大恋愛の後始末

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ライアンの遊び

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婚約発表は一年後を予定していたのに、半年も早くなってしまった。でも、ジュリエットの悲惨な末路から面白おかしく噂されるのを黙って耐えるのもそろそろ限界で、何よりライアンがどうにか過去の「大恋愛」が嘘だと否定して回りたいと言うのでこのタイミングになったのだ。

ライアンもシェイラも婚約前は互いに社交を積極的にするタイプではなかったことから、度重なる夜会の参加には緊張で喉がカラカラになったり、笑顔が引き攣ったりしていたが、何度も経験しているうちにだんだんと慣れてきた。

挨拶が終われば一旦バラけて、各々が友人と話したりするのかと思いきや、ライアンは何故か毎回シェイラを離そうとしない。

お手洗いにもついてきそうな様相で、常に側を離れない。

「簡単に離れてしまうと、演技だとバレてしまうだろ?」

悪戯っ子の我儘みたいなノリで、シェイラに近づいてはたわいもない話を敢えて囁いてくる攻撃は誰よりもシェイラ本人に効いた。

「それでも、近寄りすぎです。」

どうにかこうにか身体を離そうと、力を込めて胸を押してみるも、全くびくともしない。そのことにショックを受けていると、笑顔で少し離れてくれる。かと思ったら徐に額に口を付けてくるのだから、シェイラの心臓はバクバクと音を立てて、今にも爆発しそうになる。

シェイラの涙目に気を良くしたのか、面白がっている様子で終始楽しそうなライアンに、少し呆れながらシェイラは夜会を楽しんでいた。

大公子息と伯爵令嬢というアンバランスな婚約は、様々な憶測を呼んだが、概ね好意的に捉えられた。

勿論、好意的ではない者もいた。ジュリエットとライアンの仲を未だに噂通りに信じている者達だ。

ジュリエットは色々と特異な状況下にいたものの、人を惹きつける魅力は持っていた。男性に限り、という注釈は付くものの、未だに彼女の為に自分が存在する、と思っている者もいる。

彼らの中では、ライアンが新しい人生を謳歌することは、酷い裏切りで、彼女を一生愛す筈のライアンを誑かしたシェイラは阿婆擦れということになる。

彼らは元は、ジュリエットの気まぐれによって婚約者を捨てた者達だが、ジュリエットを手に入れられなくとも彼女の為に生きると言い張っていた。

彼らの家は、既に彼らを見限っているし、弟なり養子なりを用意して彼らを自由にする方向で動いている。

「もう少しの辛抱だから。」

ライアンのいう通り、こんなに四方八方から見られやすい中でイチャイチャしていたら、どうぞ襲ってください、と言っているようなものだ。

それを狙っていたとしても、シェイラのライフはほぼない。誰よりも一番近いライアン自身にゴリゴリ削られているからだ。

かくして、彼らを捕まえるのに、ライアンがその演技を辞めた頃には、シェイラはすっかり虫の息になっていた。



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