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第二十六話
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げ、と思うほどでもないし何も後ろめたい事はしていないのだが、何となく決まりが悪く亮太は篠崎先生から目を逸らした。
目ざとく亮太の雰囲気を感じ取った先生は笑顔から一転、真顔になるとずんずんとこちらに向かって来る。
「し、新堂さん」
慌てて隣を歩く新堂の腕を掴んだ。新堂が目を見開く。
「どうした」
「店に入りましょう、早く」
彼の返答を聞かぬまま強く腕を引っ張りつつ正面のスポーツショップに入った。色とりどりのシューズのエリアを抜けザックが並ぶアウトドア用品を過ぎ、そのまま店の奥へひたすら突き進む。Tシャツやジャージ類が山のように陳列されているエリアまで来るとそこで亮太はようやく足を止め、後ろを振り返った。
これがうまく隠れ蓑になるといいんだが。
篠崎先生の姿は見えない。
「なまえ」
ぽつりと零された新堂の言葉に、亮太は彼の腕をいまだ握りしめている事に気づいて慌てて放した。
「は、はい? 」
「名前を初めて呼んでくれたな」
と新堂は亮太を見つめながら目を細めた。巧のような華のある分かりやすい笑顔ではないが、いつも硬い表情の新堂がほほ笑んだ事がわかり亮太は思わずどぎまぎした。
「で、どうかしたのか」
「あー、いや、学校の先生に見つかって。何か、その、いろいろ聞かれても面倒だなって思ったから」
万一、先生に新堂の事を聞かれたらどう答えたらいいだろうか。クラスメイトやほかの大人ならともかく相手は教師だ、本当の事を言えば色々誤解されそうな気がする。だからと言って適当にごまかそうにも少しでも二人の関係に不自然さが見られたら色々と詰問されそうな気がした。
友人にしては年が離れすぎているしどこで知り合ったかなんてさらに聞かれたらどうする。かと言って親戚だと答えても何か質問されればすぐにボロが出る。
亮太の懸念を何となく感じ取ったのだろう、新堂はひとつ頷いた。
「わかった。俺に任せてくれるか」
「え」
どういう意味かと質問しようとしたその時に亮太は目の端に篠崎先生が入店してくるのを捉えた。
「やべ」
慌てた様子に新堂も同じ方向を向き彼を認識した。亮太がさらに店の奥に移動しようとする前に先生は目ざとく亮太達を見つけた。
目ざとく亮太の雰囲気を感じ取った先生は笑顔から一転、真顔になるとずんずんとこちらに向かって来る。
「し、新堂さん」
慌てて隣を歩く新堂の腕を掴んだ。新堂が目を見開く。
「どうした」
「店に入りましょう、早く」
彼の返答を聞かぬまま強く腕を引っ張りつつ正面のスポーツショップに入った。色とりどりのシューズのエリアを抜けザックが並ぶアウトドア用品を過ぎ、そのまま店の奥へひたすら突き進む。Tシャツやジャージ類が山のように陳列されているエリアまで来るとそこで亮太はようやく足を止め、後ろを振り返った。
これがうまく隠れ蓑になるといいんだが。
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「なまえ」
ぽつりと零された新堂の言葉に、亮太は彼の腕をいまだ握りしめている事に気づいて慌てて放した。
「は、はい? 」
「名前を初めて呼んでくれたな」
と新堂は亮太を見つめながら目を細めた。巧のような華のある分かりやすい笑顔ではないが、いつも硬い表情の新堂がほほ笑んだ事がわかり亮太は思わずどぎまぎした。
「で、どうかしたのか」
「あー、いや、学校の先生に見つかって。何か、その、いろいろ聞かれても面倒だなって思ったから」
万一、先生に新堂の事を聞かれたらどう答えたらいいだろうか。クラスメイトやほかの大人ならともかく相手は教師だ、本当の事を言えば色々誤解されそうな気がする。だからと言って適当にごまかそうにも少しでも二人の関係に不自然さが見られたら色々と詰問されそうな気がした。
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「わかった。俺に任せてくれるか」
「え」
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