転生プログラマのゴーレム王朝建国日誌~自重せずにゴーレムを量産していたら大変なことになりました~

堀籠 遼ノ助

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第4章 呉の進出

49 挑発

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 正義はどかっと俺の横に座り、あぐらをかいた。うん、イケメンはあぐらをかいてもイケメンである。しかし、何となくこの人の近くにいると気後れする。あまりに堂々としていて、本当にただの行商人なのか? と疑いたくなってしまう。

「ええ、楽しんでます。今日は素敵な村へ案内していただきありがとうございました」
「巧魔っちー、そうかしこまるなよー。今日はめでたい席なんだぜい」
「そうですね、分かりました。ーーところで、正義さんはどうして豚狩村に物を売りに来ているんですか?」
「んー? それは儲けも出ないのにこんな遠くに来る必要無いんじゃないのーってことかい?」
「ええ、おっしゃる通りです」
「巧魔っちは若いのに商魂しょうこん逞しいねえ。これは俺の趣味みたいなもんだよ。本業は別にあるんだけどねえ。部下があんまり厳しいもんだから、こうしてたまに抜け出してくるんさ」

 部下が厳しい? なんだろう、あんまり慕われて無いんかこの人。そんな印象は受けないけどな。

「それは大変でしたね。ここは良い村です。いい気晴らしになるでしょう」
「お、解ってるねー巧魔っち。ここは酒も一級品なんだ。どうだ、一杯やるかい?」
「ははは、僕はまだ子供ですよ。20年後にお付きあいしましょう」

 猿彦さんあたりを連れてくれば大喜びするだろうな。今日はちょうど龍都に仕入れに行っていたから同席出来なかった。後で会ったときに伝えておこう。

「ところで、話は変わるんだけどー。ーー巧魔っちはへびの契約者に目をつけられてるんだって?」
「……どうしてその事を?」

 別に隠しているわけではないか、公表しているわけでもない。それを守谷村の住人でない正義さんが何故知っているんだろう。

「まあ、行商人をやってると色々情報が入ってくるのさ。厄介な奴に目をつけられたね」
「知っているんですか? 戮の事を?」
「大した情報は持ってないけどねー。危険な奴だってことぐらいは知ってるよん。そうだー、いい機会だからさー、僕が稽古をつけてあげようかあ?」
「正義さんがですか?」
「こう見えて、ある程度の心得は持ってるんだよねー。ほら、行商人って長距離移動が多いから何かと危ないでしょー?」

 正義さんを改めて視る。確かに、筋肉は引き締まっており鍛えているように見える。だが、所詮は行商人だ。稽古なんかして怪我をさせてしまっては申し訳ない。ここは穏便に断ることにしよう。

「申し出は非常に有難いんですが、自分はゴーレムを作ることしか能が無くて、稽古をつけていただくまでもありません」

……俺がそう言うと、正義さんは腕を組んで「うーん」と考えるようなポーズをとった。

「……そっかー。巧魔っちは巳に襲われた時も、油断をしたせいでボロ負けしたって聞いてるからなあ。今回も油断して行商人なんかに負けっちゃったら、みんなに示しがつかないようね」
…………油断など、俺はもう、していない。やつにしてやられてから5年。次に会うときには必ず勝つ、その事だけを考えて修行を積んできた。
「……油断なんて、していませんよ」
「うんうん、口だけなら誰でも言えるよね」
「いいでしょう。稽古、つけて下さい。正義さん」
「んー? いいのかな? 油断をして僕に負けっちゃっても」
「ははは、そちらこそ、油断をして5歳児に負けてしまわないように気を付けて下さい」
「そ。じゃあ、さっそくやろう」

 正義さんはそう言うと、にやりと笑う。余裕があるのか?
 いいだろう。正義さん、その余裕、すぐに払拭してあげますよ。
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