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最後の夏休み~揺れる心~
盗賊退治
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数日後
僕は談話室の扉の前に立っていた。そう、僕には談話室の中に入れない理由があった。中から聞こえてくるのは僕の話だったからだ。
「そんなことがあってんな…そらすまんかったな、ウチのカイが。いろいろと迷惑かけたやろ?根は悪いヤツやないから許したってな。」
「前から思ってたんですけど、カイくんってやるときとやらないときの差が激しすぎませんか?」
「分かる。変なスイッチ入ったら死ぬほど頑張るのにやる気ない時は誰に何言われてもやらないよな。」
「んじゃ前の特別試験はやる気入ってたってことか?あんなに緻密に作戦考えてたってことは。」
「どうでしょう…やる気はあったとは思いますけど、私に作戦を説明したときは『死にかけて』だけでしたし。言葉からはあんまりでないんですよね、なぜか。」
「恥ずかしかったんじゃないのか?アイリスのために一生懸命になったていうのを見せたくなかったんだ、きっと。」
おい、エレン。あとで覚えとけ…
そう思いながら入りずらくなった談話室の扉を思いきりあける。
「何の話してるの?」
「いっ、いや…ほら、あれや!アルフォードが冒険者に興味あるみたいで、修行つけてほしいって言ってきたから皆で予定立てとってん!」
アルフォードが思いきり首を振っているが、、、まあのってやろう。
「へぇ…いい心がけだね。この辺の草原なら低級の魔物ばかりだしアイリスと行って来たら?お望みなら誰か貸すよ。僕以外であれば。」
「カイは行かへんの?」
「うん。やらいないといけないことがあるから。それに面倒くさいし。やるなら僕以外とどうぞ。」
「カイと一緒にギルドで依頼を受けれたらいいと思ってたんだが、それも無理か?」
「…それぐらいならいいよ。」
「…アルフォード教える方が時間かからへんと思うねんけど……」
「依頼は終わりがあるけど、修行は終わりがないからやだ。それに、僕と属性もほとんど違うし、教えられることなんてほとんどないよ。」
「あっ、じゃあ僕も戦闘に関して教えてもらおうと思ってたんですけど、ダメですか?」
「ユウリはいいよ。」
「なんでだよ!」
「アルフォードは生意気だけど、ユウリは可愛いもん。」
「カイさんだって可愛くないし、結構生意気だから俺と一緒だろ!」
「アルフォード、生意気ってのは下の者が上の者に対して粋がった態度をとることを言うんだよ!僕の方が身分は上だし年だって僕の方が上なんだからその表現は間違っている。」
ギャーギャーと喧嘩をしていると扉がコンコンと音をたてた。
「カイ様、そろそろ出発のお時間です。」
「あっ、そうだった。今日ギルドに行くんだった。危ない危ない。皆、急いで準備…って、できてないの僕だけか。じゃちょっと待ってて。」
そう言って僕は自分の部屋へUターンするはめになった。
♢
Cランク 盗賊退治 10日以内
報酬 生け捕り:一人につき5万リビア
死体(首)引き渡し:一人につき1万リビア
「これで。」
「はっ、はい。少々お待ちください。」
受付の人が慌ただしく動いているのを横目に僕はふぅ…とため息をつく。
「貴族のぼっちゃんが盗賊退治だぁ?無理に決まってんだろ!!なぁ、おまえら!」
「へい、兄貴!しかもそいつらまだDランクらしいですぜ。」
「失敗してママに泣きつくんだな!!」
コイツら、多分よそ者だな。僕の髪と目を見てもどこの誰か分からないなんてお里が知れている。
「はぁ…一応言っておくけど、僕の母はとうの昔に死んでいる。」
「偉そうに。貴族だからって俺たちをなめてんのか?俺はCランクだぞ!お前たちよりも上だ!」
「偉そうじゃなくて実際に偉いんだよ、貴族ってのはね。そんなことも分からないの?」
「あ”あ”なんだと?」
そう言ってバカが僕の胸倉をつかむ。
「王国法第21条第三項、相手の同意なしに貴族の衣服および体に触れた平民はその手首を切り落とされる。…残念だね、ここで君たちの冒険は終わりということだ。」
「んなもんウソに決まってるだろ!!」
そう言って僕を殴ろうとする。あーあ、暴行罪まで加わったら死刑になるって言った方がよかったかな。
そう思っていると、バカの腕は僕の顔に当たる前に誰かによって止められる。
「いい加減にしろ、ドラフェス。」
「っアルバイド!なんでお前が!!」
「なんでって…冒険者なんだからギルドにいてもおかしくないだろう。それよりも、早くここから出て行ってもらえるかな?皆がお前に殴りかかる前に。」
ギルド内はなぜだか殺気が立ち込めていて今にも誰かが殴りだしそうな雰囲気だった。
「くそっ、覚えとけよ!!」
そんな捨てセリフを吐いて出ていくバカの後ろ姿を見送る。
「カイ様もあまり挑発してはいけませんよ。」
「なんだ、僕のこと知ってるんだ。」
「私は生まれも育ちもここですから。…まあそうでなくとも黒髪に緑眼といえば公爵家の方々しかいらっしゃいませんし、ここにいる人達も気づいているとは思いますよ。ドラフェスは最近ここに来た冒険者ですので知らなくても無理はありませんが。」
「へぇ…そうなんだ。いやでもさ、煽るのは仕方なくない?僕は貴族で向こうは平民。一方的にやられたらメンツ丸つぶれだし。ギルド内での暴力沙汰はご法度。さっさと手を出して強制的に退場してもらおうかなと思ってただけだから。うちの領では不敬罪は適応されない。だけど、最近ここに来た冒険者なら脅し文句を言えばびびって逃げるかと思ったんだけど、見事に通じなかったね。」
「見ているこっちがひやひやしましたよ。そういうことはほどほどになさってくださいね。」
「はーい」
「それでは失礼いたします。」
丁寧にお辞儀をしてギルドから出ていく。どこかで礼儀作法を習ったんだろうか?
「お待たせしました。こちらが地図になります。この付近では最近5~10人組の盗賊の目撃情報がでていまして、被害も数件起こっていますのでお気をつけください。」
そんなこんなで僕らの冒険は始まったのだった。
僕は談話室の扉の前に立っていた。そう、僕には談話室の中に入れない理由があった。中から聞こえてくるのは僕の話だったからだ。
「そんなことがあってんな…そらすまんかったな、ウチのカイが。いろいろと迷惑かけたやろ?根は悪いヤツやないから許したってな。」
「前から思ってたんですけど、カイくんってやるときとやらないときの差が激しすぎませんか?」
「分かる。変なスイッチ入ったら死ぬほど頑張るのにやる気ない時は誰に何言われてもやらないよな。」
「んじゃ前の特別試験はやる気入ってたってことか?あんなに緻密に作戦考えてたってことは。」
「どうでしょう…やる気はあったとは思いますけど、私に作戦を説明したときは『死にかけて』だけでしたし。言葉からはあんまりでないんですよね、なぜか。」
「恥ずかしかったんじゃないのか?アイリスのために一生懸命になったていうのを見せたくなかったんだ、きっと。」
おい、エレン。あとで覚えとけ…
そう思いながら入りずらくなった談話室の扉を思いきりあける。
「何の話してるの?」
「いっ、いや…ほら、あれや!アルフォードが冒険者に興味あるみたいで、修行つけてほしいって言ってきたから皆で予定立てとってん!」
アルフォードが思いきり首を振っているが、、、まあのってやろう。
「へぇ…いい心がけだね。この辺の草原なら低級の魔物ばかりだしアイリスと行って来たら?お望みなら誰か貸すよ。僕以外であれば。」
「カイは行かへんの?」
「うん。やらいないといけないことがあるから。それに面倒くさいし。やるなら僕以外とどうぞ。」
「カイと一緒にギルドで依頼を受けれたらいいと思ってたんだが、それも無理か?」
「…それぐらいならいいよ。」
「…アルフォード教える方が時間かからへんと思うねんけど……」
「依頼は終わりがあるけど、修行は終わりがないからやだ。それに、僕と属性もほとんど違うし、教えられることなんてほとんどないよ。」
