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【番外編★現在更新中★】ジェイドとリエンのやり直し
ジェイドとリエンのやり直しの人生 〜決闘②〜
いよいよ明日はイザークとの決闘の日。
ウォールマン家として受けた決闘ということもあり、大会まで日々鍛錬に励んだ。
シャルル兄さんと過ごす時間を減らしてまで挑む決闘だが、イザークは簡単に勝てる相手ではない。
イザークの父エスタリア侯爵は王家直属の騎士団をまとめ上げる騎士団長だ。
エスタリア侯爵家は、代々王家に仕える騎士を輩出している。それゆえに、保守的な思想と選民意識は高い。イザークの兄マチアスも学園を卒業後、騎士団に入り一年も経たない間に功績をあげている。
そんな中で育ったイザークは、剣術に関して学年でトップクラス。去年は、兄マチアスと優勝争いをしていたほどだ。
だが、決して勝てない相手ではない。
イザークの癖や性格面などを考えながら対策を練り、練習ではリエンがイザークの動きを模倣して相手してくれるた。
念には念をいれて対策をして、剣術大会に挑んだ。
◇◇◇◇
秋晴れのなかで始まった剣術大会。
参加者以外にも、観客として学生の家族たちも多く来場しとても賑わっている。観客の中には、学園の剣術大会で優勝してきた歴代猛者たちも来賓席にいた。
来賓席の中でも一番目立つのは、赤髪を軽く流し上げすました表情のマチアス・エスタリアだ。剣術大会の優勝連続記録を保持しており、学園を卒業後には騎士団の期待の新星として日々活躍していると聞く。
そんな状況でイザークと対戦し、勝てば……エスタリア家はしばらく大人しくなるだろう。
そんなことを考えていると、剣術大会の開会を告げる選手宣誓が行われた。
そして、戦いの火蓋が落とされた。
まずは学年ごとの試合だが、互いに練習をして実力を分かっているせいか私と対戦する者たちは、ある程度のところで諦め降参していく。学年代表として勝ち上がった者たちが集まりトーナメントのクジを引いた。
二つのグループに分かれ、最後はグループのトップが勝負し優勝がきまる。
リエンとは当たりたくなかったが、残念なことに同じグループになってしまう。そして、イザークは、もう一つのグループだった。
きっとイザークは決勝まで勝ち上がってくるだろう。
イザークは自信満々な態度で最初に戦う相手に睨みをきかしていた。
私もイザークに気を取られている余裕はない。負ける気はないが、剣術では一瞬でも隙を見せればトドメを刺されまけてしまう。
まずは、目の前の相手に集中していく。時間をかければ体力も削られるため、勝負を一瞬で決め相手を負かしていく。
そして、決勝前にリエンとの対戦だ。
「ジェイド兄様、申し訳ないけど今日は負けられないから」
「奇遇だな。私も同じだ」
審判の合図とともに剣が重なり甲高い音が耳に響く。力で押すとリエンはヒラリと身をずらし、私が少しバランスを崩したところで、リエンの剣がまっすぐ私に向かってきた。
すんでのところで剣を弾き返すと、その反動でリエンの体が大きく開き、その瞬間に間をつめる。
「リエン、ここまでだ」
「— —ッッ」
剣の柄をリエンの胸にドンと当て、リエンが大きくバランスを崩し膝をついたところに剣先を向ける。
「降参か?」
「……降参、です」
リエンは悔しそうにムッとした表情を見せていた。
決勝を前に少し休憩の時間がはいると、シャルル兄さんが駆け寄ってくる。
「ジェイド、リエン! お疲れ様!」
兄さんは少し興奮した顔で飲み物を渡してくれる。
「わぁ~! 兄様、ありがとう!」
「ありがとうございます、兄さん」
「二人とも凄かったな! 練習を頑張ってたのは知ってたけど、こんなにも強いなんて驚いたよ。決勝はイザークとだな。あいつも強いけどジェイドも強いからな。きっといい試合になるよ」
シャルル兄さんは私たちの戦いの良かった場面をジェスチャーを交えながら楽しそうに話していた。
決勝で緊張していた心が兄さんの優しさで少しほぐれていく。
談笑をしていると、シャルル兄さんの後ろにヌッと大きな影が現れた。
視線を上に上げれば、綺麗にセットされた威圧的な赤髪が目に入る。イザークの兄マチアスだ。
学園を卒業してから騎士団に入団し、元々大きかった体格がさらに逞しさを増し、イザークとは段違いの威圧感を放っている。
普通の者たちは、騎士団の制服を身に纏ったマチアスに誰も声などかけられないが……シャルル兄さんは違った。
「あ、マチアスさん。お久しぶりです」
「シャルルくん、久しいな。元気そうで何よりだ。今回も剣術大会には不参加なのかい?」
「はい……俺が出てもすぐに負けるのは分かっていますし」
「無謀だとは分かっていても挑戦することは大切なことだぞ。負けることで様々なことが学べるからな。なぁ、義弟殿」
面識はあるのに、あえて名前を呼ばない見下した態度と決勝の戦いはすでに勝敗がついていると言いたげな言葉に、胸の奥がカッと熱くなる。
「そうですね。ジェイド・ウォールマンとして、ウォールマン家の名に泥をつけぬよう戦っていきたいと思います」
「そうか。健闘を祈るよ。では、シャルルくん。また」
「は、はい!」
マチアスはシャルル兄さんの肩を抱き、軽くチークキスをして去っていく。
兄さんは戸惑いながらも、去っていくマチアスを目で追っていた。
私とリエンはマチアスの背中を睨みつけ闘志を燃やす。
