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私ではなかった
「シャルロット・ルイーズ公爵令嬢、私ガブリエル・ルグランは、貴殿との婚約を破棄させて貰う。」
学園卒業を祝う席で、高らかに宣言するのは、この国の第二王子、ガブリエルだ。
ようやく始まった。待ちに待ったこの瞬間、卒業パーティーに婚約破棄の舞台を持ってきたのは、ちょっとした余興のつもりだった。
不自然に見えない距離を保ちつつ、名前を呼ばれたらすぐに駆けつけられるほどの位置にいる。
会場中の人が注目する中、公爵令嬢のシャルロット・ルイーズは、驚きはしているものの、取り乱すことなく、澄ました顔をしている。
その顔がいつまで持つかしら。
第二王子が、私の名前を口にした時のあの女の悔しがる顔が早く見たい。逸る気持ちを抑え、王子の言葉を待つ。私は優雅に可憐に彼の側に立つの……
私は出会ってからずっと第二王子を手に入れるために頑張ってきた。時には婚約者のいる男性に近づくなんて、と誹りを受けながら、健気をアピールし、庇護欲を煽る。男性には可愛がられ、女性には嫌われたが、関係ない。私は贅沢がしたいのよ。しかも、ちゃんと貞操は守ってるし、第二王子以外は、狙わなかったわ。ちゃんと考えて行動した結果、私エマ・ロベールは、第二王子の新しい婚約者として、注目を浴びるのよ。
「私は、アルマ・ルロワ子爵令嬢と新たに婚約をする。」
え、誰?
私は思い描いていた未来がガラガラと音を立てて崩れていくのがわかった。該当の人物を、私は見たことすらない。そもそも女性の顔なんて覚えていないから仕方ないが。いや、誰だよ。
皆初耳みたい。公爵令嬢が私の方をチラッと見た気がしたが、私は混乱してそれどころではない。いやいや、何でそんなことになってるわけ?
しかも、相手の女、もう結婚が決まってるらしい。今、王子と女の言い争いが聞こえてきて、私たちは完全に放置されているのだけど。
何とかしなさいよ。
公爵令嬢を見ると、やはり澄ました顔だったけど、混乱はしているみたい。
どうやら話をまとめるに、女はただのクラスメイトで、王子の片想いだったみたいだ。あれ、私、気づかなかったよ?
あんなに近くにいたのに、王子も私のこと好きだと思い込んでたけど。私は一体どう言う認識だったのだろう。
そうしているうちに、女の夫が現れた。おじさんだから、興味はないけれど。ようやくこの場から救われると思ったら、よりにもよって王子に見せつけるようにイチャイチャ し始めた。もう、王子は虫の息だから、やめてあげて。
王子がこの卒業パーティーを選んだのは、この女を手に入れるには、このタイミングがギリギリだったからね。最初から、この女が目当てだったんだわ。私は何も知らずにまんまと騙されていたのだわ。
けれど、初対面と言う女からの言葉に返した王子の言葉を聞いて、私は反省したの。
「初対面ではない!いつも私に笑顔で挨拶してくれるではないか。教科書を見せてくれるし、落とし物を拾って届けてくれるし、順番を譲ってくれたし。」
王子様は自分がやりたい人ではなかったのね。されたい人だったのよ。私はどちらかと言うと、なんでもやってあげたい人向けなのよね。チヤホヤしてほしい人同士だから、惹かれ合わないのは当たり前よね。
あー、面倒臭い。
今回は諦めるわ。王子だって、婚約者に捨てられるだろうし、初恋は叶わなかったみたいだし?
今から、戻ってきたって知らないんだから!
