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第一章 始まり

第4話 〜そして異世界へ〜

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 光に包まれた空間から、声がした。
 遠くて、今にも消えてしまいそうな声だ。

[こいつには適正があるようだ。]

 何を言っているんだ…?適正…?意味が分からない。
 そんなことを考えていると、禍々しい[何か]がこちらに向かってくる。
 言葉で例えるなら、[怒]そんな言葉が相応しい、気持ちの悪い[何か]が俺の体を包んでいった。
…………
 おい、
………………
 やめろよ、
……………………
 俺をどうするつもりだ!

[次の器はお前だ。]

 その言葉を最後に、俺の意識は途絶えた。

……………………………………………

 俺が目を開くと、そこは広大な草原が広がっていた。
 景色マニアの男は、この美しい自然を見て今にも感動しそうだった。
 そして俺は、ここが異世界であることを理解した。

「本当に俺が生きていた世界とは違う世界だ…っていうか、異世界って、こんなにも景色が違うのか…」

 あれ…ここに来る前に、何かあった気がしたが…
思い出せない。
 俺は、忘れる程度のことだったのだろうと割り切った。

「さて、何しようか…」

 少年は期待を胸にいっぱいにしたが、笑みが漏れていたりは全くしていなかった。
 むしろ、いつもよりも冷静なような気がした。
 今から自分は何をして行けばいいのだろうか。何もない草原に1人ポツンとしていたのだ、そう思ったが、後ろから声が聞こえてきた。

「うぅ…」

 懐かしい声がした。
 …いや、懐かしいというか、さっきまで聞いていた声であった。
 俺は直ぐに後ろを確認した。

 そこには神がいた。さっきまで意識を失っていたらしい。
 驚いた俺だったが、きっと、さっきの[もの]を届けに来てくれたんだと理解した。
 理解した少年はすぐに感謝を伝える。

「神様、わざわざここまで剣を届けてくださるとは、ありがとうございます!」

 俺は頭を下げて礼をした。そして頭を上げた。
 神は、こちらを見てずっと驚いていた。何かあったのだろうか。
 俺は問いただしてみた。

「えぇと…どうかされましたか…?」

 神は言葉が出なかったのか、少ない語彙で俺の方に指を指して伝えた。

「か…髪、目…緑…!」

 神はよくわからないことを言っていたが、彼女の言った言葉だけを整理すると、[俺の髪と目が緑色]ということらしい。
 一応言っておくが、俺は中学生で髪を染めるなんてしていないぞ。
 校則違反になるし、そもそも興味がないからな。
 ただの[黒髪]中学生だ。
 俺はそんなこと思っていたが、神の反応は異常だった。
 俺は神の瞳を見た。神の瞳に反射した自分の姿が見えた。

[緑]だった。

 瞳に反射した髪の色だから定かでは無い。しかし、黒髪ではなかった。
 黒にしては色が鮮やかすぎた。
 鮮やかな色だけでは緑と断定することはできないが、神のいうことが正しいのならば、少年の神は本当に緑色ということになる。
 髪しか見えなかったが、どうやら俺の[目]を緑色になっているらしい。
 なぜこうなった。俺には全く分からなかった。
 しかし、俺は別に気にしていない。実際、言われるまで気が付かなかったレベルである。
 生活に支障をきたすレベルではない。そう思った。
 しかし、神はずっと驚いている。そんな神を落ち着かせるように俺は話す。

「神様、僕は緑髪でも緑目でも気にしませんよ。安心してください。とりあえず、木陰で少し休みましょうか。」

 俺は女神の手を引いて近くの木陰に女神を座らせた。

  しかし、不思議であった。

  なぜ、髪や目が[緑]になったのか。
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