冒険者が破壊する薄明の世界

Yuhきりしま

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孤独のフリード

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 冒険者フリードは依頼を見る為にギルドへと立ち寄る。

 フリードの見た目はみすぼらしく履き潰している靴もボロボロだった。背丈は人並み以上に大きくがっしりとした体格から、頼れる男性にも見えるが怖がられる経験の方が多い。

 彼は新規の依頼が張り出されるまで時間があり、一人で席についた。ミシミシと軋む椅子がフリードの体重を精一杯支える音が周りの話し声でかき消される。

 Dランク冒険者のフリードは主に一人で活動している。周りの冒険者は三人から五人程のメンバーでパーティを組み難易度の高い依頼をやることで懐を潤しているけれど、フリードは一つ下のFランクを請けていた。

 元々はフリードも周りと同じようにパーティを組んでいたが、幼馴染のメアリが抜けるタイミングで同じように離れる事を決意して、早数ヶ月の時間が経っている。

 フリードがパーティを組んでいた頃はギルドの依頼を片っ端に請け、破竹の勢いでBランクに到達した。依頼を完了し多額なお金を分配していた日々はフリード自身も楽しく過ごしていたが、不満が募ると直ぐにパーティは解散した。結局は人間関係がパーティ解散の大きな理由となる。

 普通のパーティならば、前衛で魔物を足止めし後衛が強力な攻撃を放つスタイルが基本となる。しかし、フリードのパーティでは圧倒的な戦闘力を持つ人物が存在した。

 それがフリードの幼馴染――メアリである。

 パーティが解散して暫く経つが、ギルドからフリードに対する個人評価はDランクとなっている。一方、メアリはAランクと評されていた。このランクは四人一組のBランクパーティ相当の力を個人で持っている評価となり、殆どの依頼をたった一人で十分だと認められている。

 解散理由――それは単純にメアリが強すぎて他のメンバーがお荷物だという現実が一番の要因だった。

 当時、メアリが不在の時はせいぜいCランクまでの依頼しかギルドから請けられないくらいパーティ全体の評価が落ちる。フリードは特に周りの目という物を気にしていなかったがそれを良しとしない者もいた。

 そういう経緯があり解散後はフリードもメアリと同じくソロで活動している。
 
 ちりりーん。

 冒険者ギルドの受付嬢がベルを鳴らした。その音を合図に待機していた冒険者達が立ち上がり張り出された依頼へ殺到する。フリードはDランクとはいえ、ソロで活動しているので新米冒険者が請けるようなFランクの依頼を目当てにしていたので人が減るのを待つ。

 売れ残りの依頼が自分に合ってればいいなと期待しながら殺到する人々を眺めていた。

「久しぶりー」

 一人ポツンと座っていたフリードの隣に珍しくメアリが座った。

「よっ」

 淡い金髪を肩で揃えて黒を基調とした服を着ている。今から魔物討伐に行くような服装には誰がどう見ても思えない。王族、貴族の良い出のお嬢様を彷彿とさせる姿は美しく久々に会ったフリードも目を奪われた。

「あんたまだソロでやってるんですかぁー?」
「おうよ。孤独のフリードと巷で呼ばれてる」
「ふふっ。絶妙にダサいですねぇ」

 騒がしいギルド内で二人の席だけ誰にも興味を持たれず話し声も通る。今日は何用でメアリが現れたのかフリードが気になり始めた時にメアリが気まずそうに口を開いた。

「孤独のフリードかぁ……私もアレからずーっとソロだからね。色々と大変よね……ご飯とかちゃんと食べれてる?」
「そこそこな。一人で気楽に依頼をやってはのんびりする日々よ」

 ふーんと呟きながらメアリもフリードと同じように頭からつま先までじーっとフリードを見ていた。ぼさぼさの髪に無精髭を生やしたフリードが本当に生活出来ているのか少し心配した様子でため息を吐く。

 フリードはメアリと同じ孤児院で生活した経験上とてもお世話好きだと知っている。フリードの髭を剃ろうとでも言い出すのかと身構えた。

「ところで、暇だったりする―?」

 何か含む様な言い方にフリードは疑問を持ちながら素直に答える。

「余り物で良さそうな依頼がアレばやるくらいで何も決めてない。暇といえば暇だ」
「そう……じゃぁ~」

 もしかしたら、新しく思いついたスキルの実験体にでもなって欲しいのかとフリードが身震いし始めた時にメアリが言った。

 どこか照れてそうな印象が新鮮で、今までメアリから言われた事の無い言葉。

「今日は一緒に過ごしますかー」

 悪戯っぽく微笑むメアリの言葉はフリードの予想を裏切る内容だった。
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