「ジェイド兄様、絶対にイザークに勝ってね。ボッコボコにしてきて」
「あぁ、もちろんだ」
ウォールマン家として受けた決闘ということもあり、大会まで日々鍛錬に励んだ。
シャルル兄さんと過ごす時間を減らしてまで挑む決闘だが、イザークは簡単に勝てる相手ではない。
イザークの父エスタリア侯爵は王家直属の騎士団をまとめ上げる騎士団長だ。
エスタリア侯爵家は、代々王家に仕える騎士を輩出している。それゆえに、保守的な思想と選民意識は高い。イザークの兄マチアスも学園を卒業後、騎士団に入り一年も経たない間に功績をあげている。
そんな中で育ったイザークは、剣術に関して学年でトップクラス。去年は、兄マチアスと優勝争いをしていたほどだ。
だが、決して勝てない相手ではない。
イザークの癖や性格面などを考えながら対策を練り、練習ではリエンがイザークの動きを模倣して相手してくれるた。
念には念をいれて対策をして、剣術大会に挑んだ。
◇◇◇◇
秋晴れのなかで始まった剣術大会。
参加者以外にも、観客として学生の家族たちも多く来場しとても賑わっている。観客の中には、学園の剣術大会で優勝してきた歴代猛者たちも来賓席にいた。
来賓席の中でも一番目立つのは、赤髪を軽く流し上げすました表情のマチアス・エスタリアだ。剣術大会の優勝連続記録を保持しており、学園を卒業後には騎士団の期待の新星として日々活躍していると聞く。
そんな状況でイザークと対戦し、勝てば……エスタリア家はしばらく大人しくなるだろう。
そんなことを考えていると、剣術大会の開会を告げる選手宣誓が行われた。
そして、戦いの火蓋が落とされた。
まずは学年ごとの試合だが、互いに練習をして実力を分かっているせいか私と対戦する者たちは、ある程度のところで諦め降参していく。学年代表として勝ち上がった者たちが集まりトーナメントのクジを引いた。
二つのグループに分かれ、最後はグループのトップが勝負し優勝がきまる。
リエンとは当たりたくなかったが、残念なことに同じグループになってしまう。そして、イザークは、もう一つのグループだった。
きっとイザークは決勝まで勝ち上がってくるだろう。
イザークは自信満々な態度で最初に戦う相手に睨みをきかしていた。
私もイザークに気を取られている余裕はない。負ける気はないが、剣術では一瞬でも隙を見せればトドメを刺されまけてしまう。
まずは、目の前の相手に集中していく。時間をかければ体力も削られるため、勝負を一瞬で決め相手を負かしていく。
そして、決勝前にリエンとの対戦だ。
「ジェイド兄様、申し訳ないけど今日は負けられないから」
「奇遇だな。私も同じだ」
審判の合図とともに剣が重なり甲高い音が耳に響く。力で押すとリエンはヒラリと身をずらし、私が少しバランスを崩したところで、リエンの剣がまっすぐ私に向かってきた。
すんでのところで剣を弾き返すと、その反動でリエンの体が大きく開き、その瞬間に間をつめる。
「リエン、ここまでだ」
「— —ッッ」
剣の柄をリエンの胸にドンと当て、リエンが大きくバランスを崩し膝をついたところに剣先を向ける。
「降参か?」
「……降参、です」
リエンは悔しそうにムッとした表情を見せていた。
決勝を前に少し休憩の時間がはいると、シャルル兄さんが駆け寄ってくる。
「ジェイド、リエン! お疲れ様!」
兄さんは少し興奮した顔で飲み物を渡してくれる。
「わぁ~! 兄様、ありがとう!」
「ありがとうございます、兄さん」
「二人とも凄かったな! 練習を頑張ってたのは知ってたけど、こんなにも強いなんて驚いたよ。決勝はイザークとだな。あいつも強いけどジェイドも強いからな。きっといい試合になるよ」
シャルル兄さんは私たちの戦いの良かった場面をジェスチャーを交えながら楽しそうに話していた。
決勝で緊張していた心が兄さんの優しさで少しほぐれていく。
談笑をしていると、シャルル兄さんの後ろにヌッと大きな影が現れた。
視線を上に上げれば、綺麗にセットされた威圧的な赤髪が目に入る。イザークの兄マチアスだ。
学園を卒業してから騎士団に入団し、元々大きかった体格がさらに逞しさを増し、イザークとは段違いの威圧感を放っている。
普通の者たちは、騎士団の制服を身に纏ったマチアスに誰も声などかけられないが……シャルル兄さんは違った。
「あ、マチアスさん。お久しぶりです」
「シャルルくん、久しいな。元気そうで何よりだ。今回も剣術大会には不参加なのかい?」
「はい……俺が出てもすぐに負けるのは分かっていますし」
「無謀だとは分かっていても挑戦することは大切なことだぞ。負けることで様々なことが学べるからな。なぁ、義弟殿」
面識はあるのに、あえて名前を呼ばない見下した態度と決勝の戦いはすでに勝敗がついていると言いたげな言葉に、胸の奥がカッと熱くなる。
「そうですね。ジェイド・ウォールマンとして、ウォールマン家の名に泥をつけぬよう戦っていきたいと思います」
「そうか。健闘を祈るよ。では、シャルルくん。また」
「は、はい!」
マチアスはシャルル兄さんの肩を抱き、軽くチークキスをして去っていく。
兄さんは戸惑いながらも、去っていくマチアスを目で追っていた。
私とリエンはマチアスの背中を睨みつけ闘志を燃やす。
「ジェイド兄様、絶対にイザークに勝ってね。ボッコボコにしてきて」
「あぁ、もちろんだ」
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