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こんな私だけど、友人はいる。主に実家絡みの年上の高位貴族の令嬢達だけど。中にはすでに結婚して夫人となっている人もいて、彼女達には学園でのいざこざまでは噂が回っていなかった。
「まさか貴女に能力が発現するなんて、思わないじゃない?でも、これで自称聖女の胡散臭さが理解されたでしょうね。」
彼女には私と同じ歳の妹がいるが、その妹と私は特に仲が良いわけではない。寧ろ、何故か嫌われていた。
「あの子の目も覚めたでしょう。全くあんな下位貴族に骨抜きにされるなんて。馬鹿みたいよね?」
あの聖女とか名乗っていた女は、魅了魔法のおかげか、一部の女生徒からも一定の支持を得ていた。自分の婚約者を取られても尚、彼女を悪く言わずに崇めるなんて、異常な空気だった。
「彼女の魅了魔法は私が粉々にしたらしいから、もう洗脳も解けているんでしょう?後遺症みたいなものはなかったの?」
「あの子は、割と早くに目覚めたのよね。正気に戻るのも早かったから、それほど強くはかけられてなかったみたいよ。婚約者だったあの男は数日寝込んだみたい。寝ている間に妹との婚約は解消したわ。向こうは文句があるみたいだったけど、ねぇ、侯爵家を舐めてるのか聞いたら黙ったらしいわ。婚約中に不貞した証拠は妹が持っていたし、慰謝料もたんまりともぎ取ってやったわ。」
それでね、と彼女はとても言いにくそうに言葉をつづける。
「あの、妹が貴女に御礼?が言いたいそうなの。」
彼女の視線の先には、睨みを効かせた彼女の妹が。凄みが増しているように見えるのは気のせい?
美少女が間近に迫ると同性でも緊張するものなのね。
「も」
も?
「……申し訳ありませんでしたぁ!!」
美少女が、涙目で上目遣いというのは、……とても破壊力がある。
彼女は綺麗なスライディング土下座をかまし、………ん?ちょっと待って。スライディング土下座?
も、もしかして?
「何度謝っても許されることではありません。私は神の巫女様に向かってあまりにも失礼な「貴方、あの歌のタイトルってわかる?多分ドラマのエンディングだったと思うのだけど。」……え?」
「話を遮ってごめんなさい。だけど貴女がスライディング土下座なんてするから。」
「え?え?ええーーーーー?」
友人は二人のやりとりをポカンとしながら見ている。が、私達二人は異常なテンションで盛り上がる。
「◯◯◯とかですか?」
彼女は驚きながらも悩んであるタイトルを口にした。
それは自分が思い出した曲ではなかったがあっという間に、今度はその曲のメロディが頭を占拠したのだった。
彼女はやはり私と同じ、前世の記憶があの場で戻った一人。そして、私とは違いこの物語を知っていると言う。
「知っていたのに、あんな女に骨抜きになっていたなんて、悔しいやら情けないやら。」
とはいえ、記憶がなかったのなら仕方ない。
彼女は今までとは随分性格が変わったようでハキハキと疑問には答えていってくれる。だから、私は一番気になっていたことを聞いてみた。
「あの場で私と踊った……あれはダンス?と言っていいかわからないけど、あの男性が誰かわかる?」
私は何気なく聞いただけなのに、何故か二人からは呆れたような顔を返される。
「知ってて踊ってたんじゃないの?」
「彼の方をご存知ないのですか?」
「え?有名な人?」
「リノス・オニール様。大神官様の息子で、今回の魅了魔法をいち早く見抜いた凄い人よ。」
大神官って結婚してるの?いや、まあ、息子ぐらいはいる年齢だとは思うけれど。ああいう人達って結婚しないと勝手に思っていたわ。
「まさか貴女に能力が発現するなんて、思わないじゃない?でも、これで自称聖女の胡散臭さが理解されたでしょうね。」
彼女には私と同じ歳の妹がいるが、その妹と私は特に仲が良いわけではない。寧ろ、何故か嫌われていた。
「あの子の目も覚めたでしょう。全くあんな下位貴族に骨抜きにされるなんて。馬鹿みたいよね?」
あの聖女とか名乗っていた女は、魅了魔法のおかげか、一部の女生徒からも一定の支持を得ていた。自分の婚約者を取られても尚、彼女を悪く言わずに崇めるなんて、異常な空気だった。
「彼女の魅了魔法は私が粉々にしたらしいから、もう洗脳も解けているんでしょう?後遺症みたいなものはなかったの?」
「あの子は、割と早くに目覚めたのよね。正気に戻るのも早かったから、それほど強くはかけられてなかったみたいよ。婚約者だったあの男は数日寝込んだみたい。寝ている間に妹との婚約は解消したわ。向こうは文句があるみたいだったけど、ねぇ、侯爵家を舐めてるのか聞いたら黙ったらしいわ。婚約中に不貞した証拠は妹が持っていたし、慰謝料もたんまりともぎ取ってやったわ。」
それでね、と彼女はとても言いにくそうに言葉をつづける。
「あの、妹が貴女に御礼?が言いたいそうなの。」
彼女の視線の先には、睨みを効かせた彼女の妹が。凄みが増しているように見えるのは気のせい?
美少女が間近に迫ると同性でも緊張するものなのね。
「も」
も?
「……申し訳ありませんでしたぁ!!」
美少女が、涙目で上目遣いというのは、……とても破壊力がある。
彼女は綺麗なスライディング土下座をかまし、………ん?ちょっと待って。スライディング土下座?
も、もしかして?
「何度謝っても許されることではありません。私は神の巫女様に向かってあまりにも失礼な「貴方、あの歌のタイトルってわかる?多分ドラマのエンディングだったと思うのだけど。」……え?」
「話を遮ってごめんなさい。だけど貴女がスライディング土下座なんてするから。」
「え?え?ええーーーーー?」
友人は二人のやりとりをポカンとしながら見ている。が、私達二人は異常なテンションで盛り上がる。
「◯◯◯とかですか?」
彼女は驚きながらも悩んであるタイトルを口にした。
それは自分が思い出した曲ではなかったがあっという間に、今度はその曲のメロディが頭を占拠したのだった。
彼女はやはり私と同じ、前世の記憶があの場で戻った一人。そして、私とは違いこの物語を知っていると言う。
「知っていたのに、あんな女に骨抜きになっていたなんて、悔しいやら情けないやら。」
とはいえ、記憶がなかったのなら仕方ない。
彼女は今までとは随分性格が変わったようでハキハキと疑問には答えていってくれる。だから、私は一番気になっていたことを聞いてみた。
「あの場で私と踊った……あれはダンス?と言っていいかわからないけど、あの男性が誰かわかる?」
私は何気なく聞いただけなのに、何故か二人からは呆れたような顔を返される。
「知ってて踊ってたんじゃないの?」
「彼の方をご存知ないのですか?」
「え?有名な人?」
「リノス・オニール様。大神官様の息子で、今回の魅了魔法をいち早く見抜いた凄い人よ。」
大神官って結婚してるの?いや、まあ、息子ぐらいはいる年齢だとは思うけれど。ああいう人達って結婚しないと勝手に思っていたわ。
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