テクノブレイクで死んだおっさん、死後の世界で勇者になる

伊藤すくす

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第三章: パイロマニアック

第七話

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アナの暴走から数週間が経った。アナの容体は安定しているが、未だに目が覚めていない状態だ。

カンナは無事退院し、今日は俺とカンナでアナを見張る番だ。

「では後は頼みました」
「二人きりだからって変なことすんなよー」

俺たちの前に番をしていたスイとカイルだ。カイルは相変わらず馬鹿なことを言ってるな。

「あいつ馬鹿だよなー」
俺がそう言ってもカンナから返答はない。どうしたんだ?いつもなら何か言ってくるのに。

「カンナ?」
「う、うるさい!」
バチン!と音と共に、俺の頰がヒリヒリし始めた。やっぱいつも通りじゃねえか。

引っ叩かれてから、見張りをしている間、カンナは全く話してくれなかった。それより何か避けられてないか、俺?

アナは相変わらず寝ていた。使った能力の反動で寝込む期間が決まる、とかなんだろうか?アナだけじゃなくて、他の神の子たちの能力についても気になるな。聞いた話だと、アナが目覚めて情報を聞き出してから小隊を編成するらしい。

それと、俺はまだ出たことがないが、戦場の方はどうなっているんだろうか?膠着状態が続いてるらしいけど、それって何か大きなことが起こるってことなんじゃないか?神の子たちが現れたのはその布石と考えるべきだな。

それにしても色々と疑問が出てくる。神の子が実際に神に創られた『子』なら、神本人はどこで何をしているんだ。神について、アナは何も知らないんだろうか?

早く目覚めないだろうか。エイプリルってやつに関しても聞きたいしな。

でも、やっぱりタイミングが良すぎる気もするな。神の消息が分からなくなってから、暫く経つ。そして自分で言うのもなんだが、最強の光エレメント使いがヨードに来た。それに応えるようにアナと神の子たちが現れた。それだけじゃない。噂によるとマルクとか言う最強の闇使いがサウス軍にいるらしいじゃないか。

これら全て偶然だとは思えない。それとも死後の世界なんだから、何でもアリって考えた方が良いんだろうか?

「なあ、カンナ」
「な、なによ」

何でそんなにビクついてんだよ。ただ話しかけただけだろ。

「神って信じてるか?」
「神様のこと?私がここに来たときにはもう居なかったし、あんま分かんないかな」

私が来たとき?ここに来たとき?

「カンナ、お前どこ生まれだ?」
「どこって日本だけど.....?」

うーん、だからどうしたって話なんだが、気付くべきだったな。

「人間だったなら、そう言ってくれよ!」
「え、何で怒られてんの私?」

そりゃそうだ。神を知らないって言ってる時点で天使じゃないんだ。天使は神に創られたんだからな。

それに半天使でもない。だってカンナと暫く一緒にいるが、何も成長してる感じがしないからな。

「なんだよ。人間だったのかよ。てっきり大天使は皆んな天使だと思ってたぜ」
「何言ってんの。アンタも人間じゃない。でも他の皆んなは天使よ」
「半天使はいないのか?」
「そうね。軍にはいるけど、寿命を持ってるし、天使とか人間と比べて戦える期間が決まってるから、あまり見かけないわね」
「そうなのか。それより俺が日本人ってのは気付いてたか?」
「名前で分かるわよ、そんなの」
「嬉しかったりしたか?」
「バ、バカじゃない?そんなの、ある訳ないでしょ!」
「本当か?」
「す、少しだけテンション上がったけど......」

こんなリアクションを貰えると思ってなかったが、聞いて良かった。普通にカンナが愛おしく思えて来た。

ちょっと恥ずかしくなった所で、アナの様子でも見るか。

アナの部屋に入った瞬間、違和感を感じた。もしかして......

「アナがいない」
「どういうこと?」

いや、それはあり得ない。部屋の外で見張ってたから、外からの侵入は不可能だ。それにこの部屋には窓がない。

アナが自分で出て行ったのか?それともビーストで連れ去られたか?

「サウス軍かもしれない。でも布団がまだ暖かい。そう遠くには行ってないはずだ」
「サウスエンドとノースエンドが繋がってるのは天獄橋だけよ。手遅れじゃないなら、きっとそこに居るはず。軍には移動しながら連絡しましょう」

こんな早くに行動するとは思ってなかった。でも今回は救ってやる。絶対に。
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