼の群れに人間の男女が襲われておった。しかも女は身籠って今にも生みそうじゃし、遠くない場所でグレーターウルフの気配もしとる。人間なんぞに何の義理も無いが、見てしまった手前助けんのは寝覚めが悪い。そこで、女に『創造』の力を一時的に貸してやろうとしたのだか・・・何故か実際に力が渡ったのはお主の方じゃった。お主、根がよっぽどがめついんじゃな」

 人聞きの悪い事を言うな!
 母親に与えられるはずだった能力を無理やり奪ったとは知らなかったが、不可抗力だ。
 俺だって必死だったんだから仕方ないだろ。

「さて、これでわかったじゃろ? お主はワシに対して返しても返しきれぬ恩がある」

 ぐぬぬ。一方的に恩を押し付けられている感はいなめないが、こいつが言っている事が本当なら、こいつが助けてくれなければ俺は百発百中で死んでたって訳だ。何も言い返せねえ。


「ふふん。どうやら自分の立場を認めたようじゃの」

 少女 は得意気にそう言うと、尻尾をぴーんと伸ばす。

 ーーって尻尾ぉ?!

「? お主何を驚いて……あっ?! しもた! 嬉しかったからつい! お主、今のは見なかったことにせい!」

 少女は慌てた様子でお尻をパンパンと叩くと、尻尾が消えて無くなった。

 ……今度は頭から猫耳が飛び出してるんですけど。
 ……見なかったことにしよう。

「んん? 何だか引っ掛かる感情だが。……まあよい。続きじゃ。お主、無茶な魔法を行使したせいで死にかけておるじゃろ。自業自得といえばそれまでだが、ワシと『本契約』をすれば助かる。ワシのタマシイがお主のタマシイを補てんするからの」

 うお! マジか! それは有り難い!

 ……だか、1つ引っ掛かる。
 こいつは「ワシの願いを有り難く聞き届けよ」とか言ってたぞ。
 これだけの恩を着せといて、一体何を望む気だ。
 ……まさか、俺の体が目当てか?

「……何やら気持ちの悪い想像をしてそうだが、全然違うぞ。ワシが望むのは、『お主の人生』じゃ。――いや、そう構えるな。特に何をしてもらうということはない。契約を交わすと、お主はワシのあるじとして生涯を共に過ごすことになる。その過程の中で、ワシにお主の人生を見せてくれればよい。お主の生涯は波乱に満ちていそうで、退屈しないだろうからな」

 おい。勝手に俺の人生ハードモードに確定させないでくれます?

「……どうじゃ? 悪い条件ではなかろう?」

 少女はどこかおすおずとした様子で聞いてくる。

 俺はその様子に苦笑する。
 条件など、無いに等しい。要するにこいつはどうしようもないお人好しで、俺の事を助けてやるって話だ。

 ならば答えは1つだ。

 少女は俺の感情を読み取り、満足げに頷く。

「よし、では契約の儀式を始めるぞ。ーー思ったより時間を食ってしまったようだ。お主が死ぬまで残り15秒を切ってもうた」

(へえ、こっちの世界も秒単位なのね。……って!! 15秒?!!
 せっかく助かりそうなのに『死因:長話しし過ぎ』なんて間抜けな理由で死んじゃうよ俺?!
 ハリアップ! 猫娘様!!)

 少女はその鈴が響くような声で、朗々と契約の言葉を詠いあげる。

「ーーわれが司るは第13の猫、用いる異能いのうは『創造』、名は鈴音すずねいにしえの盟約に基づき、代償を糧としてそなたと契約を結ぼう。契約の代償はそなたの『人生』。契約の是非は如何いかん?」

(是だ! イエス!)

「契約は成立した。今この時よりそなたのしもべとして仕えよう」

 そう言うと、少女は赤ん坊である俺に向かって膝をつき、深々と頭を下げた。

 ーー俺はこの時はまだわからなかった。
 『波乱の人生』となる大部分は、この少女……鈴音と契約を交わしたせいで巻き起こるのだということを。

 その時は、生き残ったという喜びを唯々噛み締めるのであった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

これにて第1章完です。
ここまで読んで頂いた皆さま、誠に感謝します!
2章以降も、引き続きお付き合い頂けると幸いです。


20160820追記
「黒猫って眼は金色やで」と突っ込みをうけた。そんなバカな、画像検索してみればわかるけどそんなわけーー金色だーー( ; ゜Д゜)
と言うわけで鈴音の瞳を黒→金へ修正です。ご承知下さい。
しおりを挟む
感想 23

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

処理中です...