8 / 64
第三章 秘密のサイン(1)
しおりを挟む
翌朝、洋平は美保浦神社に到着するや否や、境内の雰囲気がいつものそれと異なっていることに気付いた。ざわめいた空気感があり、いつものように石段に腰掛け、あくびをしている下級生の姿など、どこにも見当たらなかった。
夏休みの間、美保浦神社は小学生のラジオ体操の場所となっていた。美保浦では村を南北に分け、洋平が児童会会長と兼務で責任担当だった南地区は、神社の境内を借りていたのである。
異変の原因は美鈴だった。
皆が一様に見つめる先に彼女が立っていたのだ。初めて美鈴を見た者も多く、少年らは彼女の美しさに見惚れ、少女らはその素性に好奇心を抱いていた。
――なんで彼女が此処に?
美鈴には本当に驚かされることばかりだ。だが、洋平は少しも嫌ではなかった。それどころか、彼女の積極的で自由奔放な言動は、彼の気持ちを弾ませるばかりか、良く言えば理性的、悪く言えば偏屈な性格である彼の心の扉を叩き、凝固している内向的な精神を触発し、少しずつ溶解へと導いてくれる気がしていた。
洋平は、担わされた小学校のリーダー的な役割を卒なく熟していたので、おそらく周囲には、明るく快活な性格と受け止められていたであろうが、実は対人関係が苦手で、陰気な性格だった。
彼はそれを悟られまいとして、あるいはそれを矯正したいと願い、努めて与えられた役目を熟していたに過ぎなかった。もしかすると、洋平は美鈴の美しい外見だけではなく、内面にある真に何事にも恐れを抱かぬ精神にこそ魅かれていたのかもしれなかった。
美鈴の服装に洋平の目はまたも釘付けになった。白のワンピースに、良く似合いの、広いつばのある薄黄色の帽子を被り、胸の辺りには日の光に反射して、きらりと光るお洒落な小物を身に付けていた。
海水浴のときの、短パンにTシャツという装いから、一転してとても優雅で気品に溢れており、近寄り難い雰囲気さえ醸し出していた。ともすれば、高貴な家系のお嬢様のようでもある。
洋平は、もし最初に出会ったときがこのようであったなら、おそらく気後れをして、声を掛けたいという気持ちは湧かなかっただろうとさえ思った。
「洋平くーん」
美鈴の声で、一斉に皆の眼が彼に注がれた。洋平は気恥ずかしかったが、心の中では、
――少なくともここにいる者の中では、おらがこの美しい少女と一番に親しいのだ。
という優越感に浸っていた。
ラジオ体操が終わると、洋平は参加した認印を一人一人に押していった。判を押してもらうと、誰もが美鈴を気にしながら、三々五々帰って行った。毎朝、百名以上の子供たちが集まっていたため、最後の一人に押し終えると、十分ぐらいは経っていた。
最後に美鈴が近づいて来た。彼女が首に掛けていたのは、桜貝にプラチナの装飾をあしらったペンダントだった。もっとも、プラチナだとわかったのは後年になってからなのだが……。
「びっくりしたあ。どげしたの?」
洋平は照れ隠しをするように、少し大袈裟に言った。
「お祖父ちゃんが行っても良いって。そして、洋平君は頭が良いから、一緒に勉強して、教えてもらいなさいって言ったの」
「ふうん」
洋平は喜びを押し隠すように応じる。
「私も成績は悪くないけど、でもお祖父ちゃんの言う通りにした方が、洋平君ちに行けるから、そうするって言ったの。それで、昨日は九時って言ったけど、朝ごはんを食べたらすぐに行くから、八時までには行けるよ、って言いに来たの」
美鈴は弾んだ声で一気に話した。
「そげなことなら、わざわざ来んでも、電話をすりゃあ済むのに……」
少し意地悪な口調になった。
美鈴が足を運んでくれたことはとても嬉しかったが、彼女の前だとどうしても素直になれない自分が顔を覗かせてしまうのだ。
彼女が少しはにかんだ。
「電話は掛け難かったの。だって、洋平君が出てくれたら良いけど、他の人が出たら、どうしたら良いかわからないし……」
