大恋愛の後始末

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既視感

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公爵家の庭では五人の子供が走り回っている。最初に脱落したのは三男のヨシュア。お茶を楽しみつつ、子供を眺めていたシェイラに甘えたい末っ子だ。

「あ、ずるい!」

シェイラの膝の上に乗って、クッキーを所望する彼に、大声で非難するのは長女セシリアで、彼女の側には彼女の侍従が、一緒に走っている。

彼はセシリアが直々に選んできた養子候補で、セシリアは彼と将来結婚したいそうだ。保険として公爵様に養子を頼んだものの、ライアンからの「公爵様はあの、ユリウスを育てたんだぞ。信用できるのか。」という言葉に、愕然としてしまった。

今更ではあるが、そうか。すでに一度失敗しているのだ。公爵様に寄越された教育係の方々も、良い人と悪い人が半々だった。悪いとは言ってもうちの子達に教育方針が合わないだけで、家庭教師としては優れた人物である。

実際彼らの教え子達は、優れた人物になっている。

ライアンの教育係は、しょっちゅう変わっていたというし、「その日その日で子供の興味もやる気も違うのだから、一人に決めなくても良いんじゃないか。」との言葉に何人かの教師を雇い入れることになった。

セシリアのお気に入りの彼は、孤児院で彼女が見つけて連れ帰って来たが、仕事もすぐに覚え、今も、走る娘の足が縺れたらすぐに支えられるようにフォローする身体能力の高さ、気遣いの仕方が、侍従というより親に近いと思うのは、シェイラが彼女の親だからか。

ジンという少年はシェイラの視線を感じると、お辞儀をして、笑顔を見せた。笑うと歳相応になる彼のことは、充分将来の養子候補として、考え中である。

ヨシュアがボロボロと、クッキーをこぼす所為で、シェイラのドレスがクッキー塗れになってしまった。

運動して食べたら眠くなる幼児に怒る訳もなく、ヨシュアを抱き上げると、ドレスをはたいて、邸に入る。

すっかり大きくなった長男が、軽々とヨシュアを受け取ると、空気を読んだのか次男も付いていった。

さっきまで騒がしかったのに、気づけばライアンと二人きり。

気まずいわけではないが、少し甘い雰囲気を醸し出していると、「すぐイチャイチャするんだから!」と、セシリアが飛び出して来た。

空気を読んだジンがセシリアをどうにか連れ出そうとするが、セシリアを動かしたのはライアンだった。

ボソボソと話していたと思ったら真っ赤な顔をして、ジンを置いて部屋を出て行ってしまった。

ジンが慌てながら後を追う。

「何を言ったの?」
「別に?お前もジンとすれば良いじゃないか、って言っただけだ。」

幼い娘に何を言っているんだと思ったが、セシリアも満更ではないらしい。どちらかと言うとジンの貞操を守らなくてはならないのかしら。

ジンは、最終的には公爵家の養子ではなく、伯爵家の養子になった。シェイラの実家のブラウン家の養子になり、セシリアはそこに嫁ぐことになる。

セシリアがライアン監修の元、婚姻に際して契約書を作成していたことも、シェイラは後から聞いた。

変な独占欲の強さは、父親似だと、可笑しくなって笑っていたら、「鈍感さは奥様似ですね。」とジンが笑っている。

「契約書で縛り付けなくても、私はお側を離れませんよ。」

ニコリとしたジンの顔は、シェイラが初夜に見たライアンの顔と、被って見えた。



終わり

読んでいただきありがとうございました。    mios

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