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第一章: セカンドライフ始め!
第五話
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「クラフティングは上出来だ」
やっと終わりか。正直言って、これ以上カルパスを食べるのはしんどい。缶ビールは構わんが。
「思ってた以上に上達が早くて助かる」
「そんなに『勇者様』が必要なのか?」
俺の皮肉に微笑を浮かべたアルバッドだったが、目は真剣そのものだった。
「ああ。君が来なかったらノースエンドは敗れていたかもしれない。今も戦場で戦っている者もいる。君を一刻も早く戦場に送りたいところだが、まだ実戦で使えるほどエレメントを使いこなせていないからな」
あー、忘れてた。俺戦場に出されるんだった。すでに死んでるからあんま怖くないのが不幸中の幸いか。何だかコイツらの影響で俺まで軽いヤツになったような気がするな。
「我々ノースエンド軍もといノース軍は、サウス軍に勝っていたんだ。だが、ある時を機に戦に負けるようになった。噂なんだが、相当強い闇使いがサウス軍に入ったらしい。私はまだ見たこと無いのだが、そいつを見た者で生還した者はいないという噂だ」
「アンタが戦場に出ないで大丈夫なのか?」
軍の中で一番強い兵士が戦場に出ないでどうする。負けてんのはアンタのせいじゃないのか。
「それは大丈夫だ。私も君が来る少し前まで戦場にいたんだ。交代しないと身体が持たん。今は私の弟が戦線にいるから心配はいらん」
「弟?半天使じゃなくても兄弟を作れるのか?」
「天使に関しては神が決めることだ。神が『君たち今日から兄弟ね』と言ったら兄弟なんだよ」
「神に会ったことがあるのか?」
「そりゃ神に創られたんだからな。でも創られたとき以外では会ったことがない。神に会えるのはコーヘン様とカオスしか許されていなかったからな」
そんなに凄いのか、あの王様。あんな若い見た目で。
「神様って、やっぱ、こう、神々しいのか?」
「凄まじいオーラの持ち主だぞ。ハジメなら小便チビるかもしれん」
どんだけ凄いんだよ。
「さて、休憩はお終いだ。次はクラフティングの高度な技術を身に付けてもらう。ここからが実戦で使える能力だと思ってくれ。先ずは、私が手本を見せるから見ててくれ」
アルバッドは右腕を少し上げ、目を閉じた。集中しているのがこっちにも伝わってくる。俺には見えないが、エレメントが右手に集中しているんだろう。
ほんの数秒だっただろうか。
いや、それより短かったかもしれない。
気付いたらアルバッドの右手には銀色の剣が握られていた。
「すごい......」
訓練すれば、こんなに早くクラフティングが出来るのか。
「ワハハハハ、凄いだろハジメ!」
さっきの褒め言葉を撤回してやろうか。
「アルバッド様のクラフティングは軍の中でナンバーワンです」
イリスが褒めると、アルバッドはまたワハハと笑い始めた。
「クラフティングは早いだけじゃダメなんだ。どれだけ早くても、エレメントを十分に練り込まないと、ただのガラクタ同然だ」
「ちょっと良いか?」
「はい、ハジメくん」
コイツ本当に天使か?ボケ方が異様に人間くさいんだが。
「さっき俺がクラフトしたのは宅飲みの思い出を使った食べ物だっただろ?武器にはどんな思い出を入れたんだ?クラフトする物と、思い出は繋がって無くてもいいのか?」
「おお、いい質問だ。流石は優等生。その質問には、イリスが答えてくれるだろう」
アルバッドはイリスの方を見た。イリス本人は嬉しそうだったが、少し照れてるように見えた。
「そうですね、クラフティングする物にもよりますが、武器をクラフトする時は特殊なんです」
イリスがメガネをクイッと上げた。
「この世界の武器の強さは、その人の思い出の強さ、つまりエレメントの強さと比例しているんです。なので、食べ物を作るときとは違って直接武器に繋がる思い出じゃなくても大丈夫なんです」
アルバッドの「ありがとう」の言葉でイリスはお辞儀をして下がった。
「彼女はね、私の秘書をしているだけじゃなくて、軍でエレメントや魂の研究もしているんだ」
じゃあ最初からイリスに説明させろよ、この巨体髭面オッサンめ。
「ってちょっと待てよ。俺の思い出ってそんなに強くないぞ。そんなんで戦場で使えるような武器が作れんのか?」
「大丈夫です。ハジメ様は十分、いやそれ以上の思い出をお持ちです」
「その通りだ。死因を思い出してみろ」
テクノブレイク。それが俺の死因。すごく嫌な予感がするんだが......
「テクノブレイクなんですけど......」
「そうだ。それだ、ハジメ。死ぬ程だったなら十分強い思い出だと思うぞ」
そんな思い出で作った武器を戦場で振り回すのか。背徳感しか感じないな。
「さっきと同じ方法でやってみるんだ。でも、今回は明確に何を作りたいかイメージするんだ」
俺はカルパスと缶ビールを作ったときと同じように、目を閉じ、集中した。
先ずは思い出を身体中に巡らせる。
俺の大好きな巨乳金髪娘をイメージ。
おお、さっきより鮮明にイメージが出来るぞ。
エントランスで巨乳金髪天使を見たからか?
「次はエレメントを手に集中させるんだ!」
これなら出来る気がする。手に集中。
「そして何を作るかイメージして、エレメントを放出するんだ!」
イメージ。アルバッドがさっき作った剣でいいか。そしてエレメントを放出!
『おおー』
天使たちの感嘆の声が聞こえる。成功したのか?
目を開けたら、少し驚いた二人が目に入った。
「出来たのか?」
「ああ、上出来だ。良くやった」
さっきまでは重さを感じなかったが、急に重さを感じた。
「でもこの剣先、少し卑猥な形してますね」
メガネ天使が言った。
うん?剣先が何だって?
視線を剣先に向けると、明らかに男のアソコの形をしていた。
これ、アニメとかだったらモザイク入るヤツじゃん。
「うわーハジメ変態ー」
「お前、さっきまで上出来だとか言ってたよな!クソ、もう一回だ!」
それから5回クラフティングをした。
「チ◯コまみれじゃないか。どうしてくれるんだ、ハジメ」
「お前にもあんのかよ」
「そりゃあるさ。君のよりデカイ」
軍のトップが何を言ってるんだ。しかもイリスはノーリアクション。こう言う会話にも慣れてるんだろうか。ってそれ普通にセクハラだろオッサン。
「クソ!どうやったら変態部分を抑えられるんだ」
「イメージする部分を少し変えて見てはどうでしょうか?」
イメージ部分?
「どういうことだ?」
「ハジメ様は現在、卑猥な思い出のエレメントばかりを注入するあまり、それが武器に反映されています。なので、それを少しズラすのです。卑猥な部分ではなく、気持ちよくなった部分に。男性は、気持ちよくなると賢者のようになると聞きました」
は?この子は何言っちゃってるんだ?しかも真顔で。
「いや、イリスの言った方法でやってみるんだ。成功するかもしれん」
「わかった。やってみるか」
死ぬ直前に、少しだけ気持ち良くなれたはずだ。
それを思い出してクラフティングをすればいい。
集中、集中、集中。
そして、、、放出!
「出来た!」
俺の右手に、純白の剣が見えた。
中々カッコいいじゃないか。
しかも剣先も、どこも変じゃないぞ!
「完璧だ。やはり君はすごい才能の持ち主だ。感服だよ」
「これって所謂、精子の色では?」
またそう言うこと言う、この子は。
「本当だ......」
アルバッドもショックを受けてるみたいだ。
「じゃあ、名前は白濁の騎士で行こう!」
本当に、どこでそう言うネタを覚えてくるんだコイツは。
「せめてホワイト・ナイトとかにしてくれ」
結局、俺の武器は最初から最後まで卑猥だった。
やっと終わりか。正直言って、これ以上カルパスを食べるのはしんどい。缶ビールは構わんが。
「思ってた以上に上達が早くて助かる」
「そんなに『勇者様』が必要なのか?」
俺の皮肉に微笑を浮かべたアルバッドだったが、目は真剣そのものだった。
「ああ。君が来なかったらノースエンドは敗れていたかもしれない。今も戦場で戦っている者もいる。君を一刻も早く戦場に送りたいところだが、まだ実戦で使えるほどエレメントを使いこなせていないからな」
あー、忘れてた。俺戦場に出されるんだった。すでに死んでるからあんま怖くないのが不幸中の幸いか。何だかコイツらの影響で俺まで軽いヤツになったような気がするな。
「我々ノースエンド軍もといノース軍は、サウス軍に勝っていたんだ。だが、ある時を機に戦に負けるようになった。噂なんだが、相当強い闇使いがサウス軍に入ったらしい。私はまだ見たこと無いのだが、そいつを見た者で生還した者はいないという噂だ」
「アンタが戦場に出ないで大丈夫なのか?」
軍の中で一番強い兵士が戦場に出ないでどうする。負けてんのはアンタのせいじゃないのか。
「それは大丈夫だ。私も君が来る少し前まで戦場にいたんだ。交代しないと身体が持たん。今は私の弟が戦線にいるから心配はいらん」
「弟?半天使じゃなくても兄弟を作れるのか?」
「天使に関しては神が決めることだ。神が『君たち今日から兄弟ね』と言ったら兄弟なんだよ」
「神に会ったことがあるのか?」
「そりゃ神に創られたんだからな。でも創られたとき以外では会ったことがない。神に会えるのはコーヘン様とカオスしか許されていなかったからな」
そんなに凄いのか、あの王様。あんな若い見た目で。
「神様って、やっぱ、こう、神々しいのか?」
「凄まじいオーラの持ち主だぞ。ハジメなら小便チビるかもしれん」
どんだけ凄いんだよ。
「さて、休憩はお終いだ。次はクラフティングの高度な技術を身に付けてもらう。ここからが実戦で使える能力だと思ってくれ。先ずは、私が手本を見せるから見ててくれ」
アルバッドは右腕を少し上げ、目を閉じた。集中しているのがこっちにも伝わってくる。俺には見えないが、エレメントが右手に集中しているんだろう。
ほんの数秒だっただろうか。
いや、それより短かったかもしれない。
気付いたらアルバッドの右手には銀色の剣が握られていた。
「すごい......」
訓練すれば、こんなに早くクラフティングが出来るのか。
「ワハハハハ、凄いだろハジメ!」
さっきの褒め言葉を撤回してやろうか。
「アルバッド様のクラフティングは軍の中でナンバーワンです」
イリスが褒めると、アルバッドはまたワハハと笑い始めた。
「クラフティングは早いだけじゃダメなんだ。どれだけ早くても、エレメントを十分に練り込まないと、ただのガラクタ同然だ」
「ちょっと良いか?」
「はい、ハジメくん」
コイツ本当に天使か?ボケ方が異様に人間くさいんだが。
「さっき俺がクラフトしたのは宅飲みの思い出を使った食べ物だっただろ?武器にはどんな思い出を入れたんだ?クラフトする物と、思い出は繋がって無くてもいいのか?」
「おお、いい質問だ。流石は優等生。その質問には、イリスが答えてくれるだろう」
アルバッドはイリスの方を見た。イリス本人は嬉しそうだったが、少し照れてるように見えた。
「そうですね、クラフティングする物にもよりますが、武器をクラフトする時は特殊なんです」
イリスがメガネをクイッと上げた。
「この世界の武器の強さは、その人の思い出の強さ、つまりエレメントの強さと比例しているんです。なので、食べ物を作るときとは違って直接武器に繋がる思い出じゃなくても大丈夫なんです」
アルバッドの「ありがとう」の言葉でイリスはお辞儀をして下がった。
「彼女はね、私の秘書をしているだけじゃなくて、軍でエレメントや魂の研究もしているんだ」
じゃあ最初からイリスに説明させろよ、この巨体髭面オッサンめ。
「ってちょっと待てよ。俺の思い出ってそんなに強くないぞ。そんなんで戦場で使えるような武器が作れんのか?」
「大丈夫です。ハジメ様は十分、いやそれ以上の思い出をお持ちです」
「その通りだ。死因を思い出してみろ」
テクノブレイク。それが俺の死因。すごく嫌な予感がするんだが......
「テクノブレイクなんですけど......」
「そうだ。それだ、ハジメ。死ぬ程だったなら十分強い思い出だと思うぞ」
そんな思い出で作った武器を戦場で振り回すのか。背徳感しか感じないな。
「さっきと同じ方法でやってみるんだ。でも、今回は明確に何を作りたいかイメージするんだ」
俺はカルパスと缶ビールを作ったときと同じように、目を閉じ、集中した。
先ずは思い出を身体中に巡らせる。
俺の大好きな巨乳金髪娘をイメージ。
おお、さっきより鮮明にイメージが出来るぞ。
エントランスで巨乳金髪天使を見たからか?
「次はエレメントを手に集中させるんだ!」
これなら出来る気がする。手に集中。
「そして何を作るかイメージして、エレメントを放出するんだ!」
イメージ。アルバッドがさっき作った剣でいいか。そしてエレメントを放出!
『おおー』
天使たちの感嘆の声が聞こえる。成功したのか?
目を開けたら、少し驚いた二人が目に入った。
「出来たのか?」
「ああ、上出来だ。良くやった」
さっきまでは重さを感じなかったが、急に重さを感じた。
「でもこの剣先、少し卑猥な形してますね」
メガネ天使が言った。
うん?剣先が何だって?
視線を剣先に向けると、明らかに男のアソコの形をしていた。
これ、アニメとかだったらモザイク入るヤツじゃん。
「うわーハジメ変態ー」
「お前、さっきまで上出来だとか言ってたよな!クソ、もう一回だ!」
それから5回クラフティングをした。
「チ◯コまみれじゃないか。どうしてくれるんだ、ハジメ」
「お前にもあんのかよ」
「そりゃあるさ。君のよりデカイ」
軍のトップが何を言ってるんだ。しかもイリスはノーリアクション。こう言う会話にも慣れてるんだろうか。ってそれ普通にセクハラだろオッサン。
「クソ!どうやったら変態部分を抑えられるんだ」
「イメージする部分を少し変えて見てはどうでしょうか?」
イメージ部分?
「どういうことだ?」
「ハジメ様は現在、卑猥な思い出のエレメントばかりを注入するあまり、それが武器に反映されています。なので、それを少しズラすのです。卑猥な部分ではなく、気持ちよくなった部分に。男性は、気持ちよくなると賢者のようになると聞きました」
は?この子は何言っちゃってるんだ?しかも真顔で。
「いや、イリスの言った方法でやってみるんだ。成功するかもしれん」
「わかった。やってみるか」
死ぬ直前に、少しだけ気持ち良くなれたはずだ。
それを思い出してクラフティングをすればいい。
集中、集中、集中。
そして、、、放出!
「出来た!」
俺の右手に、純白の剣が見えた。
中々カッコいいじゃないか。
しかも剣先も、どこも変じゃないぞ!
「完璧だ。やはり君はすごい才能の持ち主だ。感服だよ」
「これって所謂、精子の色では?」
またそう言うこと言う、この子は。
「本当だ......」
アルバッドもショックを受けてるみたいだ。
「じゃあ、名前は白濁の騎士で行こう!」
本当に、どこでそう言うネタを覚えてくるんだコイツは。
「せめてホワイト・ナイトとかにしてくれ」
結局、俺の武器は最初から最後まで卑猥だった。
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