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【番外編★現在更新中★】ジェイドとリエンのやり直し
ジェイドとリエンのやり直しの人生 〜嵐の夜に②〜
「いい天気だな。晴れて良かったよ」
カラリと晴れた空を見上げシャルル兄さんが微笑む。その笑顔につられて私とリエンも頬を緩ませていると、私たちに視線を向けた兄さんがプッと吹き出すように笑った。
「すごい荷物だな二人とも。森で一晩泊まるつもりか? そんなに荷物があると上手く動けないんじゃないか?」
私とリエンの荷物は、軽装のシャルル兄さんとは真逆だ。
予備の着替えとタオル、非常食に飲み物をつめこんだ大きめのリュックを背負っている。
これでも厳選した最低限の荷物だ。リエンも、自分の体と同じくらいの大きな荷物を抱えて準備は万全だ。
「シャルル兄様、森に行く時は何があってもいいように準備は万全でなくちゃいけないんだよ。シャルル兄様の分は僕たちが準備してるから安心して!」
胸を張るリエンの姿にシャルル兄さんは優しげな視線を向ける。
「確かにそうだな。何かあってからじゃ困るからな。ありがとう、ジェイド、リエン。さぁ、天気のいいうちに行こう」
各自、馬に跨り森の奥へ。兄さんを先頭に進んでいくと、段々と森の色が濃くなってくる。湿った土の香りと木々が生い茂る緑の匂いが混ざりあい、初夏を感じる。
頬に受ける少し湿った風が肌にまとわりなんだか懐かしく、くすぐったい感覚だ。
「兄さん、気持ちがいいですね」
「あぁ、そうだな。あ、あそこに獣道があるぞ。獲物がいるかもしれない」
シャルル兄さんは幼い子どものように目を輝かせ狩りに夢中になっていく。その兄さんの姿に私とリエンも釘付けだった。
小動物がタッと草むらを走る姿を見つけ、シャルル兄さんが弓を構える。弓引き絞る音の後に鋭く空気を裂く音が動物めがけて放たれた。
ドスっと矢尻が土の中に埋もれる音が聞こえた。
「あぁ~外したか」
「兄様、とっても惜しかったね! あと少しだったよ」
「野生の動物はやはり俊敏ですね」
「そうだな。小さな獲物は出会いやすい分、弓で仕留めるのは難しいからな……次こそは大物をしとめたいな」
シャルル兄さんの眩しい笑顔を見ていると、あの時—— 一度目の兄さんの笑顔とは違うことに気付く。あの時の兄さんは、何かを心配しながら私が楽しめるように散策を進めてくれた。
この後に起こるかもしれない出来事に注意しながらも、私が楽しむことを優先し行動してくれたのだ。
シャルル兄さんが私たちにしてくれたことを懐かしみながら森の深くまでやってくる。
背の高い木々の葉が日の光をまばらに地面を照らすくらいの明るさになると、穏やかな森の雰囲気が少し変わったように感じた。
木々の隙間から見える空は次第に雲が多く見えるようになった。
— —やはり天候が傾き始めたか。
あの時と同じ状況に、目を細め空を見上げているとリエンが横に馬をつけてくる。
「天気が怪しいね。そろそろ引き返す?」
「あぁ、そうだな。もうそろそろ……」
「ジェイド、リエン! 危ない!」
その時だった。シャルル兄さんの大声が聞こえる。視線を声の方に向けると、茶色の塊がこちらに向かって猛進してくる。
馬は驚き、いななきをあげると大きく前足を振り上げた。その馬に乗っていた私は、手綱を掴みそこね数メートルの高さから落馬する。背中に激痛が走り、息が吸えなかった。なんとか目を開き状況を確認する。
私を乗せていた馬は混乱したまま森の奥へと消えてしまう。隣に、いたリエンは……手綱が腕に絡まり宙吊り状態だった。青ざめた顔で助けを求めていたが、興奮した馬はリエンを引きずりながら森の奥へ消えていく。
「ジェイド! だ、大丈夫か!?」
「え、えぇ……私は足を少しひねったみたいです。しかし、リエンが手綱が腕に絡んだまま馬と……」
そこまで話し終えると空一面を覆っていた雨雲が、私たちの不安を表すように黒く淀んでいく。
