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見られなかった側
元婚約者で侯爵令息のエラルドが新たな婚約者を得たと聞き、伯爵令嬢アメリアは微笑んだ。男爵令嬢を取り囲み何か良からぬ企てを立てていた元婚約者は勝負に負けたらしい。幼い頃は神童だとチヤホヤされた男も、愚かな者に交われば、例外なく愚かになっていく。
何より公爵家とことを構えるつもりもない伯爵家には第一王子を旗頭に公爵家に楯突くような婿は要らない。アメリアはエラルドとの婚約がなくなり、新たな婚約者を得た。
彼は自分を過大評価したりせず、身の程を弁えた性格で社交界で悪目立ちすることもなく、穏やかに過ごせそうだ。元婚約者からすれば愚鈍な、この婚約者をアメリアは随分前から気に入っていた。アメリアが男性に求めるものは多くない。隠し事をせず、互いに譲り合い、互いに愛する努力をする。それだけだ。政略結婚だからといって歩み寄る努力をしないなら婚姻する意味もなくなる。思うに元婚約者も第一王子アントニオも政略結婚の理解が足りなかったのだろう。
男爵令嬢を引き取り養女に、と聞いた時にはアメリアとの婚約は破棄されていた。
「すまないが婚約を解消にしてくれないか。私にはやらなければならないことがあるんだ。」
最初に自分では釣り合わない、と辞退しようとしたアメリアを引き止めてまで結んだ婚約をあっさりと無しにして我儘をいう。別に止めません。好きになされば?
伯爵家は引き際を見極めていた。対して侯爵家は深みに嵌っては引き返す素振りを見せてはやっぱりここで止まると元が取れないと思うのか、立ち止まることなく前にどんどん進んで行った。
男爵令嬢は確かに若い貴族達に人気があった。だが、それは妻にするわけではない。彼女は此方を見て優越感を感じていたらしいのだが、反対から見れば此方が気の毒に思っていたのはチェルシー嬢本人だ。
若い貴族達は、皆愛人にせずともお金を払わずに遊べる便利な女性を探していた。お金を払わなくても欲を受け止めてくれるならば多少の我儘はゆるしてやる。そんな思いで彼女を使おうとしていた。
ある意味エラルドが彼女の身を隠してくれて良かった。彼女がフリーになったのなら彼女を攫って、どこかに繋いで、自分だけの奴隷として可愛がる気の男はいただろう。
でも正直にいうならば、彼女の生き方ならばそうなるのは仕方ないこと。なんせもう純潔ではないのだから、嫁としての価値はなく、淑女とは言えず、まともな嫁ぎ先はないに等しい。
一番良くないのは、彼女に女性の友人が全くいないこと。敵に容赦しないのは男女問わず同じだが、女性の方が根回しは水面下で行われる。
未だにエラルドは自分が婚約を解消したと思い込んでいる。実際は解消でも白紙でもない。破棄一択。婚約破棄は此方から。引き際のわからない家には政略結婚の旨味すらないのよ。
何より公爵家とことを構えるつもりもない伯爵家には第一王子を旗頭に公爵家に楯突くような婿は要らない。アメリアはエラルドとの婚約がなくなり、新たな婚約者を得た。
彼は自分を過大評価したりせず、身の程を弁えた性格で社交界で悪目立ちすることもなく、穏やかに過ごせそうだ。元婚約者からすれば愚鈍な、この婚約者をアメリアは随分前から気に入っていた。アメリアが男性に求めるものは多くない。隠し事をせず、互いに譲り合い、互いに愛する努力をする。それだけだ。政略結婚だからといって歩み寄る努力をしないなら婚姻する意味もなくなる。思うに元婚約者も第一王子アントニオも政略結婚の理解が足りなかったのだろう。
男爵令嬢を引き取り養女に、と聞いた時にはアメリアとの婚約は破棄されていた。
「すまないが婚約を解消にしてくれないか。私にはやらなければならないことがあるんだ。」
最初に自分では釣り合わない、と辞退しようとしたアメリアを引き止めてまで結んだ婚約をあっさりと無しにして我儘をいう。別に止めません。好きになされば?
伯爵家は引き際を見極めていた。対して侯爵家は深みに嵌っては引き返す素振りを見せてはやっぱりここで止まると元が取れないと思うのか、立ち止まることなく前にどんどん進んで行った。
男爵令嬢は確かに若い貴族達に人気があった。だが、それは妻にするわけではない。彼女は此方を見て優越感を感じていたらしいのだが、反対から見れば此方が気の毒に思っていたのはチェルシー嬢本人だ。
若い貴族達は、皆愛人にせずともお金を払わずに遊べる便利な女性を探していた。お金を払わなくても欲を受け止めてくれるならば多少の我儘はゆるしてやる。そんな思いで彼女を使おうとしていた。
ある意味エラルドが彼女の身を隠してくれて良かった。彼女がフリーになったのなら彼女を攫って、どこかに繋いで、自分だけの奴隷として可愛がる気の男はいただろう。
でも正直にいうならば、彼女の生き方ならばそうなるのは仕方ないこと。なんせもう純潔ではないのだから、嫁としての価値はなく、淑女とは言えず、まともな嫁ぎ先はないに等しい。
一番良くないのは、彼女に女性の友人が全くいないこと。敵に容赦しないのは男女問わず同じだが、女性の方が根回しは水面下で行われる。
未だにエラルドは自分が婚約を解消したと思い込んでいる。実際は解消でも白紙でもない。破棄一択。婚約破棄は此方から。引き際のわからない家には政略結婚の旨味すらないのよ。
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