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新たな旅路~Cランク昇格試験編~
真実を知る者
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その夜
「それじゃあ、カイさんたちはそのまま王都に行くんですね…」
「うん。多分そうなると思う。」
「それじゃあ僕は、一足先に王都に向かっています。」
「えっ、一人で行くの?危ないよ。」
「いえ、一人ではないです。明日、ルークス様が王都に行く予定があるらしくて、ついでに僕も連れて行ってもらうことにしたんです。」
「そっか…それなら安心だね。僕らの出発も明日だけど、お祖父様の召喚獣の方が明らかに速いし、ユウリは先に宿を5人分取っといてもらえるかな?」
「期間はどうしたらいいですか?」
「うーん…一週間でいいよ。王都にもそんな長くはいないだろうし。」
「分かりました。」
「ありがとう。本当にユウリは頼もしいね。」
「ところでカイさん、試験のレベルはどんな感じだったんですか?」
「そうだなぁ…ほとんどの連中は覚える価値もなさそうだったけど、数人強い人はいたね。」
僕がそう言うとユウリは目を輝かせた。
「でも、カイさんの方が強いですよね?」
「あー…どうだろ…僕の場合はいろいろと反則してるからな…。半神としてじゃなくて、人間として戦った場合は互角ぐらいにはいくんじゃないかな…いや、ユウリが見る戦いなら、あの手この手を使って僕が勝てるように何か仕込むから、確実に僕が勝つと思うけど。」
「何やろうとしてんねん。」
「あっ、コウ。なんだ、聞いてたの?」
「あの手この手からな。」
「いやーそれは比喩だよ。ウン。」
「目が泳いどるで。」
「…だって僕、真剣勝負なんてクソくらえだと思ってるもん。」
「でも、貴族の決闘やって真剣勝負なんやろ?」
「そりゃあ真剣に勝負してる人もいるかもしれないけど、普通はしないと思うよ。相手の食事に下剤いれたり、試合前に相手を暗殺して勝負をなかったことにしたり…歴史は繰り返すからねぇ…。僕ならそんなバレるようなヘマ、しないけど。」
まあ真剣勝負を好むコウには分からないだろう。
「⋯俺が見てる時にやるのはやめてな。」
あー、確かにコウは仲間の不正も見逃せないだろうな。でも、
「大丈夫だよ。多分やっても君は気づかないだろうし。」
「いや、気づくから!何年の付き合いやと思ってんねん!」
「いやーでも、それは関係ないんじゃないかな。」
それから1時間ほど、コウと僕の言い合いは続いたのだった。
◇
その頃、天界にて
「にしてもノア様、いつレイにこのことを話すんですか?」
そう言ってタナトスは首を傾げた。
「できれば一生話さないつもりだ。」
「いつまでも隠しておけるようなものじゃないですし、じきにばれると思いますよ。」
「それでも、な。アイツは怒るだろう。」
「そりゃあそうでしょうね。レイとノア様のせいで、カイやライは今もなお苦しんでいるのですから。レイはカイと一緒にいすぎました。彼が感じた苦しみや絶望を身近に感じていたはず。それが全て自分のせいで感じざるをえなかったものだと知ったとき、レイは間違いなくあなたに怒りを向けるでしょうね。」
タナトスがそう言った瞬間、後ろで何かが壊れる音がした。
音が鳴った方を見ると、そこには絶望に顔を歪めた万物神レイがいた。
「…っ、レイ!」
創造神が引き留める前にレイはパッと姿を消した。
「…困ったことになったな。」
「俺が探してきましょうか?」
「いや、無駄だ。アイツはもう神界にいない。」
「えっ、神界にいないとなるとあとは現世しかないんじゃ…。神は現世に介入してはならないという掟がありますよね?」
「掟は所詮掟でしかない。罰は私が決めるのだから、私のお気に入りである自分が罰せられることはないと思っているのだろう。にしても困ったな。アイツは新しい体になってから、まだ1000年たっていない。数年であれば私に居場所を特定されずに過ごすことができるはずだ。」
「でも、なんだって現世に…」
「おそらく、カイに会いに行ったんだろう。私はあまり現世に介入できないし、どうしたものか…」
「ライを使って回収しますか?」
「いや、ライはかなり力を使いすぎている。レイを回収するのは無理だ。」
「であれば、天使のなかで優秀なものを派遣しますか?」
「それが一番いいのだろうが、適任がな…。」
「それなら私がいこうか?ノアお兄様。」
ノアは振りかえらずにそっとため息をついた。
「ルナ。どうやってここに?」
「頑張ったの。それで、お兄様。困っているんでしょ?私なら介入できるよ。」
本来であれば神が介入すると世界は神力の影響を受けて最悪壊れてしまうが、創造神ルナは特異な性質をもっており、世界に影響を与えることなく介入することができたのだ。
「遊びで入らないと約束しただろ?」
「遊びじゃないもん!」
末の妹に弱いノアはルナの説得の末、仕方なく頷いた。
「それじゃあ、行ってきまーす!期待して待ってて、お兄様!」
「はいはい…まったく、あの子は。」
「ノア様って、ルナ様に甘いですよね。」
「仕方ないだろ。可愛い妹だからな。…ひとまず、これで様子を見ようか。」