実に意外な言葉だった。洋平は、てっきり言い返してくると思っていた。あれだけ勝気で負けず嫌いの彼女が、しとやかな恥じらいを見せるとは思いも寄らないことだった。
だが、これまでとは全く違う彼女の一面を知り、それがまた、彼の心を一段と強く惹きつけて止まなかった。
周りを見渡すと、すでに境内には二人だけとなっていた。
「じゃあ、帰えらか」
洋平が声を掛けると、
「ちょっと、待ってて。せっかく来たから、お参りさせて」
美鈴は、そう言い残して神社の拝殿に走って行った。お賽銭を入れ、柏手を打つと、少し長めのお祈りをした。
美保浦神社は、かつて別格官幣大社であった出雲大社の流れを汲む、由緒正しき古社だった。そのため、以前は出雲大社に参拝する人々が立ち寄ったこともあって、大変な賑わいをみせていたが、時の流れと共に人の心は移ろい、近年は神話に絡む祭事が執り行われるときにしか、注目されなくなっていた。
「何をお祈りしただ?」
洋平は、戻って来た美鈴に訊ねた。
だが、
「教えないよ」
と、彼女は穏やかな口調で拒否した。その表情は、古代の神々が宿る古社の結界内であったせいか、洋平の目にはとても謎めいたものに映った。
家に戻った洋平は、そそくさと朝ごはんを済ませ、約束の時間の三十分も前から、門の外で待っていた。彼は、幾度となく玄関に戻って時間を確認したが、時は彼の思うようには進まなかった。洋平にとって美鈴を待つ時間は、退屈な授業を受けたときより長かった。
やがて、時計の針が八時五分前を指したとき、ようやく海岸の方から、角を曲がってこちらにやって来る美鈴の姿が見えた。洋平の姿を見つけた彼女は二、三度大きく手を振った後、ゆっくりと走り出した。
洋平の脳裏には、まるでスローモーションを見るように、彼女の駆ける姿が鮮明に焼き付いた。
美鈴は、風に吹かれて飛ばされそうになる帽子にばかり気をとられていたのか、ワンピースの裾が捲れて、太ももが露になっていることも、胸元が上下に大きく波打っていることにも全く無頓着で、なすがままに走っていた。
洋平は、未だ残る太ももの白さに眩しさを、天真爛漫な姿に微笑ましさを覚えながら見つめていた。このとき彼の眼前には、たしかに天使の化身が存在していたのである。
美鈴は恵比寿家の敷地の角まで近づくと、走ることを止め、顔のところで小さく手を振りながら、壁伝いに歩いて来た。
洋平も手を振って応えた。
「待ってて……くれたの?」
美鈴は息を切らしながら訊いた。
「うん。初めてだけん、入り難いかと思って、待ちょった」
洋平は、彼女の来訪が待ち遠しくて、辺りをうろついていたことなど、億尾にも出さなかった。
「ありがとう」
美鈴は、左手で握り拳を作ると、顔の辺りまで持ち上げ、手の甲を洋平に向けた。
「それ、何の合図?」
「洋平君もやってみて」
美鈴は洋平を見つめながら、少しだけ首を横に傾けた。その愛らしい眼差しに、洋平は彼女を直視することができず、
「こう?」
と握った拳で自分の顔を隠した。
「これをサインにしない」
「サイン?」
「そう。うれしいとき、悲しいとき、さびしいとき、つらいとき……言葉にできないとき、こうやって合図するの」
「二人だけのサインだね」
「二人だけの秘密のサインよ」
「わかった」
握り拳を美鈴のそれにぶつけたとき、洋平はまた一歩美鈴との距離が縮まった気がした。
夏休みの間、美保浦神社は小学生のラジオ体操の場所となっていた。美保浦では村を南北に分け、洋平が児童会会長と兼務で責任担当だった南地区は、神社の境内を借りていたのである。
異変の原因は美鈴だった。
皆が一様に見つめる先に彼女が立っていたのだ。初めて美鈴を見た者も多く、少年らは彼女の美しさに見惚れ、少女らはその素性に好奇心を抱いていた。
――なんで彼女が此処に?
美鈴には本当に驚かされることばかりだ。だが、洋平は少しも嫌ではなかった。それどころか、彼女の積極的で自由奔放な言動は、彼の気持ちを弾ませるばかりか、良く言えば理性的、悪く言えば偏屈な性格である彼の心の扉を叩き、凝固している内向的な精神を触発し、少しずつ溶解へと導いてくれる気がしていた。
洋平は、担わされた小学校のリーダー的な役割を卒なく熟していたので、おそらく周囲には、明るく快活な性格と受け止められていたであろうが、実は対人関係が苦手で、陰気な性格だった。
彼はそれを悟られまいとして、あるいはそれを矯正したいと願い、努めて与えられた役目を熟していたに過ぎなかった。もしかすると、洋平は美鈴の美しい外見だけではなく、内面にある真に何事にも恐れを抱かぬ精神にこそ魅かれていたのかもしれなかった。
美鈴の服装に洋平の目はまたも釘付けになった。白のワンピースに、良く似合いの、広いつばのある薄黄色の帽子を被り、胸の辺りには日の光に反射して、きらりと光るお洒落な小物を身に付けていた。
海水浴のときの、短パンにTシャツという装いから、一転してとても優雅で気品に溢れており、近寄り難い雰囲気さえ醸し出していた。ともすれば、高貴な家系のお嬢様のようでもある。
洋平は、もし最初に出会ったときがこのようであったなら、おそらく気後れをして、声を掛けたいという気持ちは湧かなかっただろうとさえ思った。
「洋平くーん」
美鈴の声で、一斉に皆の眼が彼に注がれた。洋平は気恥ずかしかったが、心の中では、
――少なくともここにいる者の中では、おらがこの美しい少女と一番に親しいのだ。
という優越感に浸っていた。
ラジオ体操が終わると、洋平は参加した認印を一人一人に押していった。判を押してもらうと、誰もが美鈴を気にしながら、三々五々帰って行った。毎朝、百名以上の子供たちが集まっていたため、最後の一人に押し終えると、十分ぐらいは経っていた。
最後に美鈴が近づいて来た。彼女が首に掛けていたのは、桜貝にプラチナの装飾をあしらったペンダントだった。もっとも、プラチナだとわかったのは後年になってからなのだが……。
「びっくりしたあ。どげしたの?」
洋平は照れ隠しをするように、少し大袈裟に言った。
「お祖父ちゃんが行っても良いって。そして、洋平君は頭が良いから、一緒に勉強して、教えてもらいなさいって言ったの」
「ふうん」
洋平は喜びを押し隠すように応じる。
「私も成績は悪くないけど、でもお祖父ちゃんの言う通りにした方が、洋平君ちに行けるから、そうするって言ったの。それで、昨日は九時って言ったけど、朝ごはんを食べたらすぐに行くから、八時までには行けるよ、って言いに来たの」
美鈴は弾んだ声で一気に話した。
「そげなことなら、わざわざ来んでも、電話をすりゃあ済むのに……」
少し意地悪な口調になった。
美鈴が足を運んでくれたことはとても嬉しかったが、彼女の前だとどうしても素直になれない自分が顔を覗かせてしまうのだ。
彼女が少しはにかんだ。
「電話は掛け難かったの。だって、洋平君が出てくれたら良いけど、他の人が出たら、どうしたら良いかわからないし……」
実に意外な言葉だった。洋平は、てっきり言い返してくると思っていた。あれだけ勝気で負けず嫌いの彼女が、しとやかな恥じらいを見せるとは思いも寄らないことだった。
だが、これまでとは全く違う彼女の一面を知り、それがまた、彼の心を一段と強く惹きつけて止まなかった。
周りを見渡すと、すでに境内には二人だけとなっていた。
「じゃあ、帰えらか」
洋平が声を掛けると、
「ちょっと、待ってて。せっかく来たから、お参りさせて」
美鈴は、そう言い残して神社の拝殿に走って行った。お賽銭を入れ、柏手を打つと、少し長めのお祈りをした。
美保浦神社は、かつて別格官幣大社であった出雲大社の流れを汲む、由緒正しき古社だった。そのため、以前は出雲大社に参拝する人々が立ち寄ったこともあって、大変な賑わいをみせていたが、時の流れと共に人の心は移ろい、近年は神話に絡む祭事が執り行われるときにしか、注目されなくなっていた。
「何をお祈りしただ?」
洋平は、戻って来た美鈴に訊ねた。
だが、
「教えないよ」
と、彼女は穏やかな口調で拒否した。その表情は、古代の神々が宿る古社の結界内であったせいか、洋平の目にはとても謎めいたものに映った。
家に戻った洋平は、そそくさと朝ごはんを済ませ、約束の時間の三十分も前から、門の外で待っていた。彼は、幾度となく玄関に戻って時間を確認したが、時は彼の思うようには進まなかった。洋平にとって美鈴を待つ時間は、退屈な授業を受けたときより長かった。
やがて、時計の針が八時五分前を指したとき、ようやく海岸の方から、角を曲がってこちらにやって来る美鈴の姿が見えた。洋平の姿を見つけた彼女は二、三度大きく手を振った後、ゆっくりと走り出した。
洋平の脳裏には、まるでスローモーションを見るように、彼女の駆ける姿が鮮明に焼き付いた。
美鈴は、風に吹かれて飛ばされそうになる帽子にばかり気をとられていたのか、ワンピースの裾が捲れて、太ももが露になっていることも、胸元が上下に大きく波打っていることにも全く無頓着で、なすがままに走っていた。
洋平は、未だ残る太ももの白さに眩しさを、天真爛漫な姿に微笑ましさを覚えながら見つめていた。このとき彼の眼前には、たしかに天使の化身が存在していたのである。
美鈴は恵比寿家の敷地の角まで近づくと、走ることを止め、顔のところで小さく手を振りながら、壁伝いに歩いて来た。
洋平も手を振って応えた。
「待ってて……くれたの?」
美鈴は息を切らしながら訊いた。
「うん。初めてだけん、入り難いかと思って、待ちょった」
洋平は、彼女の来訪が待ち遠しくて、辺りをうろついていたことなど、億尾にも出さなかった。
「ありがとう」
美鈴は、左手で握り拳を作ると、顔の辺りまで持ち上げ、手の甲を洋平に向けた。
「それ、何の合図?」
「洋平君もやってみて」
美鈴は洋平を見つめながら、少しだけ首を横に傾けた。その愛らしい眼差しに、洋平は彼女を直視することができず、
「こう?」
と握った拳で自分の顔を隠した。
「これをサインにしない」
「サイン?」
「そう。うれしいとき、悲しいとき、さびしいとき、つらいとき……言葉にできないとき、こうやって合図するの」
「二人だけのサインだね」
「二人だけの秘密のサインよ」
「わかった」
握り拳を美鈴のそれにぶつけたとき、洋平はまた一歩美鈴との距離が縮まった気がした。
0
あなたにおすすめの小説
仮面王の花嫁〜婚約破棄された薄幸令嬢は仮面の王に愛される〜
松雪
恋愛
婚約者を腹違いの妹に奪われ、新しい相手も見つからず修道院に行く覚悟を決めたルチア。修道女となるため髪を切った日の夜、王城から「国王がルチアを妻に望んでいる」という書簡を持った使者がやって来た。
しかし、従兄弟であり恋仲だったニールが国王のせいで死に至った過去を持つルチアは、国王からの求婚を喜べずーー。
あなたの隣は私ではないけれど、それでも好きでいてもいいですか、レオナルド様
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢エリアーナには、三年間ずっと抱えてきた秘密がある。
