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第二十話 二人の三日月
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東富士見町のマンションをあとにした昼間夕子と朝霧美夏の二人は東富士見町駅へ向かう。
歩きながら美夏が謎解きを始めた。
「夕子、三日月はかぐや姫を否定していたのよね」
「そうよ。三日月と言っていたわ」
「そこが謎なのよ」
「どういうこと」
「だって、かぐや姫は双子の姉よ。
ーー だとすれば、どちらも三日月じゃないかしら」
「なるほど、竹取物語のトラップかもしれない」
「そうだとすれば、かぐや姫は存在しない。
ーー つまり二人の三日月姉妹がいるだけ」
「美夏、それよ」
「これからが前世の姉探しか」
美夏はため息を吐いた。
[次は神聖学園前です・・・・・・]
「美夏、降りるわよ」
「夕子、どれくらい歩くのかしら」
「学園と駅とを三角形で結ぶ辺りよ」
「じゃあ、五分くらいかしら」
「もう少し遠いわね」
「では、いざ姉探しに・・・・・」
二人は駅を背にして学園方向に歩いている。
カフェのある書店前を通過した時、夢乃神姫と真夏に遭遇した。
「お前たち、よく会うな」
「先生、探しものがあって」
「古典の参考書かな」
「ピンポン!」
「真夏、先生をからかうのはダメ」
「ヒメ兄、細かいなあ・・・・・・」
「先生たちは、これから何処に行くんですか」
「この間、ヒメと寄った神社に行く予定だ」
朝霧美夏は夕子とヒメの会話を聞いていた。
真夏が口を開く。
「先生、ご一緒してもよろしいですか」
夕子は美夏を見る。
「昼間先生、いいんじゃないかしら」
美夏の許可に夕子は頷く。
「真夏、ちょっと用事あるから、後でな」
と、ヒメは真夏に告げた。
「分かったわ、連絡するね」
夢乃神姫は、神聖学園方向に歩き出し夕子たちと途中で別れた。
「そこの信号を左折して真っ直ぐに行くと直ぐよ」
「昼間先生、その神社へよくお参りするのですか」
「いや、滅多に行くことないな」
「今日は気になることがあってな」
「どんなことですか」
「自宅にあるイラストが神社と似ているんだよ」
「不思議ですね」
「父が昔書いた下書きの絵なんだが」
「それで、確認したいのですね」
「真夏ちゃんは、直感がいいわね」
美夏が褒める。
「次の角を右に曲がると見えるわ」
「学園の近くね」
三人は、神社の鳥居をくぐった。
「なんか、ここ夢で見たことあるよ」
真夏が呟く。
「私も夢で見たわ」
美夏が反応した。
夕子は意外な展開に驚いた。
そんな時、前から薄紅色のワンピースに麦藁帽子の女性が歩いて来た。
「あっ!昼間先生」
夕子は、声を掛けられてはっとした。
なんだろう、この違和感はと思ったのだ。
その女性は、占い部の顧問をしている星乃紫だった。
朝霧美夏と同い年の神聖学園の教師だ。
星乃紫が軽く会釈した時、
ーー 帽子からはみ出たロングヘアの髪が風の悪戯で乱れうなじが覗く。
[未来、三日月は目の前よ]
夕子の頭の中で声が聞こえた。
歩きながら美夏が謎解きを始めた。
「夕子、三日月はかぐや姫を否定していたのよね」
「そうよ。三日月と言っていたわ」
「そこが謎なのよ」
「どういうこと」
「だって、かぐや姫は双子の姉よ。
ーー だとすれば、どちらも三日月じゃないかしら」
「なるほど、竹取物語のトラップかもしれない」
「そうだとすれば、かぐや姫は存在しない。
ーー つまり二人の三日月姉妹がいるだけ」
「美夏、それよ」
「これからが前世の姉探しか」
美夏はため息を吐いた。
[次は神聖学園前です・・・・・・]
「美夏、降りるわよ」
「夕子、どれくらい歩くのかしら」
「学園と駅とを三角形で結ぶ辺りよ」
「じゃあ、五分くらいかしら」
「もう少し遠いわね」
「では、いざ姉探しに・・・・・」
二人は駅を背にして学園方向に歩いている。
カフェのある書店前を通過した時、夢乃神姫と真夏に遭遇した。
「お前たち、よく会うな」
「先生、探しものがあって」
「古典の参考書かな」
「ピンポン!」
「真夏、先生をからかうのはダメ」
「ヒメ兄、細かいなあ・・・・・・」
「先生たちは、これから何処に行くんですか」
「この間、ヒメと寄った神社に行く予定だ」
朝霧美夏は夕子とヒメの会話を聞いていた。
真夏が口を開く。
「先生、ご一緒してもよろしいですか」
夕子は美夏を見る。
「昼間先生、いいんじゃないかしら」
美夏の許可に夕子は頷く。
「真夏、ちょっと用事あるから、後でな」
と、ヒメは真夏に告げた。
「分かったわ、連絡するね」
夢乃神姫は、神聖学園方向に歩き出し夕子たちと途中で別れた。
「そこの信号を左折して真っ直ぐに行くと直ぐよ」
「昼間先生、その神社へよくお参りするのですか」
「いや、滅多に行くことないな」
「今日は気になることがあってな」
「どんなことですか」
「自宅にあるイラストが神社と似ているんだよ」
「不思議ですね」
「父が昔書いた下書きの絵なんだが」
「それで、確認したいのですね」
「真夏ちゃんは、直感がいいわね」
美夏が褒める。
「次の角を右に曲がると見えるわ」
「学園の近くね」
三人は、神社の鳥居をくぐった。
「なんか、ここ夢で見たことあるよ」
真夏が呟く。
「私も夢で見たわ」
美夏が反応した。
夕子は意外な展開に驚いた。
そんな時、前から薄紅色のワンピースに麦藁帽子の女性が歩いて来た。
「あっ!昼間先生」
夕子は、声を掛けられてはっとした。
なんだろう、この違和感はと思ったのだ。
その女性は、占い部の顧問をしている星乃紫だった。
朝霧美夏と同い年の神聖学園の教師だ。
星乃紫が軽く会釈した時、
ーー 帽子からはみ出たロングヘアの髪が風の悪戯で乱れうなじが覗く。
[未来、三日月は目の前よ]
夕子の頭の中で声が聞こえた。
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