美少年は男嫌い

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練習(隼人)

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帰る時間になって、悩むのを諦めて大澤君を迎えに行く。ウジウジしていても仕方がない。結局、彼本人に聞くしか悩みを解消する術はないのだから。

半日ぶりに会った彼はやっぱり、難しい顔をしていて、朝のことを気にしている様子だった。

大人げないと思いつつも、その様子に溜飲はさがる。

「スーパー寄ってもいい?」
話しかけると、とびきり嬉しそうに彼は頷いた。

でかい犬みたいだな。ボールとか投げたら取ってきそう。

学校から直接スーパーへ行く時は、必ずエコバッグを入れて学校に行く。花柄で少し恥ずかしいのだが、自分の風貌によるのか、まだ笑われたことはない。

「何か食いたいもんあるか?」
「…肉?」
安い肉があれば、少し多めに買おう。
野菜もたくさん買う。ただでさえ若い子の一人暮らしは栄養が偏りがちなのだ。大人になって苦労しないように野菜も取らなきゃ。

さっきまでの気まずさは嘘のように、普通に話せてる。彼と疎遠になることは本意ではなかったので、喜ばしいことなのか。

「大澤君は、好き嫌いないの。」
「ん…なくはないけど、まぁ食べられます。」
「好きなもん、ある?」
「牛乳買っても良いですか。お金払うので。」

いや、料理とか聞きたかったんだけど。

まあ、いいか。

「牛乳好きなの?」
「いや、好きって言うより…まあ…」
急に言葉を濁し、もごもごしてるから、覗きこむと、顔を真っ赤にして恥ずかしがる。
「…身長のばしたいんです。」
消え入りそうな声で言う。

「身長のばしたいなら、米食った方がいいぞ。あと、早く寝ることだな。」
体格も身長も大きめの隼人からのアドバイスは嬉しかったのか、照れながら、
お礼を言われた。

家に帰ると、食材を冷蔵庫へ入れる。
今日は、まだ早いからたくさん話せる。

畏るのは嫌だったが、結局はそうなるよね、と大澤君に話をしようと声をかけていた。

さっきまでは大型犬だったけど、今は借りてきた猫みたい。

しーん、と家中から音が聞こえるほどの静寂が訪れた。

「まず、なんであんなことしたか、教えてほしい。…別におこらないから。」

今朝の話だ。

「すみません。」

いや、謝ってほしいのではなく。

「隼人さんなら、怒らないかな、って思って。なんか、衝動的に。しちゃってごめんなさい。」

怒らないから、誰でもいいなら、

「衝動的って、女にやれよ、女に!」
「女の子にやったら、変態って叩かれますよ。」
「俺ならいいのかよ。」
「隼人さんはいいです。僕に欲情しないし。」

無茶苦茶な論理だな。
呆れる。

「僕も隼人さんなら気持ち悪くないから。」

「僕、今まで男に欲情されっぱなしで、自分が女の子に欲情したりも、ないんです。なんか怖くなっちゃって。このままだと、僕は一人で欠陥品として生きて行かなきゃいけない。もし、隼人さんが協力してくれたら、僕は隼人さんが望むこと、何でも力を貸します。」

「何を協力すればいい?」

「僕の練習台になってください。」









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