美少年は男嫌い

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信用(隼人)

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光が大人しい。元から騒ぐタイプではないが、急に黙ったり、思い詰めたような顔をする。何かトラブルでもあるのかと、なるべく一緒にいるようにしているけど、特に何もないみたい。

気持ちの問題かもしれないから、なるべくスキンシップをたくさんとって、不安をなくすようにするが、大丈夫かな?ちゃんと効いているのだろうか。

元気がないのは、バイトに行ってからだから、もしかして、働くのがしんどくなってきた、と言うことなのだろうか。俺は、光と働くのが楽しいからって、無理をさせていたのではないだろうか。 

「もし、バイトしんどいなら、休んでいいんだぞ?」ずっと一緒にいたいから、あんまり無理させてしまって、嫌がられたくなくて、声をかけると、何故か泣きそうな顔で、見つめられる。

咄嗟におでこに手を当てると、驚いたようだが、熱はないみたいだ。風邪のひき始めかもしれないから、今日は休ませることにした。途中で倒れたら心配だから家まで送る。家に帰ってから、ベッドに寝かせて、家を出ようとすると、凄く行って欲しくなさそうな顔をして、見送られる。俺も、物凄く行きたくなくなるが、一人休むなら尚更行かなくては、と早く帰ることを約束して、バイトに向かった。

光のいないバイト先は、物足りない感じがした。ギャルも今日は話しかけてこない。皿洗いが一人抜けただけなのだが、いつもより忙しく、大変だった。

バイト先の先輩達が、皆、光のことを心配していて、俺の体調管理含め怒られてしまった。光のことは、気に入っているようで。そこに下心など1ミリもないことに安堵した。帰り際、女将さんから風邪薬とリンゴを貰う。御礼を言うとすぐに光のいる家に帰った。俺が帰ったあと、さゆりさんが困っていたことなど、全く気づかなくて、光の元へ早く帰りたい一心で、俺は、走って帰った。

電気はついてなくて、寝てるのかな、と覗いたら、光が起きてきた。

「ご飯食べられそう?」
元気のない、血の気のひいた顔で頷く。
「食欲ないなら、女将さんからリンゴ。」少しだけ、気を使ったような笑顔を見せた光を抱きしめる。

何かしんどいことがあるんだろうけど、俺、そんなに信用ないのかな。

でも、それを口にしてしまうと、光の性格上、気にしてしまうから、言葉を飲み込んだ。そのかわりに、光を抱きしめて、充電させて貰う。抱きしめながら、光の丸い頭を撫でる。

「あー、やっと帰ってこられた。光がいないと早く会いたくなって仕方なかったから。」
そう言って、光の顔を見ると、少しだけ血の気が戻ったみたいだ。

「僕も早く会いたかった。」
光の体調が心配なのに、気遣えなくてすまぬ。
光の顔を手で挟んで、キスをする。

きっと、今の光を見たら、バイト先の先輩方に叱られるな。顔に赤みがさしているけど、多分こういうことではないだろうから。

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