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夏の断章 -Romance-
夏の断章⑦-2
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月曜日、朝。
家を出る時間になって、チャイムが鳴った。
玄関の扉を開けてみると、そこに立っていたのは康太だった。
彼はいつものように「よっ」と軟派な態度で挨拶すると、「学校行こうぜ」と端的に用件を告げた。
どういう風の吹き回しだろうかと訝しんだが、断る理由はない。
朝飯の後片づけをしてから、一緒に家を出た。
歩いている途中、彼は何の気なしに「昨日、大丈夫だったか」と尋ねてきた。
俺は「ああ」とだけ返した。それで、その話は打ち切りになった。
康太は何もなかったように、サッカー部の後輩に対する愚痴を話し始めた。
康太と一緒に登校する。
中学に入学してからそんな機会は、初めてではないにしても片手で数えるほどしかなかった。
試合の次の日に俺の家を訪ねてきたり、彼の行動は突拍子がなさそうでいて、その実とても分かりやすい。
なんだかんだ言いながら、俺のことを心配してくれていたのだろう。
結局、康太は最後までいつも通りに振る舞っていた。
ただ学校の廊下で別れ際に、「やっぱりさ、お前変わったよ」と肩を小突いてきた。それだけだ。
再三納得して、俺は細い目でその背中を見送りながらつくづくと思った。
幼馴染は昔の俺が憧れていたような、完全無欠なヒーローじゃない。
そこにいるのは弱さを隠しながら不器用に生きる、ただの中学生の男子だった。
彼の背中は随分高いと思っていたが、よく目を凝らしてみれば、その背中を俺はとっくに追い越してしまっていたようだった。
家を出る時間になって、チャイムが鳴った。
玄関の扉を開けてみると、そこに立っていたのは康太だった。
彼はいつものように「よっ」と軟派な態度で挨拶すると、「学校行こうぜ」と端的に用件を告げた。
どういう風の吹き回しだろうかと訝しんだが、断る理由はない。
朝飯の後片づけをしてから、一緒に家を出た。
歩いている途中、彼は何の気なしに「昨日、大丈夫だったか」と尋ねてきた。
俺は「ああ」とだけ返した。それで、その話は打ち切りになった。
康太は何もなかったように、サッカー部の後輩に対する愚痴を話し始めた。
康太と一緒に登校する。
中学に入学してからそんな機会は、初めてではないにしても片手で数えるほどしかなかった。
試合の次の日に俺の家を訪ねてきたり、彼の行動は突拍子がなさそうでいて、その実とても分かりやすい。
なんだかんだ言いながら、俺のことを心配してくれていたのだろう。
結局、康太は最後までいつも通りに振る舞っていた。
ただ学校の廊下で別れ際に、「やっぱりさ、お前変わったよ」と肩を小突いてきた。それだけだ。
再三納得して、俺は細い目でその背中を見送りながらつくづくと思った。
幼馴染は昔の俺が憧れていたような、完全無欠なヒーローじゃない。
そこにいるのは弱さを隠しながら不器用に生きる、ただの中学生の男子だった。
彼の背中は随分高いと思っていたが、よく目を凝らしてみれば、その背中を俺はとっくに追い越してしまっていたようだった。
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