2 / 4
悪役ガチャは神引き
しおりを挟む
この世界にもしも悪役令嬢ガチャなるものがあれば、間違いなくミリーはSSRであると言えよう。神引きと言うやつだ。
完璧な悪役令嬢がいると言うのに、どうしてヒロインだけ毎回あんな強烈な奴なんだ。
本当に、女神に騙されている訳ではあるまいな。
婚約者のミリーがSSRなら、そのまま結婚しても問題はない。だが、今のままでは、何となく自分がいつまでも成長できないような気がする。ミリーといると、自分は甘やかされて、何もできない男になってしまいそうなのだ。
それに、ミリーにどれだけ思われているのかも聞いてみたい、と言うのもある。淑女のミリーには、大切にされている、とは思えるものの、本当に愛されているかはよくわからない、と言うのが本音だ。
ミリーが悪役として、自分とヒロインの間に立ちはだかるなら、自分は、多少は愛されていることになるんじゃないだろうか。
ミリーに懸想しているのは自分だけではない。近衛騎士のマリウスも、多分そう。ただ彼は主君の婚約者を奪おうとは決して考えないから、今のところ害はないんだけど。
ヒロインガチャが当たったら、多分マリウスも一緒に魅了されるに違いない。そうしたら、彼に対するミリーの評価も下がり、自分と同じ立場に彼を突き落とすことができるだろう。
座ったミリーの膝の上に勝手に上がり込んで、膝枕をして貰う私を羨ましそうな目で見るマリウスに、心の中で舌を出しておく。
ミリーの表情は陰になって見えないが、いつもの聖母のような顔で微笑んでいるのだろう。
いや、きっとそうに違いない。ミリーの肉付きの良い膝に頭を預けていると、幸せでもうヒロインなんて、どうでも良くなるのだから、それで良いのかもしれない。
それにしても、ミリーとのイチャイチャを見せつけているというのに、奴は全く気を利かせずにただそこにいる。
それを咎めたところで「仕事ですので。」としか言わないのだろう。
いつもの侍従ですら空気を読んでいると言うのに。とはいえ、侍従はそればかりが理由ではなく、ミリーがいる時はあまり姿を現さない。
「公爵令嬢に会うなんて畏れ多いです。」と言うのがいつもの言い訳だが、それならサイモンは王子なのだから、おかしいだろう。
侍従はある日、女神様から授かったと、ヒロインガチャを持ってきた。
彼はヒロインを王子にあてがった手前、公爵令嬢に恐れを抱いているのだと納得した。
サイモンは女神に会ったことはない。なのに、侍従がヒロインガチャを持ってきて、それが女神様からだと言われたら、何故か無条件に信じてしまった。
実際王族なら何でも可能だと驕りがあったのだろう。それか好奇心に負けて、思考がおかしくなっていたのかもしれない。
完璧な悪役令嬢がいると言うのに、どうしてヒロインだけ毎回あんな強烈な奴なんだ。
本当に、女神に騙されている訳ではあるまいな。
婚約者のミリーがSSRなら、そのまま結婚しても問題はない。だが、今のままでは、何となく自分がいつまでも成長できないような気がする。ミリーといると、自分は甘やかされて、何もできない男になってしまいそうなのだ。
それに、ミリーにどれだけ思われているのかも聞いてみたい、と言うのもある。淑女のミリーには、大切にされている、とは思えるものの、本当に愛されているかはよくわからない、と言うのが本音だ。
ミリーが悪役として、自分とヒロインの間に立ちはだかるなら、自分は、多少は愛されていることになるんじゃないだろうか。
ミリーに懸想しているのは自分だけではない。近衛騎士のマリウスも、多分そう。ただ彼は主君の婚約者を奪おうとは決して考えないから、今のところ害はないんだけど。
ヒロインガチャが当たったら、多分マリウスも一緒に魅了されるに違いない。そうしたら、彼に対するミリーの評価も下がり、自分と同じ立場に彼を突き落とすことができるだろう。
座ったミリーの膝の上に勝手に上がり込んで、膝枕をして貰う私を羨ましそうな目で見るマリウスに、心の中で舌を出しておく。
ミリーの表情は陰になって見えないが、いつもの聖母のような顔で微笑んでいるのだろう。
いや、きっとそうに違いない。ミリーの肉付きの良い膝に頭を預けていると、幸せでもうヒロインなんて、どうでも良くなるのだから、それで良いのかもしれない。
それにしても、ミリーとのイチャイチャを見せつけているというのに、奴は全く気を利かせずにただそこにいる。
それを咎めたところで「仕事ですので。」としか言わないのだろう。
いつもの侍従ですら空気を読んでいると言うのに。とはいえ、侍従はそればかりが理由ではなく、ミリーがいる時はあまり姿を現さない。
「公爵令嬢に会うなんて畏れ多いです。」と言うのがいつもの言い訳だが、それならサイモンは王子なのだから、おかしいだろう。
侍従はある日、女神様から授かったと、ヒロインガチャを持ってきた。
彼はヒロインを王子にあてがった手前、公爵令嬢に恐れを抱いているのだと納得した。
サイモンは女神に会ったことはない。なのに、侍従がヒロインガチャを持ってきて、それが女神様からだと言われたら、何故か無条件に信じてしまった。
実際王族なら何でも可能だと驕りがあったのだろう。それか好奇心に負けて、思考がおかしくなっていたのかもしれない。
35
あなたにおすすめの小説
殿下、それ恋人やない、ただのクラスメイトや
mios
恋愛
王子様が公爵令嬢に婚約破棄を告げた会場にたまたま居合わせた令嬢が、新たな婚約者として指名されたが…
*婚約破棄モノ、一度書いて見たかったのですが、難しかったです。
【完結】婚約破棄される未来見えてるので最初から婚約しないルートを選びます
22時完結
恋愛
レイリーナ・フォン・アーデルバルトは、美しく品格高い公爵令嬢。しかし、彼女はこの世界が乙女ゲームの世界であり、自分がその悪役令嬢であることを知っている。ある日、夢で見た記憶が現実となり、レイリーナとしての人生が始まる。彼女の使命は、悲惨な結末を避けて幸せを掴むこと。
エドウィン王子との婚約を避けるため、レイリーナは彼との接触を避けようとするが、彼の深い愛情に次第に心を開いていく。エドウィン王子から婚約を申し込まれるも、レイリーナは即答を避け、未来を築くために時間を求める。
悪役令嬢としての運命を変えるため、レイリーナはエドウィンとの関係を慎重に築きながら、新しい道を模索する。運命を超えて真実の愛を掴むため、彼女は一人の女性として成長し、幸せな未来を目指して歩み続ける。
王子様の花嫁選抜
ひづき
恋愛
王妃の意向で花嫁の選抜会を開くことになった。
花嫁候補の一人に選ばれた他国の王女フェリシアは、王太子を見て一年前の邂逅を思い出す。
花嫁に選ばれたくないな、と、フェリシアは思った。
こんな小物で本当に良いのですか?
mios
恋愛
侯爵令嬢のレイラは、聖女に物申す。
「貴女なら絶世の美男子とも名高い帝国の皇太子でも狙えると思いますよ。こんな小物で良いのですか?本当に後悔しない?」
先程までレイラに得意気な笑顔を浮かべていた聖女アリーヤは、顔色を変える。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる