男装令嬢は騎士様の制服に包まれたい

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第二王子のブーメラン

「あれ、最近マリア嬢と仲が良いって話本当だったんだね。」
またうるさいのが来た。今日はいつもの伯爵令嬢を連れていない。
「ああ、元より仲は悪くないが。」
「仲は悪くないけれど、良くもない状態から仲睦まじく二人きりで談笑、までは回復したんだね。」
「まあ、お前と婚約者殿には負けるが。」
「…あの子爵令嬢は諦めたの?」
女癖の悪い、悪名高い第二王子らしく、美人にはうるさい。
目ざとく、牽制をしてくる。
「ああ、今はマリアが一番だ。」
にっこり笑顔をみせると、憮然とした表情で、そう、とさもどうでも良いことのような返事をした。

「婚約者殿と、喧嘩でも?」
最近ずっとベッタリだった婚約者殿へと話のすり替えを試みる。

「珍しいね、兄上が彼女に興味を示すなんて。」
いや、興味があるのは、お前の方だ。
とも言えず、曖昧に微笑んでいると、弟はわざとらしく、ため息をついて、物騒なことを言いだした。

「彼女とは婚約破棄して、別の令嬢と婚約し直そうかな。」
はあ?何で?

呆れた顔をしていたようで、苦笑しながら、「だって彼女、男がいるんだよ。僕の婚約者の癖に。」
伯爵令嬢と婚約を結びながら、色んな女性にお手つきしていたお前が言うな、との言葉を飲み込んだのは、特大なブーメランとして、第一王子の心臓まで一突きにしたからである。

「誰なんだ、相手は?」
「子爵令息のアーサーだ。兄上が最近良く一緒にいる男だよ。」
「いや、アーサーは貴族じゃないし、お前の婚約者殿とは接点もないし、何かの間違いではないのか?」
第一王子は自分が早口になって、焦っているのがわかった。
「あいつが貴族じゃないなら、なんで、子爵家にいつも帰るんだ?護衛だってついてるし。この前はサイオンまで取り込まれていたぞ。」
アーサーが、実は女性だと伝えることさえできたら、一件落着するのだが、それが言えないから誤解は続いている。 

それにしても、アーサーの姿は、私と一緒の時だけではなかったのか?
アーサーの交友関係を広げてどうする気だ?

ローズ嬢は、考え方が不思議で、突飛なところが気に入っていたが、だからなのか、考えが全く読めなくて振り回されてしまう。

このままだと、新たな諍いの種を作り出しかねないので、ローズ嬢には悪いと思うが、兄であり、保護者であるディアンに至急確認しなければならない、と思った。
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