幼馴染は不幸の始まり

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本編

ダニエルの過信

ダニエル・ファーリは第二王子の護衛に戻った後もアリス嬢と交流があった。彼女は本物ではなく、偽物のアリス嬢であったが、そのことを知る者は王宮内にはいなかった。

彼女につかせていた侍女の何人かは、彼女の態度に首を傾げることはあったが、何がおかしい、とは断定することはなかった。

キエス侯爵家にはマリーナがいる。ヘイトを彼女に集めて、キエス侯爵令嬢がまた罪を犯す為の囮となって貰うつもりが、何を思ったのか勝手にクラリッサに会いに行き、勝手に怒っているという。

こうなったら危険に晒すわけにはいかぬと、あの手を実行すべきか悩みどころだ。ダニエルがクラリッサの為に用意した屋敷は、全てが終わった後二人で蜜月を過ごすために用意したものだ。

クラリッサの部屋に無造作に捨てておいたのは彼女が気づいて調べるのではないかと踏んだから。

あの部屋は少し面白い仕掛けが施してある。同じ場所から入ってもタイミングによっては別の場所にたどり着く、入るのは簡単だが、出るのはなかなか難しいという特別な屋敷なのだ。

狙われているクラリッサを閉じ込めておくことも、あのやりたい放題の侯爵令嬢を捕まえておくこともどちらも可能であるが、どのように使用するかを決めてはいなかった。

クラリッサに付けた監視によれば、ヴィクトル・チェスターが侍従兼護衛として彼女に付いたらしい。

アレが側にいては、例えキエス侯爵家と言えど、近づくことは困難だろう。それとは別にダニエルが懸念していることが一つあるが、今はそのことではなく、ちゃんとキエス侯爵令嬢を仕留められるかにかかっている。

第二王子とキエス侯爵家はやりすぎた。邪魔な奴らを消しすぎた。

陛下は最後の最後まで情けをかけてほしいと嘆願した。彼方は一切容赦などしなかったというのに。

断罪が終われば、本当にクラリッサと旅などするのも良いかもしれない。一番の懸念事項でもあり希望でもあるクラリッサの幼少期の記憶が戻れば、何もかもうまくいくのだが、こればかりは運を天に任せるしかない。

あの鍵の形状、頑張って似せたのだけど気がついてくれる人はどれだけいるのだろう。

全てが終われば社交界の勢力図も変わる。キエス侯爵家に連なる奴等が、反省なんてするとは思えないけれど、流石に身分剥奪ともなれば考え方は変わるかも知れない。

ダニエルは一粒の期待を考えなかったことにして、任務を遂行した。自分が嫌われていることは知っている。第二王子とキエス侯爵令嬢が本音の部分ではダニエルを信じていないことも密かに保険をかけていたことも。

だが現状それらよりも、自分が強いのだからと、過信していた。





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