3 / 6
第3話 不思議な出来事
しおりを挟む
柳都のお仕事場は、お家のすぐとなりにある。
つながっているから、すぐ仕事場にいけるわ。
一度こっそり忍び足で覗きに行ったんだけど、すぐ見つかって奥に連れ戻されちゃったの。
「店内は割れ物が多くて危ない。あなたがケガをしたらいけないから」
という理由らしいけど、多分あたしが品物をこわしちゃうからだろうな。片目しか見えないから余計に。お仕事している柳都、見たかったのになぁ。残念。
そんなある日、お客さんの一人が悩んでいて、柳都が相談にのっていた。
優しそうなお婆さんだった。
その方は亡くなったご主人様からもらった指輪をなくしたそうで、大いに困っていたようなの。
たまたま柳都の腕の中にいたあたしは前足をそっと前に出した。
そのお婆さんは握手のお誘いととったようで、その足を握ったの。
すると、彼女は大きく目を見開いて動けなくなった。
「……柳都さん、今思い出したことがあるの。一旦失礼するわ」
「? それは構いませんが、どうされました?」
「この猫ちゃんの足を握ったら、頭の中にぱっと浮かび上がったの! 大切な指輪のありかが!」
「そうですか。それは良かったです。本当にあると良いですね」
柳都から聞けば、それから彼女の探しものはすぐ見つかったらしいの。玄関のお花に水やりをした時に落としたんだって。
それからこういう“不思議なこと”色々があって、お客さんが少し増えた気がする。
彼らの狙いはここの品物だけではなく、“探しもの”や“願いごと”みたい。
お客さん達が言うには、あたしの目を見ながら前足を握ると分かるのですって。驚いちゃった。
「ディアナ、あなたは凄い力を持っているようですね。驚きました」
大きな手で撫でられて、あたしは鼻たかだかだった。
「お客様が増えることは、お店にとってもうれしいことです」
「でも、凄い力はとんでもないことを呼び寄せるきっかけにもなります。用心しないといけませんね」
柳都が言う“とんでもないこと”ってどんなことかしら?
よく分からないけど、お客さんが増えることは良いことだもの。
あたしはすごくうれしかった。
だって、柳都にはいつもやってもらってばかりなんだもの。
あたしにできることってほとんどない。
こういうことでよろこんでもらえるなら、あたし張り切っちゃう。
でも、柳都を困らせることはしたくない。
だから、あたしの目を見ながら前足を握ったりする以外にも“不思議なこと”が色々起きたんだけど、ここでもナイショにしておくわ。
柳都との約束だから。
つながっているから、すぐ仕事場にいけるわ。
一度こっそり忍び足で覗きに行ったんだけど、すぐ見つかって奥に連れ戻されちゃったの。
「店内は割れ物が多くて危ない。あなたがケガをしたらいけないから」
という理由らしいけど、多分あたしが品物をこわしちゃうからだろうな。片目しか見えないから余計に。お仕事している柳都、見たかったのになぁ。残念。
そんなある日、お客さんの一人が悩んでいて、柳都が相談にのっていた。
優しそうなお婆さんだった。
その方は亡くなったご主人様からもらった指輪をなくしたそうで、大いに困っていたようなの。
たまたま柳都の腕の中にいたあたしは前足をそっと前に出した。
そのお婆さんは握手のお誘いととったようで、その足を握ったの。
すると、彼女は大きく目を見開いて動けなくなった。
「……柳都さん、今思い出したことがあるの。一旦失礼するわ」
「? それは構いませんが、どうされました?」
「この猫ちゃんの足を握ったら、頭の中にぱっと浮かび上がったの! 大切な指輪のありかが!」
「そうですか。それは良かったです。本当にあると良いですね」
柳都から聞けば、それから彼女の探しものはすぐ見つかったらしいの。玄関のお花に水やりをした時に落としたんだって。
それからこういう“不思議なこと”色々があって、お客さんが少し増えた気がする。
彼らの狙いはここの品物だけではなく、“探しもの”や“願いごと”みたい。
お客さん達が言うには、あたしの目を見ながら前足を握ると分かるのですって。驚いちゃった。
「ディアナ、あなたは凄い力を持っているようですね。驚きました」
大きな手で撫でられて、あたしは鼻たかだかだった。
「お客様が増えることは、お店にとってもうれしいことです」
「でも、凄い力はとんでもないことを呼び寄せるきっかけにもなります。用心しないといけませんね」
柳都が言う“とんでもないこと”ってどんなことかしら?
よく分からないけど、お客さんが増えることは良いことだもの。
あたしはすごくうれしかった。
だって、柳都にはいつもやってもらってばかりなんだもの。
あたしにできることってほとんどない。
こういうことでよろこんでもらえるなら、あたし張り切っちゃう。
でも、柳都を困らせることはしたくない。
だから、あたしの目を見ながら前足を握ったりする以外にも“不思議なこと”が色々起きたんだけど、ここでもナイショにしておくわ。
柳都との約束だから。
0
あなたにおすすめの小説
【1話完結】あなたの恋人は毎夜わたしのベッドで寝てますよ。
ariya
ファンタジー
ソフィア・ラテットは、婚約者アレックスから疎まれていた。
彼の傍らには、いつも愛らしい恋人リリアンヌ。
婚約者の立場として注意しても、アレックスは聞く耳を持たない。
そして迎えた学園卒業パーティー。
ソフィアは公衆の面前で婚約破棄を言い渡される。
ガッツポーズを決めるリリアンヌ。
そのままアレックスに飛び込むかと思いきや――
彼女が抱きついた先は、ソフィアだった。
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
元恋人が届けた、断りたい縁談
待鳥園子
恋愛
シュトルム辺境伯の末娘ソフィに隣国の帝国第二皇子から届けられた『縁談』の使者は、なんと元恋人のジョサイアだった。
手紙ひとつで別れることになったソフィは、素直になれずジョサイアから逃げ回る。
「私に届けなければ、彼は帝国に帰ることが出来ない」
そう思いようやく書状を受け取ろうと決意したソフィに、ジョサイアは何かを言い掛けて!?
愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました
由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。
尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。
けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。
そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。
再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。
一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。
“尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。
静かに離婚しただけなのに、
なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。
嫌われたと思って離れたのに
ラム猫
恋愛
私は、婚約者のカイルに嫌われたと思った。冷たくそっけなく、近づくたびに避けられる日々。
距離を置くことを選び、留学の準備も進めて心を落ち着かせようとするけれど——。
さようならの定型文~身勝手なあなたへ
宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」
――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。
額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。
涙すら出なかった。
なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。
……よりによって、元・男の人生を。
夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。
「さようなら」
だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。
慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。
別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。
だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい?
「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」
はい、あります。盛りだくさんで。
元・男、今・女。
“白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。
-----『白い結婚の行方』シリーズ -----
『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。
婚約者から妾になれと言われた私は、婚約を破棄することにしました
天宮有
恋愛
公爵令嬢の私エミリーは、婚約者のアシェル王子に「妾になれ」と言われてしまう。
アシェルは子爵令嬢のキアラを好きになったようで、妾になる原因を私のせいにしたいようだ。
もうアシェルと関わりたくない私は、妾にならず婚約破棄しようと決意していた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる