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本編
隠したいもの②
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ダニエルの得たかったもの、と聞いて、ピンと来ていないのは、話し手のクラリッサぐらいだ。ジュリエットは友人のポンコツ具合を目の当たりにして、やっぱり噂は真実であったのだと、確信した。
ダニエル・ファーリはある意味とても有名である。できない方の第二王子の側近で命令されたこと以外にも何でも手広く対応するが、幼馴染には頭が上がらない。あのダニエル・ファーリと対等に話せる者は限られている。ファーリという変わった名前の伯爵家を任されるだけの力を持つ男。
あの様子では、ダニエル自身が当主であることすら気が付いていないのだろう。
ダニエルが欲しいものなんて、一つしか、いや一人しかいない。クラリッサにはたくさんの幼馴染がいたが、ダニエルにはただ一人だけしかいなかった。
ならば、彼が唯一話せる女性に執着するのも特におかしな話ではなかった。
クラリッサが見つけたものは、どこかの屋敷の鍵。予想通りと言うか何と言うか。ジュリエット自身はダニエルという男を怖いとは思っていない。でも折角仲良くなった友人が不幸になるのを指を咥えて見る気はない。
ジュリエットはこの鈍感な友人をどう誘導して、道を踏み外させるか考えている。彼女自身が選んだ道ならまだ良い。だけど、ダニエルが敷いた道をまっすぐに突き進むようなことはさせられない。
「話の途中で悪いんだけど、貴女に忠告。アルバート様と一緒にいるからと言って、その鍵を持ち歩くことはやめて。」
「え?どうして?肝心な時に開けられなかったら大変じゃない。」
「せめて鍵を持つのはアルバート様にしてもらいなさい。貴女、仕掛けられた罠全てに掛かりそうなんだもの。」
「それはフローラにも言われたわ。力仕事は兄に任せれば良いって。何のために兄がクラウ家に入ったと思ってるんだって。多分これとは関係ないと思うけど。」
ジュリエットはまたもや現れたクラリッサの幼馴染の名前に反応する。
フローラ・リース公爵令嬢。兄をさしおき、リース家の後継者とされた彼女。ここはここで謎ばかり。だが、そんなお家事情に他家が首を突っ込むわけにはいかない。そんなことすれば、物理的に首が飛ぶ。
「何だか大変なことになってるわね。私達がその話を聞いたのは理由があるのよ。私達、貴女が探しているアリス嬢と、ミリア嬢を見つけたの。本人確認は取れていないから、別人かもしれないのだけれど。」
「もしかして、それはどこかの修道院?」
食い気味な質問に静かに首を振る。
「いいえ、商家よ。ミリア嬢もアリス嬢も従業員として、半年前から働いているわ。」
「商家?」
意外にもそこに飛びついたのは、クラリッサではなく、アルバートの方だった。
成る程。こちらはこちらで何かあるのね。クラリッサを取り巻く人間の、狙いの複雑さに、頭を抱えた。
ダニエル・ファーリはある意味とても有名である。できない方の第二王子の側近で命令されたこと以外にも何でも手広く対応するが、幼馴染には頭が上がらない。あのダニエル・ファーリと対等に話せる者は限られている。ファーリという変わった名前の伯爵家を任されるだけの力を持つ男。
あの様子では、ダニエル自身が当主であることすら気が付いていないのだろう。
ダニエルが欲しいものなんて、一つしか、いや一人しかいない。クラリッサにはたくさんの幼馴染がいたが、ダニエルにはただ一人だけしかいなかった。
ならば、彼が唯一話せる女性に執着するのも特におかしな話ではなかった。
クラリッサが見つけたものは、どこかの屋敷の鍵。予想通りと言うか何と言うか。ジュリエット自身はダニエルという男を怖いとは思っていない。でも折角仲良くなった友人が不幸になるのを指を咥えて見る気はない。
ジュリエットはこの鈍感な友人をどう誘導して、道を踏み外させるか考えている。彼女自身が選んだ道ならまだ良い。だけど、ダニエルが敷いた道をまっすぐに突き進むようなことはさせられない。
「話の途中で悪いんだけど、貴女に忠告。アルバート様と一緒にいるからと言って、その鍵を持ち歩くことはやめて。」
「え?どうして?肝心な時に開けられなかったら大変じゃない。」
「せめて鍵を持つのはアルバート様にしてもらいなさい。貴女、仕掛けられた罠全てに掛かりそうなんだもの。」
「それはフローラにも言われたわ。力仕事は兄に任せれば良いって。何のために兄がクラウ家に入ったと思ってるんだって。多分これとは関係ないと思うけど。」
ジュリエットはまたもや現れたクラリッサの幼馴染の名前に反応する。
フローラ・リース公爵令嬢。兄をさしおき、リース家の後継者とされた彼女。ここはここで謎ばかり。だが、そんなお家事情に他家が首を突っ込むわけにはいかない。そんなことすれば、物理的に首が飛ぶ。
「何だか大変なことになってるわね。私達がその話を聞いたのは理由があるのよ。私達、貴女が探しているアリス嬢と、ミリア嬢を見つけたの。本人確認は取れていないから、別人かもしれないのだけれど。」
「もしかして、それはどこかの修道院?」
食い気味な質問に静かに首を振る。
「いいえ、商家よ。ミリア嬢もアリス嬢も従業員として、半年前から働いているわ。」
「商家?」
意外にもそこに飛びついたのは、クラリッサではなく、アルバートの方だった。
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