幼馴染は不幸の始まり

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本編

婚約解消

「そういえば、クラリッサ。お前とイーサンの婚約は無事解消になった。」
「え。今このタイミングで?」
話によると、彼はいなくなったアリス嬢の行方をずっと探していて、執念が実り見つけた直後、彼女に暴力を振るった罪で捕まり、牢に入れられたそうだ。

暴力、という言葉に怯えたものの、間に入ってくれた人のおかげで彼女に怪我はないらしい。

「ジュリエットの言った通りだったのね。」

父の話から、イーサンはダニエルと違って気が弱いからクラリッサに害はないと思っていたらしい。自分の見る目のなさを嘆いていた。

イーサンはクラリッサにはそのような態度ではなかったが、アリス嬢には違ったらしい。イーサンがアリス嬢ばかりに目を向けるのは愛情ではなくて、支配欲だったのかもしれない。

クラリッサは以前なら多分ショックを受けていただろう話を正常に受け止めている自分にショックを受けていた。あまり会っていなかったせいか、すっかりイーサンのことを忘れていた。

「ちょっと待って。ダニエルとは違うって、彼そんなに暴力的だった?見たことないんだけど。」

父の代わりに答えたのは新しく使用人になったヴィクトルという男。

「知らなくて良いことです。彼はイーサン様とは違い、力が強いですからね。気を抜くと過剰戦力になってしまうのですよ。」

小さい頃は、ずっとダニエルに話しかけていたような気がするクラリッサだが、内容は全く覚えていない。思い出そうとすると、頭が痛くなって冷や汗が噴き出るからには思い出さなくても良いことなのは間違いない。

「彼女は結局自分の意思で逃げたのね。ちゃんと逃げられてよかった、のよね?

ダニエルはちょうど彼女が逃げたタイミングで、キエス侯爵令嬢を代理にしたのなら、全く関係がないとは言えないんじゃないかしら。」

「どちらがどちらを利用したかはわからないけれど、まあ繋がっていると考えるのがしっくり来ますよね。」

「ならイーサンに見つかったことももしかしたら想定内なのかしら。理由は、偽物を炙り出す為?」

「偽物?ああ、アリス嬢の偽物が現れたんだっけ?」

クラリッサからすると、その偽物はすでに身元が知れてるが、ダニエルとアリス嬢の狙いがキエス侯爵令嬢だとしたのなら、どう言った理由があるのだろう。

彼女は……たくさんのことをやらかしている。いくつかの事件においては第二王子と侯爵によって闇に葬られたものもある。


その中に、侯爵子息が犠牲になったものはあっただろうか。クラリッサは自分がそれを知っている気がしてならない。

クラリッサの沈黙に気がついたのか、ヴィクトルは怪訝な顔をしていたが、何もいうことはなかった。クラリッサは相変わらず、難しい顔をしていたが、その後図書室に籠り、調べものに、時間を割いた。

わかったことは、キエス侯爵には兄弟がいたこと。嫡男が事故死したのちに、今の侯爵が家を継いだということだ。

そして、その弟の息子が毒殺されていたことなどが、記録として残っていた。

クラリッサは、多分この事件が始まりなのではないか、と見当をつけた。
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