「あっ、じゃあ僕も戦闘に関して教えてもらおうと思ってたんですけど、ダメですか?」
「ユウリはいいよ。」
「なんでだよ!」
「アルフォードは生意気だけど、ユウリは可愛いもん。」
「カイさんだって可愛くないし、結構生意気だから俺と一緒だろ!」
「アルフォード、生意気ってのは下の者が上の者に対して粋がった態度をとることを言うんだよ!僕の方が身分は上だし年だって僕の方が上なんだからその表現は間違っている。」
ギャーギャーと喧嘩をしていると扉がコンコンと音をたてた。
「カイ様、そろそろ出発のお時間です。」
「あっ、そうだった。今日ギルドに行くんだった。危ない危ない。皆、急いで準備…って、できてないの僕だけか。じゃちょっと待ってて。」
そう言って僕は自分の部屋へUターンするはめになった。
♢
Cランク 盗賊退治 10日以内
報酬 生け捕り:一人につき5万リビア
死体(首)引き渡し:一人につき1万リビア
「これで。」
「はっ、はい。少々お待ちください。」
受付の人が慌ただしく動いているのを横目に僕はふぅ…とため息をつく。
「貴族のぼっちゃんが盗賊退治だぁ?無理に決まってんだろ!!なぁ、おまえら!」
「へい、兄貴!しかもそいつらまだDランクらしいですぜ。」
「失敗してママに泣きつくんだな!!」
コイツら、多分よそ者だな。僕の髪と目を見てもどこの誰か分からないなんてお里が知れている。
「はぁ…一応言っておくけど、僕の母はとうの昔に死んでいる。」
「偉そうに。貴族だからって俺たちをなめてんのか?俺はCランクだぞ!お前たちよりも上だ!」
「偉そうじゃなくて実際に偉いんだよ、貴族ってのはね。そんなことも分からないの?」
「あ”あ”なんだと?」
そう言ってバカが僕の胸倉をつかむ。
「王国法第21条第三項、相手の同意なしに貴族の衣服および体に触れた平民はその手首を切り落とされる。…残念だね、ここで君たちの冒険は終わりということだ。」
「んなもんウソに決まってるだろ!!」
そう言って僕を殴ろうとする。あーあ、暴行罪まで加わったら死刑になるって言った方がよかったかな。
そう思っていると、バカの腕は僕の顔に当たる前に誰かによって止められる。
「いい加減にしろ、ドラフェス。」
「っアルバイド!なんでお前が!!」
「なんでって…冒険者なんだからギルドにいてもおかしくないだろう。それよりも、早くここから出て行ってもらえるかな?皆がお前に殴りかかる前に。」
ギルド内はなぜだか殺気が立ち込めていて今にも誰かが殴りだしそうな雰囲気だった。
「くそっ、覚えとけよ!!」
そんな捨てセリフを吐いて出ていくバカの後ろ姿を見送る。
「カイ様もあまり挑発してはいけませんよ。」
「なんだ、僕のこと知ってるんだ。」
「私は生まれも育ちもここですから。…まあそうでなくとも黒髪に緑眼といえば公爵家の方々しかいらっしゃいませんし、ここにいる人達も気づいているとは思いますよ。ドラフェスは最近ここに来た冒険者ですので知らなくても無理はありませんが。」
「へぇ…そうなんだ。いやでもさ、煽るのは仕方なくない?僕は貴族で向こうは平民。一方的にやられたらメンツ丸つぶれだし。ギルド内での暴力沙汰はご法度。さっさと手を出して強制的に退場してもらおうかなと思ってただけだから。うちの領では不敬罪は適応されない。だけど、最近ここに来た冒険者なら脅し文句を言えばびびって逃げるかと思ったんだけど、見事に通じなかったね。」
「見ているこっちがひやひやしましたよ。そういうことはほどほどになさってくださいね。」
「はーい」
「それでは失礼いたします。」
丁寧にお辞儀をしてギルドから出ていく。どこかで礼儀作法を習ったんだろうか?
「お待たせしました。こちらが地図になります。この付近では最近5~10人組の盗賊の目撃情報がでていまして、被害も数件起こっていますのでお気をつけください。」
そんなこんなで僕らの冒険は始まったのだった。
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