*シャルロット側
最近殿下の周りをウロチョロしている伯爵令嬢に気を取られすぎていたわ。まさかの事態に、伯爵令嬢も何も言えないみたい。あら、目が合ったわ。驚きを隠せてないわよ。淑女にはまだまだな様ね。
お姉様を見習いなさいな。貴女の状況が楽しくて仕方ないでしょうが、そんなことおくびにも出さずに耐えていらっしゃるのですから。
それにしても、今回は驚きましたわ。まさかこんな結末になるとは。
伯爵令嬢の貴女を選んだなら、こちらから願い下げだったけれど、貴女に靡かなかったのだから、まだ救いはあるわね。とは言え、全力で婚約破棄は、お受けしたいわ。恥をかかされたのは事実ですもの。
学園卒業を祝う席で、高らかに宣言するのは、この国の第二王子、ガブリエルだ。
ようやく始まった。待ちに待ったこの瞬間、卒業パーティーに婚約破棄の舞台を持ってきたのは、ちょっとした余興のつもりだった。
不自然に見えない距離を保ちつつ、名前を呼ばれたらすぐに駆けつけられるほどの位置にいる。
会場中の人が注目する中、公爵令嬢のシャルロット・ルイーズは、驚きはしているものの、取り乱すことなく、澄ました顔をしている。
その顔がいつまで持つかしら。
第二王子が、私の名前を口にした時のあの女の悔しがる顔が早く見たい。逸る気持ちを抑え、王子の言葉を待つ。私は優雅に可憐に彼の側に立つの……
私は出会ってからずっと第二王子を手に入れるために頑張ってきた。時には婚約者のいる男性に近づくなんて、と誹りを受けながら、健気をアピールし、庇護欲を煽る。男性には可愛がられ、女性には嫌われたが、関係ない。私は贅沢がしたいのよ。しかも、ちゃんと貞操は守ってるし、第二王子以外は、狙わなかったわ。ちゃんと考えて行動した結果、私エマ・ロベールは、第二王子の新しい婚約者として、注目を浴びるのよ。
「私は、アルマ・ルロワ子爵令嬢と新たに婚約をする。」
え、誰?
私は思い描いていた未来がガラガラと音を立てて崩れていくのがわかった。該当の人物を、私は見たことすらない。そもそも女性の顔なんて覚えていないから仕方ないが。いや、誰だよ。
皆初耳みたい。公爵令嬢が私の方をチラッと見た気がしたが、私は混乱してそれどころではない。いやいや、何でそんなことになってるわけ?
しかも、相手の女、もう結婚が決まってるらしい。今、王子と女の言い争いが聞こえてきて、私たちは完全に放置されているのだけど。
何とかしなさいよ。
公爵令嬢を見ると、やはり澄ました顔だったけど、混乱はしているみたい。
どうやら話をまとめるに、女はただのクラスメイトで、王子の片想いだったみたいだ。あれ、私、気づかなかったよ?
あんなに近くにいたのに、王子も私のこと好きだと思い込んでたけど。私は一体どう言う認識だったのだろう。
そうしているうちに、女の夫が現れた。おじさんだから、興味はないけれど。ようやくこの場から救われると思ったら、よりにもよって王子に見せつけるようにイチャイチャ し始めた。もう、王子は虫の息だから、やめてあげて。
王子がこの卒業パーティーを選んだのは、この女を手に入れるには、このタイミングがギリギリだったからね。最初から、この女が目当てだったんだわ。私は何も知らずにまんまと騙されていたのだわ。
けれど、初対面と言う女からの言葉に返した王子の言葉を聞いて、私は反省したの。
「初対面ではない!いつも私に笑顔で挨拶してくれるではないか。教科書を見せてくれるし、落とし物を拾って届けてくれるし、順番を譲ってくれたし。」
王子様は自分がやりたい人ではなかったのね。されたい人だったのよ。私はどちらかと言うと、なんでもやってあげたい人向けなのよね。チヤホヤしてほしい人同士だから、惹かれ合わないのは当たり前よね。
あー、面倒臭い。
今回は諦めるわ。王子だって、婚約者に捨てられるだろうし、初恋は叶わなかったみたいだし?
今から、戻ってきたって知らないんだから!
*シャルロット側
最近殿下の周りをウロチョロしている伯爵令嬢に気を取られすぎていたわ。まさかの事態に、伯爵令嬢も何も言えないみたい。あら、目が合ったわ。驚きを隠せてないわよ。淑女にはまだまだな様ね。
お姉様を見習いなさいな。貴女の状況が楽しくて仕方ないでしょうが、そんなことおくびにも出さずに耐えていらっしゃるのですから。
それにしても、今回は驚きましたわ。まさかこんな結末になるとは。
伯爵令嬢の貴女を選んだなら、こちらから願い下げだったけれど、貴女に靡かなかったのだから、まだ救いはあるわね。とは言え、全力で婚約破棄は、お受けしたいわ。恥をかかされたのは事実ですもの。
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