伯爵夫人を殺したのは誰だ

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ケイト・モリス⑦

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シルバに話を聞こうとしたけれど、その後シルバとは会えなかった。手紙を届けてもらおうにも、どこにいるか分からず、諦めていた。

その内、高等院で仲良くなった人に、商会の共同経営を持ちかけられ、忙しくなってしまった。リディのことは気にかかるものの、ケイトの身は一つしかなく、そこまで気が回らないまま日々を過ごしていた。

共同経営とは言っても、母体の商会は既にあり、ケイトのやることは、これからの企画と、見直しぐらい。事務には少し癖のあるアンナという女性が入って来て、大部分を助けてくれた。彼女は事務員としてだけなら良い人なのだが、惚れやすいところがあるようで、妻子持ちや彼女持ちはなるべく近づかないと言っていた。

「ご主人と会うことはないだろうけど、気をつけてね。ケイトには何となく対抗意識がありそうだから。」

ヴィクトリアに言われて、納得した。一番危ないのは、ヴィクトリアの旦那様だと思うけれど、言われなくてもわかっているだろう。

女性同士が集まると、マウント合戦になってしまうのは社交界でもよくある光景だ。平民だから、とか貴族だから、とかこの際身分馬関係ない。

「アンナさんに丁度良さそうな男性を紹介したら、人の恋人を奪おうとはしないんじゃない?」

「それは考えてるんだけどね。いるじゃない?誰かのものじゃないと、欲しくならないって言う人。あの人がまさにそう。ラブラブな彼女がいます、と嘘をついて、手頃な男を連れて来ても、本当にその目で彼女を見て、自分と同等かもしくは自分よりも上の地位にいる女性じゃないと、食指は動かないみたい。」

「それだけ、具体的ってことは、試してみたことがあるのね。」

「ええ、一部から苦情が出てきてしまって。彼女の代わりを探している最中なの。仕事だけなら、できるじゃない?だから、仕事は出来て、人間性に問題のない人だったら、いいのだけど。」

「なら、私も探してみるわ。女学園の卒業生なら多分能力的には問題ないと思うから。」

ヴィクトリアは女学園に行きたくて行けなかった過去を持つ。女学園の卒業生と聞いて目が輝いたのをケイトは微笑ましく思った。

「あまり頭の良すぎる人も困るけれど、ケイトの友人ならきっと人間性には問題ないでしょうね。」

「それはお互い様だと思うけど。貴女のご友人もきっと素敵な人なんでしょう?」

「そうね。友人の何人かは癖が強めで慣れるまでは大変だけど、そうね。皆良い人だわ。」

ケイトはヴィクトリアに紹介するならマリアかエミリアが良いな、と思い始めていた。彼女達なら、指示されたこと以上の働きができるだろうし、何よりケイト自身が一緒に働きたい。

でも、マリアは今どこにいるか、わからないのだっけ。

なら近い内に、エミリアを呼んでお茶会でもしようと、ウキウキした気持ちで考えていた。
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