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第2章 幼児期
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「うあ!! うう?!」
鋭い痛みに思わず俺はうめき声をあげる。
「巧魔ちゃん?!」
菫が驚き駆け寄ろうとするが、それを鈴音が手で制止する。
「菫、下がっておれ! ――食らえ小僧!!」
戮の足元が盛り上がる。
現れたのは一本の長剣。
突然生まれた刃が地面から振り上がる。
ギィン! と甲高い音が響いた。
戮の仕込み刀に防がれたようだ。
戮はその長身からは想像出来ない軽やかさで大きく飛び退くと、一本の頼り気ない梢に降り立つ。まるで小鳥が降り立ったかのように梢が折れることはない。
「おっと、危ない危ない。うふふふ、成る程成る程、巴蛇を狙った攻撃ですネ。攻撃の標的が巴蛇であれば、私が巻添えを食らうのは『例外』となりますな。しかし、これでは巴蛇がワタクシから離れれば鈴音様に打つ手は無いですネ」
「貴様を殺す手などいくらでもある! エズイ死に方をしたく無くば教えろ! 主に何をした! 」
「種明かしがまだでしたネ。それでは――」
パチン、と戮の指が鳴る。
すると、俺の額に深々と貫く短剣が現れた。刀身は赤く透き通っており、彩飾ガラスのようだ。奇妙なことに、脳天を刃に貫かれているのにも関わらず俺は死んではいない。
「かの錬成の覇者が作りし七色剣の内が一本、逢魔の剣で御座います」
「――悪趣味な奴め。何が目的だ」
鈴音はそう言うと、俺に刺さった剣を一気に引き抜いた。
ちょっ?! そんなことしたら血が止まらなく……なってない?
「主、案ずるな。その剣は傷を負わない」
そうなのか。どうやら鈴音はこの剣の正体を知っているようだ。しかし、『悪趣味』とはどういう意味だろうか?
「うふふふ。既に御伝えしておりますが、巧魔クンへ忠告に参ったのです。巧魔様は素晴らしい才能を持っていらっしいますが、その才に溺れて呆気なく死んでしまわれては勿体無いと思いましてネ。僭越ながら、巧魔クンの修業のお手伝いを。……巧魔クン、君は今日一度死んだ。その慢心が故にネ」
……慢心か。確かにそうだ。今魔力を使い切っていなければ色々と対処出来る事があったであろう。戮にその気があれば、千春や俺は死んでいた。いや、こいつの能力からすれば、皆殺しになっていてもおかしくは無い。
「――6年後。ワタクシと巧魔クンはまた会うことになる。その時が来たら、心逝くまでヤり合いましょう。巧魔クンにはワタクシが初めにツバをつけたんですから、ワタクシ以外にヤられてはいけませんよ? うふふふ、それでは皆様、ごきげんよう」
戮の姿が闇にまみれるようにして消えると、森に静寂が戻った。
鈴音は暫く戮の消えた場所を睨み付けていたが、戮が本当に立ち去った事が分かると、沈痛な面持ちで俺に話しかけた。
「……すまん、主。『巳』の危険性を知りながら、今回の事態に陥ったのはワシの失体じゃ。どうやら200年間森に閉じ籠っていた間にすっかり呆けてしまったようじゃ」
いや、鈴音のせいではない。俺の危機意識が低かったのだ。ここは過去に俺が暮らしていた日本ではない。常に死の危険が隣り合わせな異世界なのだ。
今回の失敗を、俺の成長の糧としよう。
何故6年後にまた会うことになるのかは解らない。だが、1つだけはっきりしている事がある。
――6年後までに俺は、戮を倒す実力を身に付けなければならない、ということだ。
鋭い痛みに思わず俺はうめき声をあげる。
「巧魔ちゃん?!」
菫が驚き駆け寄ろうとするが、それを鈴音が手で制止する。
「菫、下がっておれ! ――食らえ小僧!!」
戮の足元が盛り上がる。
現れたのは一本の長剣。
突然生まれた刃が地面から振り上がる。
ギィン! と甲高い音が響いた。
戮の仕込み刀に防がれたようだ。
戮はその長身からは想像出来ない軽やかさで大きく飛び退くと、一本の頼り気ない梢に降り立つ。まるで小鳥が降り立ったかのように梢が折れることはない。
「おっと、危ない危ない。うふふふ、成る程成る程、巴蛇を狙った攻撃ですネ。攻撃の標的が巴蛇であれば、私が巻添えを食らうのは『例外』となりますな。しかし、これでは巴蛇がワタクシから離れれば鈴音様に打つ手は無いですネ」
「貴様を殺す手などいくらでもある! エズイ死に方をしたく無くば教えろ! 主に何をした! 」
「種明かしがまだでしたネ。それでは――」
パチン、と戮の指が鳴る。
すると、俺の額に深々と貫く短剣が現れた。刀身は赤く透き通っており、彩飾ガラスのようだ。奇妙なことに、脳天を刃に貫かれているのにも関わらず俺は死んではいない。
「かの錬成の覇者が作りし七色剣の内が一本、逢魔の剣で御座います」
「――悪趣味な奴め。何が目的だ」
鈴音はそう言うと、俺に刺さった剣を一気に引き抜いた。
ちょっ?! そんなことしたら血が止まらなく……なってない?
「主、案ずるな。その剣は傷を負わない」
そうなのか。どうやら鈴音はこの剣の正体を知っているようだ。しかし、『悪趣味』とはどういう意味だろうか?
「うふふふ。既に御伝えしておりますが、巧魔クンへ忠告に参ったのです。巧魔様は素晴らしい才能を持っていらっしいますが、その才に溺れて呆気なく死んでしまわれては勿体無いと思いましてネ。僭越ながら、巧魔クンの修業のお手伝いを。……巧魔クン、君は今日一度死んだ。その慢心が故にネ」
……慢心か。確かにそうだ。今魔力を使い切っていなければ色々と対処出来る事があったであろう。戮にその気があれば、千春や俺は死んでいた。いや、こいつの能力からすれば、皆殺しになっていてもおかしくは無い。
「――6年後。ワタクシと巧魔クンはまた会うことになる。その時が来たら、心逝くまでヤり合いましょう。巧魔クンにはワタクシが初めにツバをつけたんですから、ワタクシ以外にヤられてはいけませんよ? うふふふ、それでは皆様、ごきげんよう」
戮の姿が闇にまみれるようにして消えると、森に静寂が戻った。
鈴音は暫く戮の消えた場所を睨み付けていたが、戮が本当に立ち去った事が分かると、沈痛な面持ちで俺に話しかけた。
「……すまん、主。『巳』の危険性を知りながら、今回の事態に陥ったのはワシの失体じゃ。どうやら200年間森に閉じ籠っていた間にすっかり呆けてしまったようじゃ」
いや、鈴音のせいではない。俺の危機意識が低かったのだ。ここは過去に俺が暮らしていた日本ではない。常に死の危険が隣り合わせな異世界なのだ。
今回の失敗を、俺の成長の糧としよう。
何故6年後にまた会うことになるのかは解らない。だが、1つだけはっきりしている事がある。
――6年後までに俺は、戮を倒す実力を身に付けなければならない、ということだ。
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