僕はお人形を愛でる

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魔法使い

独占欲 ☆

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森の奥にある立派な屋敷は新しすぎず、古すぎない、二人で住むには広すぎる造りになっていた。森の奥だと言うのに、使用人は通いだ。どこに住むというのか。屈強な男達は見たことがあるようなないような。

ルイは相変わらず、可愛らしい。家に帰ると、必ず手枷をする。ルイの魔力を守るためだ。私はルイの世話をしてやる。手枷をしたままだとできないことは多い。

魔封じの塔のかわりが手枷だと思うのだが、見た目がかわいそうで、罪悪感に包まれる。ルイは、何もできない私に、可愛らしく笑いかける。ルイが幸せになるのなら、自分の身などどうなっても構わない。

ルイは、優しい。こんな私に一緒にいてくれて嬉しいと言う。ルイはよく私にくちづける。自分の魔力を渡そうとしてくれている。
元からないので、魔力を貰ってもどうしようもないのだが。でも、ルイから貰う物は大切にしたい。

寝室は広いが、ベッドは一つきり。ルイが一人で寝るのを拒んだからちょうど良い。最初は、古い宿屋で。怖い夢を見たのか震えながら、私のベッドに入り込んできた。

こども体温に温められ、気持ちよく寝てしまう。私は覚えていないが、朝の彼の顔色を見ると気持ちよく寝られたようだった。

ルイと私の財産は少なくはない。ただこれから先一生働かなくていいかと言うと、わからない。

ルイが王子でなくなって、四年もの間、何をしていたか。冒険者となり、稼ぐだけ稼いだのだ。ルイは生まれ持った魔力量が多いため、ある程度の期間に一度、魔力を放出する必要があった。

塔に住んでいる間は結界により、それができていたが、結界を維持する必要がない今、魔力はどんどん溜まっていく一方だった。

そこで、冒険者として働いて、魔力量の調整を行いながら、お金も稼ごう、と言う話になった。

こどもだけのパーティーは、襲われたり狙われたりするかと警戒したが、取り越し苦労だった。その辺の大人よりもルイの方が強いからかもしれないが、皆いい人で、心配することはなかった。

その間に、魔力のない私は、ルイに口移しで魔力を貰って、簡単な生活魔法なら扱えるようになっていた。

他の人から魔力を貰ったことがないのでわからないが、ルイの魔力は柔らかい感じがする。ルイのほっぺや唇の感触と同じで質の高い良い魔力。

一度貰ったら、またすぐ欲しくなる。ルイを見る度、その肌に触れたくなるみたいに。

ルイは優しいから、日によっては、何時間も私に魔力を与え続けてくれた。

私がルイを手放さなくなるまで、時間はかからなかった。
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