美少年は男嫌い

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耐久性がない(隼人)

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もう降参だと手をあげる。
欲情しないなんて、無理だ。

光は最近どこまで大丈夫か、俺を試しているみたいなので、俺の反応を楽しんでいるように感じる。

「光、俺はどこまで練習に付き合えばいいんだ?」光に問いかけるも、安心した顔でぐっすり眠っている。

まだあどけない寝顔を眺める。寝てたら可愛いのに…。

光の何もない部屋には、少し大きめのベッドがある。シングルベッドだと、2人で寝るには少し狭い。特に男2人だと。
だからこれぐらいのサイズだと、楽だ。自分の体が大きいことを考えると、広いベッドの中でも、光と触れて眠ることは仕方ないことだと理解している。

でもだからと言って、毎日キスの練習で妙な気分になっている相手に無防備な寝顔を見せられて、平気なほど大人ではない。

光の部屋で過ごすのは意外に大変かもしれない、とようやく思い至って、頭を抱えた。

久しぶりにしず香に会う。
「あれ?機嫌良いですか?何か優しい顔になりましたね。」彼女ですか~?なんてあいつは占い師にでも、なれば良いと思う。

彼女、ではないのだけど、息子と言うか、犬?はあんまりか。うーむ、これといってぴったりな言葉が思いつかない。

俺の沈黙を肯定と受け取り、ニヤニヤしながら、みてくる。何故か憎めないんだよなぁ。

下衆い顔するんじゃないよ、女の子だろ!

光といい、しず香といい、俺は年下に振り回される宿命なんだろうか。

しず香は人並みに可愛い女の子だと思う。気も利くし、優しいし、でもドキドキはしない。光みたいに、守りたいとも思わない。厳密に言うと、守りたいとは思うものの、なんていうか珍獣的なこう、保護したい、っていう。

本人にこれを言うと叱られそうだから、言わないけど。

二人でいると、光が合流して来た。勘のいいしず香には何もかも判られているようなそんな気がして、全く落ち着かない。光を見るのも躊躇っていると、光に覗き込まれる。

「いつもの御返し。」
そう言って微笑んだ光は綺麗で、この世のものとは思えない色気を放っていた。

帰ったら、全力で抱きしめたい、と思って、その考えに愕然とした。
まるで、光を襲うその他大勢のように、ただ光の体に欲情しているかのように。

光を裏切ろうとしてしまった。

抱きしめて、キスして
光を貪り尽くしたい。

光が望むなら、初めての練習だってしてやる、と。






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