リエンが消えた森の方から轟々と唸りを上げるような音が迫ってくる。
そして、大粒の雨が降り出した。
カラリと晴れた空を見上げシャルル兄さんが微笑む。その笑顔につられて私とリエンも頬を緩ませていると、私たちに視線を向けた兄さんがプッと吹き出すように笑った。
「すごい荷物だな二人とも。森で一晩泊まるつもりか? そんなに荷物があると上手く動けないんじゃないか?」
私とリエンの荷物は、軽装のシャルル兄さんとは真逆だ。
予備の着替えとタオル、非常食に飲み物をつめこんだ大きめのリュックを背負っている。
これでも厳選した最低限の荷物だ。リエンも、自分の体と同じくらいの大きな荷物を抱えて準備は万全だ。
「シャルル兄様、森に行く時は何があってもいいように準備は万全でなくちゃいけないんだよ。シャルル兄様の分は僕たちが準備してるから安心して!」
胸を張るリエンの姿にシャルル兄さんは優しげな視線を向ける。
「確かにそうだな。何かあってからじゃ困るからな。ありがとう、ジェイド、リエン。さぁ、天気のいいうちに行こう」
各自、馬に跨り森の奥へ。兄さんを先頭に進んでいくと、段々と森の色が濃くなってくる。湿った土の香りと木々が生い茂る緑の匂いが混ざりあい、初夏を感じる。
頬に受ける少し湿った風が肌にまとわりなんだか懐かしく、くすぐったい感覚だ。
「兄さん、気持ちがいいですね」
「あぁ、そうだな。あ、あそこに獣道があるぞ。獲物がいるかもしれない」
シャルル兄さんは幼い子どものように目を輝かせ狩りに夢中になっていく。その兄さんの姿に私とリエンも釘付けだった。
小動物がタッと草むらを走る姿を見つけ、シャルル兄さんが弓を構える。弓引き絞る音の後に鋭く空気を裂く音が動物めがけて放たれた。
ドスっと矢尻が土の中に埋もれる音が聞こえた。
「あぁ~外したか」
「兄様、とっても惜しかったね! あと少しだったよ」
「野生の動物はやはり俊敏ですね」
「そうだな。小さな獲物は出会いやすい分、弓で仕留めるのは難しいからな……次こそは大物をしとめたいな」
シャルル兄さんの眩しい笑顔を見ていると、あの時—— 一度目の兄さんの笑顔とは違うことに気付く。あの時の兄さんは、何かを心配しながら私が楽しめるように散策を進めてくれた。
この後に起こるかもしれない出来事に注意しながらも、私が楽しむことを優先し行動してくれたのだ。
シャルル兄さんが私たちにしてくれたことを懐かしみながら森の深くまでやってくる。
背の高い木々の葉が日の光をまばらに地面を照らすくらいの明るさになると、穏やかな森の雰囲気が少し変わったように感じた。
木々の隙間から見える空は次第に雲が多く見えるようになった。
— —やはり天候が傾き始めたか。
あの時と同じ状況に、目を細め空を見上げているとリエンが横に馬をつけてくる。
「天気が怪しいね。そろそろ引き返す?」
「あぁ、そうだな。もうそろそろ……」
「ジェイド、リエン! 危ない!」
その時だった。シャルル兄さんの大声が聞こえる。視線を声の方に向けると、茶色の塊がこちらに向かって猛進してくる。
馬は驚き、いななきをあげると大きく前足を振り上げた。その馬に乗っていた私は、手綱を掴みそこね数メートルの高さから落馬する。背中に激痛が走り、息が吸えなかった。なんとか目を開き状況を確認する。
私を乗せていた馬は混乱したまま森の奥へと消えてしまう。隣に、いたリエンは……手綱が腕に絡まり宙吊り状態だった。青ざめた顔で助けを求めていたが、興奮した馬はリエンを引きずりながら森の奥へ消えていく。
「ジェイド! だ、大丈夫か!?」
「え、えぇ……私は足を少しひねったみたいです。しかし、リエンが手綱が腕に絡んだまま馬と……」
そこまで話し終えると空一面を覆っていた雨雲が、私たちの不安を表すように黒く淀んでいく。
リエンが消えた森の方から轟々と唸りを上げるような音が迫ってくる。
そして、大粒の雨が降り出した。
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