美少年は男嫌い

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見た目(隼人)

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光の肩と首に噛み跡をつけてしまい、申し訳なさでいっぱいになる。大切にしたいと思うのはいまでも同じなのに、ただカッとなってやってしまった。

可愛い女の子に告白されて、満更でもない様子に嫉妬した。力でねじ伏せたい、なんて、最低だ。光も光で、痛かっただろうに、嫌だと言ったらいいのに、あっさりと許してくれるから俺みたいなのがつけ上がる。

光のせいにしてもして、仕方ない。絶対に俺が悪い。無理矢理する以外で許してもらわなければ。

外見で言うと、俺はヤンキーに見えるらしく、喧嘩は強そうと思われている。確かに体はデカいし、そう言う友人もいるから、否定はしないが。

自分と光が歩いていたら、周りからはどう見えてるのだろう。ちゃんと恋人同士に見えるのかな。まあ、男同士だから、友人には見えてるのかな。もしかして、ヤンキーが真面目な子に絡んでるように見えてたりして。それならショックだ。

まあ、あんな綺麗な奴に、釣り合う見た目だとは思っていない。仲が良さそうに見えたらそれで良い。実際に仲は良いのだし。嘘はついてない。

けれどやっぱり、女の子には敵わないわけで。光と可愛い女の子が歩いてたら、可愛いカップルに見えるけど、自分は体も大きいし、可愛くないし、光の側にいるのが、少し申し訳なく、思える。だからといって譲りたくない。矛盾してるのは、わかってる。

光が大勢の人の中から、隼人の姿を見つける時、目を見開き笑顔になるのを、見るたびに、自分が褒められたものでない感情を持つのを実感する。

大切にしたいけれど、ずっと側にいて欲しい。だから、ずっと側に居られるように、鎖で繋いでおきたい、とかそう言う。何か人権すら無視するような、そんな考えが生まれて申し訳なくなる。

でも、きっと俺はできない。ヘタレだし。光に嫌われたくないから。

バイト先では、やたらと人に声をかけられるようになった。何かわからないけれど、「頑張って!」って言いながら、ちょっと笑いを堪えたような。あれ、何なのだろう。板前さんにも、含み笑いをされるし、よくわからん。まあ、支配人はそのままだが。

「ああ、光。お疲れ。」
「隼人さん、お疲れ様です。」作業着に着替えた光の首筋をみて、気がついた。

「光、ごめん、これ、貼って。」
片言になってしまう。恥ずかしい。
光はキョトンとしていたが、首を指で指すと意味がわかったようで、みるみる赤くなった。
「貼ってやる。」元々は俺のせいだし。貼られている間に光が恥ずかしそうにしているのも、良かった。

あれ、何か俺だんだん変態になっていってない?もう手遅れ?
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