嫌われ者の俺はやり直しの世界で義弟達にごまをする

赤牙

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【番外編★現在更新中★】ジェイドとリエンのやり直し

ジェイドとリエンのやり直しの人生 〜決闘①〜

 秋を迎え、学園では朝から剣と剣がぶつかり合う音が多く聞こえるようになる。
 『剣術大会』は、学園で一番盛り上がるイベントだ。各学年ごとに剣技に優れた者を一名選出し、その後は学年も体格差も関係なくトーナメント方式で戦い学園の頂点を決める。
 騎士を目指す者にとっては、なんとしてでも欲しい称号だ。
 参加者は希望性だが、男子生徒はほとんどの者が参加し、女子生徒の参加も今年は多い。

「兄さんは剣術大会に参加されないのですか?」

 中庭でシャルル兄さんと共に剣術の稽古をしている生徒を眺めながら問いかけると、兄さんは困ったような笑顔を見せる。

「俺は非力だし剣術のセンスはないからなぁ。大会に出たってすぐに負けるのが分かっているから参加はしないかな」
「そうなんですね。ですが、剣術は力だけの勝負ではありませんよ。技で強者に勝つ者もいます。体格差を上手く活かして戦う者もいますしね」
「確かにそうだな。ジェイドとリエンの手合わせを見ていたらそう感じることもあるよ。リエンは凄いよな。体格差があってもジェイドと対等にやり合えるんだから」

 兄さんの言葉に数日前のリエンとの手合わせを思い出す。
 一度目の時には、剣術に関してあまり興味を持っていなかったリエンだったが、森で遭難して以来『兄様を守れるようになる』という目標を掲げ鍛錬に励んでいた。
 筋力や体格差をカバーするために、剣技やスピードを重視した練習を重ね、学年ではリエンに敵うものはいないようだ。
 リエンは体格差のある私と勝負しても互角レベルの腕を持っており、剣術大会でも一目を置かれる存在になっていた。今も同級生とともに練習をしている。

「リエンは、今年の大会のダークホースになるかもしれないと言われていますね。ですが、優勝は私がいただきます」
「ハハ、ジェイドがそんなこと言うなんて珍しいな。二人とも応援しているから頑張れよ」
「はい、ありがとうございます」

 兄さんと別れ私もリエンのいる稽古場へと向かう。
 稽古場に到着すると、すでに多くの生徒が練習を始めていた。数十人の生徒が自由に練習できる広い稽古場だが、自然と各学年ごとに集まり小さなグループが出来上がっている。
 いくつかあるグループの一つから、ワッと声が上がり一人の男子生徒が勝利を見せつけるように剣を高々と上げた。燃えるような赤髪と傲慢な態度はどこにいても目立つ。
 イザーク・エスタリア。私が倒すべき相手だ。
 シャルル兄さんのクラスメイトのイザークのことは以前から好ましく思っていなかったが、数ヶ月前にイザークは私に宣戦布告をしてきた。


◇◇◇

「おい、ジェイド。シャルルの義弟ってだけで、デカい顔していい気になるなよ。シャルルにとってお前は、お荷物以外の何ものでもないからな」
「……シャルル兄さんは、そんな考えを持つ方ではありません」

 授業が終わりシャルル兄さんと合流する前に、イザークが突然、私の前に現れ暴言を吐きはじめる。
 兄さんの友人エレンと喧嘩し、兄さんに諭され色々と反省して大人しくしていたイザーク。
 態度の変化を疑問に思いつつイザークの話を聞いていると、どうやら兄さんがイザークの誘いを断り、私を優先したことがあり腹を立てているようだった。
 幼稚な理由に呆れながら相手をしていると、イザークが胸ぐらを掴んでくる。

「すました顔をして、何もかも分かってますって態度が気に入らないんだよ。侯爵家に運良くなれただけで、お前自身は何者でもない不要な存在だ。何もできないお前が、シャルルの前をうろつくと迷惑だってことも考えられないのか?」
「失礼ですが、私とシャルル兄さんの仲は誰であろうと裂くことはできません。私はシャルル兄さんの弟として家族として兄さんを支え守っていくと誓っていますので」

 胸ぐらを掴むイザークの手首を掴むと、イザークは鼻で笑う。

「シャルルを守る? そんな細腕でか? 笑わせるなよ」
 
 突き飛ばすようにイザークが乱暴に手を離す。横暴な態度に苛立ち睨みつけると、イザークは着けていた手袋を投げつけてくる。

「剣術大会で白黒つけてやる。まぁ、俺のところまで勝ち上がってこられればな」

 横柄な態度のイザークを再度睨みつけ、投げつけられた手袋に視線を向ける。
 爵位を持つ者が手袋を投げる行為は『決闘』を申し込むということだ。イザークはその意味の大きさを分かってやっているのだろうか。
 ただの挑発で投げつけてきたのだろうが、ここで私が手袋を拾わなければ逃げたと思われる。
 ここまでやられて、逃げる理由などない。
 
「……分かりました。これは、エスタリア侯爵家からウォールマン家への決闘の申し込みということでよろしいですか?」
「— —っ! ……そ、そうだ!」

 『エスタリア侯爵』の名を出すとイザークは一瞬、焦りを見せる。ことの重大さを今になって気付いたのだろう。だが、もう遅い。
 エスタリア家の家紋が入った白い手袋をぐしゃりと握り締め、イザークに微笑みかける。

「では、その決闘ジェイド・ウォールマンとして受けさせていただきます」
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