あの気持ち悪い贈り物は貴方でしたの?

mios

文字の大きさ
1 / 13

正体がわかりました

しおりを挟む
「マーガレット、良く来てくれた。私は君に謝らなければいけないんだ。」

芝居じみた登場をされたこの方を、私は一切存じ上げません。

私の名前を呼ばれた気もしますが、特に変わった名前でもないので、別の方なのでしょう。場所をお譲りするために、後ろに下がろうとする私に、この男性は、迫り寄って来ます。

「マーガレット、どこに行くんだ。」

肩を掴まれてしまいました。
びっくりして顔を上げると、何やら喚いておいでです。

「私がまだ話してるだろう。ちゃんと愛する男の話は聞くものだ。まあ、その気持ちには、もう私は答えられないのだが。」

本当に、何か頭のご病気なのでしょうか。私達、お会いしたのは初めてなのですが。

「失礼ですが、お尋ねしても?」
「ああ、何だ。」
「あの、どちら様でしょうか?初めてお目にかかりますが。」
「ああ、愛する者の顔すら忘れたのか?たかがメイドに情けをかけてやったのに。ひどいな。」
酷いのはどちらでしょうか。情けをかけていただいた、という意味が分かりませんが。

「何か、人違いか、勘違いをなさっておりますが。」

「何がだ。俺の贈り物は届いていただろう。君が俺の気持ちを受け入れてくれたから今この場にいるのだろう?手紙に書いた筈だ。」

手紙?贈り物?

思い当たる節が……!

「ああ、あの気持ちの悪い贈り物は貴方でしたの?」

ああ、なるほど。合点がいきましたわ。

あら、驚かれたみたいですね。

「差出人が書かれていない物でしたので、読まずに夫に渡しておりました。夫が調べて下さるようでしたので。」

「……夫?」

「ええ、夫です。今日こちらに参りましたのも、こちらの伯爵夫人から、お誘いをいただいたからですのよ。」

「いや、だってメイドとして、侯爵家で働いていたではないか。」

見知らぬ男にアレを見られていたのね。

「あら、お恥ずかしいですわ。あの格好は、動くのに楽なのですわ。家ではよくあの格好をしているのです。」

メイド服は便利で可愛いのです。来てみたいと思っても良いじゃないですか。旦那様も、これはこれで良い、とご満悦でしたし。

あら、何も言わなくなってしまったわ。
どうしましょう?

「あら、夫が来たようですわ。ご紹介致しますわね。」

「侯爵様?侯爵様の妾でしたか?」
「君は……失礼、最近物覚えが悪くて、マーガレットの知り合いかな?彼女は私の妾なんかではなくて、次期侯爵夫人だよ。長男のルーカスの妻だ。」
「いえ、私も初めてお会いしたのですわ。えーと、貴方お名前教えていただけません?存じ上げなくて。」

義父の侯爵様の背後から夫のルーカスが現れた。
「そうだな。差出人の名前が無かったから、私にも教えていただけるかな?」
旦那様は、怒っていらっしゃるようね。良かったわ。同じ気持ちで。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

貴方の側にずっと

麻実
恋愛
夫の不倫をきっかけに、妻は自分の気持ちと向き合うことになる。 本当に好きな人に逢えた時・・・

君から逃げる事を赦して下さい

鳴宮鶉子
恋愛
君から逃げる事を赦して下さい。

6回目のさようなら

音爽(ネソウ)
恋愛
恋人ごっこのその先は……

さようなら、初恋

芙月みひろ
恋愛
彼が選んだのは姉だった *表紙写真はガーリードロップ様からお借りしています

お母様!その方はわたくしの婚約者です

バオバブの実
恋愛
マーガレット・フリーマン侯爵夫人は齢42歳にして初めて恋をした。それはなんと一人娘ダリアの婚約者ロベルト・グリーンウッド侯爵令息 その事で平和だったフリーマン侯爵家はたいへんな騒ぎとなるが…

それは確かに真実の愛

宝月 蓮
恋愛
レルヒェンフェルト伯爵令嬢ルーツィエには悩みがあった。それは幼馴染であるビューロウ侯爵令息ヤーコブが髪質のことを散々いじってくること。やめて欲しいと伝えても全くやめてくれないのである。いつも「冗談だから」で済まされてしまうのだ。おまけに嫌がったらこちらが悪者にされてしまう。 そんなある日、ルーツィエは君主の家系であるリヒネットシュタイン公家の第三公子クラウスと出会う。クラウスはルーツィエの髪型を素敵だと褒めてくれた。彼はヤーコブとは違い、ルーツィエの嫌がることは全くしない。そしてルーツィエとクラウスは交流をしていくうちにお互い惹かれ合っていた。 そんな中、ルーツィエとヤーコブの婚約が決まってしまう。ヤーコブなんかとは絶対に結婚したくないルーツィエはクラウスに助けを求めた。 そしてクラウスがある行動を起こすのであるが、果たしてその結果は……? 小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。

【完結】さようなら、私の初恋

蛇姫
恋愛
天真爛漫で純粋無垢な彼女を愛していると云った貴方 どうか安らかに 【読んでくださって誠に有難うございます】

【完結】さよなら、馬鹿な王太子殿下

花草青依
恋愛
ビーチェは恋人であるランベルト王太子の傍らで、彼の“婚約破棄宣言”を聞いていた。ランベルトの婚約者であるニナはあっさりと受け入れて去って行った。それを見て、上手く行ったと満足するビーチェ。しかし、彼女の目的はそれだけに留まらず、王宮の平和を大きく乱すものだった。 ■主人公は、いわゆる「悪役令嬢もの」の原作ヒロインのポジションの人です ■画像は生成AI (ChatGPT)

処理中です...