婚約者であるヴァルフォード公爵・レオナルドへの、誰にも言えない恋心だ。
しかし彼の隣にいるのは、いつも幼馴染の伯爵令嬢・ソフィア。
儚げな笑顔と上目遣いで男性を虜にするあざとい彼女に、レオナルドも例外ではないようで——
「レオ、私のこと嫌いにならないでね?」
「……そんなことにはならない」
また始まった二人の世界。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
48歳主婦の宅建試験挑戦―そして年下彼がくれた勇気と恋
MisakiNonagase
恋愛
「お母さん」でも「奥さん」でもない、私の名前を呼び止めたのは、26つも年下の彼だった。
「48歳、主婦。私が手に入れたのは、資格(ライセンス)と、甘く切ない自由だった。」
スーパーのパートに明け暮れる平凡な主婦・中西京香、48歳。
目的もなく始めた宅建試験への挑戦が、枯れかけていた彼女の人生を激変させる。
インスタの勉強垢で出会ったのは、娘よりも年下の22歳大学生・幸正。
「不倫なんて、別の世界の出来事だと思っていた――」
そんな保守的で、誰より否定的な考えを持っていたはずの京香が、孤独な受験勉強の中で彼と心を通わせ、気づけば過去問演習よりも重い「境界線」を越えていく。
資格取得、秘めた大人の恋。そして再スタート、
50歳を迎えた彼女が見つけた、自分だけの「地平線」とは。
不動産、法学、そして予期せぬ情熱が交錯する、48歳からの再生と自立の物語。
大嫌い!って100回言ったら、死ぬほど好きに変わりそうな気持ちに気付いてよ…。
菊池まりな
恋愛
25歳の朱里は、同じ部署の先輩・嵩にずっと片想いをしていた。けれども不器用な朱里は、素直に「好き」と言えず、口から出るのはいつも「大嫌い」。彼女のツンデレな態度に最初は笑って受け流していた嵩も、次第に本気で嫌われていると思い込み、距離を置き始める。
そんな中、後輩の瑠奈が嵩に好意を寄せ、オープンに想いを伝えていく。朱里は心の奥で「私は本当は死ぬほど好きなのに」と叫びながらも、意地とプライドが邪魔をして一歩踏み出せない。
しかし、嵩の転勤が決まり、別れが迫ったとき、朱里はついに「大嫌い」と100回も繰り返した心の裏にある“本音”を告白する決意をする――。
背徳のミラールージュ(母と子 それぞれが年の差恋愛にのめり込んでいく鏡写し)
MisakiNonagase
恋愛
24歳の市役所職員・中村洋平には、自慢の恋人がいた。2歳年上の小学校教師、夏海。誰もが羨む「正解」の幸せの中にいたはずだった。
しかし、50歳になる母・美鈴が21歳の青年・翔吾と恋に落ちたとき、歯車は狂い出す。
母の恋路を「不潔だ」と蔑んでいた洋平だったが、気づけば自分もまた、抗えない引力に引き寄せられていた。
その相手は、母の恋人の母親であり、二回りも年上の柳田悦子。
純愛か、背徳か。4年付き合った恋人を捨ててまで、なぜ僕は「彼女」を求めてしまうのか。
交差する二組の親子。歪な四角関係の果てに、彼らが見つける愛の形とは――。
【完結】曖昧な距離で愛している
山田森湖
恋愛
結婚4年目のアラサー夫婦、拓海と美咲。仲は悪くないが、ときめきは薄れ、日常は「作業」になっていた。夫には可愛い後輩が現れ、妻は昔の恋人と再会する。揺れる心、すれ違う想い。「恋人に戻りたい」――そう願った二人が辿り着いた答えは、意外なものだった。曖昧で、程よい距離。それが、私たちの愛の形。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる