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サミュエル 10歳 ローラ 15歳
噂話
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女性に比べて、男性は大人に見えても子供みたいなのは多い。兄上だって、三歳下のエイミー嬢より子供に見えることもあるし。騎士団の訓練中の様子を見ていると、休憩中の小競り合いなんかは、子供みたいで、煩い。
最近騎士団には、私ぐらいの子供が混じっている。とは言え、訓練には当然ながら混じらない。私の剣の相手として、同じ歳の騎士団長の息子が来てくれている。騎士団長の息子は双子で、どちらも強いのだが、兄の方が大人しく、弟は乱暴者だ。兄の方は、ランドルフと言い、頭も良く、普段は本を読んでいることが多い。弟は、本を読むと眠くなる体質で、普段から暴れているため、どちらかと言うと、剣の腕前は弟の方が上だ。弟の名前はカイルと言う。
「サミュエルって、歳の離れた婚約者なんだろ。話、合うの?」
兄ランドルフが興味津々と言った様子で聞いてくる。貴族に生まれたからには歳の差なんて無い方が珍しく、自分がそうなった時のために聞きたいらしい。
「うん。たまに噛み合っていない時もあるけれど、向こうが歳上だから気を使われている気はするね。でも、もう三年になるから、お互いにだんだん分かってきた感じだよ。」
「ふーん。でも、ローラ嬢って美人だし、賢いし、淑女だし。羨ましいよな。エイミー嬢も最近は違うけれど当時は凄かったから、サミュエル様やるなぁ、って思ってたよ?」
「そうそう、三年前?デイヴィス様と婚約者交換したじゃない?正式に決まる前とは言え、ほぼ決まりかけていたのに、番狂わせで。俺、サミュエル様が駄々をこねたのかと思った。やだやだやだ、ローラが良い、とか言って。」
「実際は兄上だけどね、駄々をこねたのは。」
一体、どんな印象を持たれていたのかと苦笑する。
「でもエイミー嬢が今大人しくなってきたから、教育がちゃんと終わったら、また交換されるんじゃないかみたいな噂もあったよね。」
「ん?どう言うこと?」
「もう一度、エイミー嬢が、サミュエル様の婚約者になって、ローラ嬢が、王太子殿下の婚約者になるってこと。そう言う噂が前にあったんだよ。でも、ローラ嬢が嫌がったって話。」
「私はサミュエル様をお慕いしておりますし、エイミー嬢とデイヴィス様はそれはもう仲睦まじいので、誰かが入る隙間などございません。って言い切ったそうだよ。愛されてるね、サミュエル。」
「私だって、ローラを愛してるさ。」
「そう言うことは本人に言えば良いと思うよ。僕らに言われても、羨ましくなるだけだし。」
そうだね。
最近騎士団には、私ぐらいの子供が混じっている。とは言え、訓練には当然ながら混じらない。私の剣の相手として、同じ歳の騎士団長の息子が来てくれている。騎士団長の息子は双子で、どちらも強いのだが、兄の方が大人しく、弟は乱暴者だ。兄の方は、ランドルフと言い、頭も良く、普段は本を読んでいることが多い。弟は、本を読むと眠くなる体質で、普段から暴れているため、どちらかと言うと、剣の腕前は弟の方が上だ。弟の名前はカイルと言う。
「サミュエルって、歳の離れた婚約者なんだろ。話、合うの?」
兄ランドルフが興味津々と言った様子で聞いてくる。貴族に生まれたからには歳の差なんて無い方が珍しく、自分がそうなった時のために聞きたいらしい。
「うん。たまに噛み合っていない時もあるけれど、向こうが歳上だから気を使われている気はするね。でも、もう三年になるから、お互いにだんだん分かってきた感じだよ。」
「ふーん。でも、ローラ嬢って美人だし、賢いし、淑女だし。羨ましいよな。エイミー嬢も最近は違うけれど当時は凄かったから、サミュエル様やるなぁ、って思ってたよ?」
「そうそう、三年前?デイヴィス様と婚約者交換したじゃない?正式に決まる前とは言え、ほぼ決まりかけていたのに、番狂わせで。俺、サミュエル様が駄々をこねたのかと思った。やだやだやだ、ローラが良い、とか言って。」
「実際は兄上だけどね、駄々をこねたのは。」
一体、どんな印象を持たれていたのかと苦笑する。
「でもエイミー嬢が今大人しくなってきたから、教育がちゃんと終わったら、また交換されるんじゃないかみたいな噂もあったよね。」
「ん?どう言うこと?」
「もう一度、エイミー嬢が、サミュエル様の婚約者になって、ローラ嬢が、王太子殿下の婚約者になるってこと。そう言う噂が前にあったんだよ。でも、ローラ嬢が嫌がったって話。」
「私はサミュエル様をお慕いしておりますし、エイミー嬢とデイヴィス様はそれはもう仲睦まじいので、誰かが入る隙間などございません。って言い切ったそうだよ。愛されてるね、サミュエル。」
「私だって、ローラを愛してるさ。」
「そう言うことは本人に言えば良いと思うよ。僕らに言われても、羨ましくなるだけだし。」
そうだね。
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