創造神ノアはそう言って静かに目を閉じたのだった。
「それじゃあ、カイさんたちはそのまま王都に行くんですね…」
「うん。多分そうなると思う。」
「それじゃあ僕は、一足先に王都に向かっています。」
「えっ、一人で行くの?危ないよ。」
「いえ、一人ではないです。明日、ルークス様が王都に行く予定があるらしくて、ついでに僕も連れて行ってもらうことにしたんです。」
「そっか…それなら安心だね。僕らの出発も明日だけど、お祖父様の召喚獣の方が明らかに速いし、ユウリは先に宿を5人分取っといてもらえるかな?」
「期間はどうしたらいいですか?」
「うーん…一週間でいいよ。王都にもそんな長くはいないだろうし。」
「分かりました。」
「ありがとう。本当にユウリは頼もしいね。」
「ところでカイさん、試験のレベルはどんな感じだったんですか?」
「そうだなぁ…ほとんどの連中は覚える価値もなさそうだったけど、数人強い人はいたね。」
僕がそう言うとユウリは目を輝かせた。
「でも、カイさんの方が強いですよね?」
「あー…どうだろ…僕の場合はいろいろと反則してるからな…。半神としてじゃなくて、人間として戦った場合は互角ぐらいにはいくんじゃないかな…いや、ユウリが見る戦いなら、あの手この手を使って僕が勝てるように何か仕込むから、確実に僕が勝つと思うけど。」
「何やろうとしてんねん。」
「あっ、コウ。なんだ、聞いてたの?」
「あの手この手からな。」
「いやーそれは比喩だよ。ウン。」
「目が泳いどるで。」
「…だって僕、真剣勝負なんてクソくらえだと思ってるもん。」
「でも、貴族の決闘やって真剣勝負なんやろ?」
「そりゃあ真剣に勝負してる人もいるかもしれないけど、普通はしないと思うよ。相手の食事に下剤いれたり、試合前に相手を暗殺して勝負をなかったことにしたり…歴史は繰り返すからねぇ…。僕ならそんなバレるようなヘマ、しないけど。」
まあ真剣勝負を好むコウには分からないだろう。
「⋯俺が見てる時にやるのはやめてな。」
あー、確かにコウは仲間の不正も見逃せないだろうな。でも、
「大丈夫だよ。多分やっても君は気づかないだろうし。」
「いや、気づくから!何年の付き合いやと思ってんねん!」
「いやーでも、それは関係ないんじゃないかな。」
それから1時間ほど、コウと僕の言い合いは続いたのだった。
◇
その頃、天界にて
「にしてもノア様、いつレイにこのことを話すんですか?」
そう言ってタナトスは首を傾げた。
「できれば一生話さないつもりだ。」
「いつまでも隠しておけるようなものじゃないですし、じきにばれると思いますよ。」
「それでも、な。アイツは怒るだろう。」
「そりゃあそうでしょうね。レイとノア様のせいで、カイやライは今もなお苦しんでいるのですから。レイはカイと一緒にいすぎました。彼が感じた苦しみや絶望を身近に感じていたはず。それが全て自分のせいで感じざるをえなかったものだと知ったとき、レイは間違いなくあなたに怒りを向けるでしょうね。」
タナトスがそう言った瞬間、後ろで何かが壊れる音がした。
音が鳴った方を見ると、そこには絶望に顔を歪めた万物神レイがいた。
「…っ、レイ!」
創造神が引き留める前にレイはパッと姿を消した。
「…困ったことになったな。」
「俺が探してきましょうか?」
「いや、無駄だ。アイツはもう神界にいない。」
「えっ、神界にいないとなるとあとは現世しかないんじゃ…。神は現世に介入してはならないという掟がありますよね?」
「掟は所詮掟でしかない。罰は私が決めるのだから、私のお気に入りである自分が罰せられることはないと思っているのだろう。にしても困ったな。アイツは新しい体になってから、まだ1000年たっていない。数年であれば私に居場所を特定されずに過ごすことができるはずだ。」
「でも、なんだって現世に…」
「おそらく、カイに会いに行ったんだろう。私はあまり現世に介入できないし、どうしたものか…」
「ライを使って回収しますか?」
「いや、ライはかなり力を使いすぎている。レイを回収するのは無理だ。」
「であれば、天使のなかで優秀なものを派遣しますか?」
「それが一番いいのだろうが、適任がな…。」
「それなら私がいこうか?ノアお兄様。」
ノアは振りかえらずにそっとため息をついた。
「ルナ。どうやってここに?」
「頑張ったの。それで、お兄様。困っているんでしょ?私なら介入できるよ。」
本来であれば神が介入すると世界は神力の影響を受けて最悪壊れてしまうが、創造神ルナは特異な性質をもっており、世界に影響を与えることなく介入することができたのだ。
「遊びで入らないと約束しただろ?」
「遊びじゃないもん!」
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「それじゃあ、行ってきまーす!期待して待ってて、お兄様!」
「はいはい…まったく、あの子は。」
「ノア様って、ルナ様に甘いですよね。」
「仕方ないだろ。可愛い妹だからな。…ひとまず、これで様子を見ようか。」
創造神ノアはそう言って静かに目を閉じたのだった。
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