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婚約者は性格が悪いので
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馬鹿の一つ覚えみたいに、私のとなりで転ぶ、というのはやめたらしい子爵令嬢は、次は体を張った芸を始めた。
転ぶのは相変わらず。だけどそれが平面ではなく、高いところや水場に変わったのだ。
普段から転びやすい彼女は靴を変えるか、走るのをやめたら良いと思うのだが、どうなのだろう。
彼女はキャーといいながら、階段を転げ落ち、怪我をした体でよろよろしては私の婚約者に手を差し出すが、彼は無視を決め込んでいる。
「アトラス様、助けてください。」
名指しなので、他の親切な人の手は取らないのだが、アトラス様は、にっこりとは笑うが、手を触れたりはしない。
汚いものを見るような目はするけれど。彼女はあんな大きな瞳をしているのに、何も見えていないらしく、彼の名前を呼びながら、犯人を私に仕立てたいようだ。
ただそれはおススメしない。
だって、「アリス様に……」と言ったところで、キラキラした瞳で此方にかけてくる大型ワンコのような婚約者を見ることになるから。
彼女と違い、階段には近づきもしなかった私を颯爽とお姫様抱っこし、彼は「怪我はないね?」と額に口付ける。
周囲から悲鳴が上がり、私は羞恥で顔が赤くなった。
「大変だ。顔が赤い。熱があるんじゃないか。」
両手が塞がっているため、彼は自分の額と、私の額をくっつけて、体温を測る。
私はいつのまにか本当に熱が出たようにグッタリとしてしまった。
保健室ではなく、何故か早退することになって、気がつけば私は公爵家の彼の家のベッドに寝かされていた。どうせなら伯爵家に送ってくれたらいいのに、何故私は公爵家にいるのだろう。
彼は愛する婚約者の看病をするのは当たり前だとやたら近くにいるけれど、そうしているうちに動悸が苦しくなるのでやめてほしい。
そうなりたくないのに、羞恥から涙目になって懇願する形になってしまう。まるであのあざとい子爵令嬢みたい。
「可愛い。」
彼は苦しそうな私を優しく看病してくれた。どこも悪くなかったはずなのに今はすっかり熱っぽくなっている。おかしい。
彼は眠気に襲われている私に優しく声をかける。
「安心してお休み。起きたら全ては終わっているからね。」
「………が、………て……い……」
最後の言葉は聞こえなかった。
私が寝たのを確認した彼は、部屋を出ると、急いで学園に戻る。
彼にはやることがあった。まずは学園長に挨拶をする。
「子爵令嬢を退学にすることはできても、また新しいのが送られてくるだけ。ならば元凶を全て無くさなくては。」
アトラスは今までただ婚約者のアリスを構い倒していたわけではない。彼女に近づくハイエナ共を蹴散らし続けてきた。
だって自分は性格が悪いから、彼女と自分以外はどうなっても良いのだ。
転ぶのは相変わらず。だけどそれが平面ではなく、高いところや水場に変わったのだ。
普段から転びやすい彼女は靴を変えるか、走るのをやめたら良いと思うのだが、どうなのだろう。
彼女はキャーといいながら、階段を転げ落ち、怪我をした体でよろよろしては私の婚約者に手を差し出すが、彼は無視を決め込んでいる。
「アトラス様、助けてください。」
名指しなので、他の親切な人の手は取らないのだが、アトラス様は、にっこりとは笑うが、手を触れたりはしない。
汚いものを見るような目はするけれど。彼女はあんな大きな瞳をしているのに、何も見えていないらしく、彼の名前を呼びながら、犯人を私に仕立てたいようだ。
ただそれはおススメしない。
だって、「アリス様に……」と言ったところで、キラキラした瞳で此方にかけてくる大型ワンコのような婚約者を見ることになるから。
彼女と違い、階段には近づきもしなかった私を颯爽とお姫様抱っこし、彼は「怪我はないね?」と額に口付ける。
周囲から悲鳴が上がり、私は羞恥で顔が赤くなった。
「大変だ。顔が赤い。熱があるんじゃないか。」
両手が塞がっているため、彼は自分の額と、私の額をくっつけて、体温を測る。
私はいつのまにか本当に熱が出たようにグッタリとしてしまった。
保健室ではなく、何故か早退することになって、気がつけば私は公爵家の彼の家のベッドに寝かされていた。どうせなら伯爵家に送ってくれたらいいのに、何故私は公爵家にいるのだろう。
彼は愛する婚約者の看病をするのは当たり前だとやたら近くにいるけれど、そうしているうちに動悸が苦しくなるのでやめてほしい。
そうなりたくないのに、羞恥から涙目になって懇願する形になってしまう。まるであのあざとい子爵令嬢みたい。
「可愛い。」
彼は苦しそうな私を優しく看病してくれた。どこも悪くなかったはずなのに今はすっかり熱っぽくなっている。おかしい。
彼は眠気に襲われている私に優しく声をかける。
「安心してお休み。起きたら全ては終わっているからね。」
「………が、………て……い……」
最後の言葉は聞こえなかった。
私が寝たのを確認した彼は、部屋を出ると、急いで学園に戻る。
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「子爵令嬢を退学にすることはできても、また新しいのが送られてくるだけ。ならば元凶を全て無くさなくては。」
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だって自分は性格が悪いから、彼女と自分以外はどうなっても良いのだ。
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