108 / 112
【番外編★現在更新中★】ジェイドとリエンのやり直し
ジェイドとリエンのやり直しの人生 〜決闘③〜
決勝戦。重々しい空気が闘技場を埋め尽くし、互いの名を呼ばれると観衆はワッと声をあげた。
イザークは気合いを入れ直したのか、マチアスに似せた髪型で登場する。歓声に余裕の表情をみせながら手を振り、私と向き合うと剣先を向けてくる。
「ジェイド。あの時の約束忘れていないだろうな」
「……もちろんです」
「ならいい。俺がシャルルのそばにいる時に、二度とその陰気臭い顔をみせるなよ」
散々バカにされるが、イザークのことは無視をして剣に集中していく。グリップにぐっと力を込め、大きく深呼吸をすれば頭の中がハッキリとする。
イザークに視線を向ければ、イザークも緊張した顔をしていた。皆の歓声をうけながら、チラリと見ていた先は……来賓席にいるマチアスだった。
マチアスがイザークに向ける無言の圧力は、騎士団を率いる侯爵家としてのプライドの高さを感じさせる。
— —イザークが虚勢を張り続けている原因か……
兄マチアスが優秀であるがゆえに、弟にかかるプレッシャーは大きいのだろう。だからと言って、こちらも負けてやるわけにはいかない。
売られた喧嘩だ。やるならば徹底的に。
剣を持ちイザークと向き合うと開始の合図が響き、興奮した観客の声が場内を包み込む。
先に動いたのはイザークだった。
無駄のない動きで、真っ直ぐに剣先を突き出してくる。それを交わすと、イザークはまた同じように剣を振るう。
交わしながら間を取ると空を切る剣の音は徐々に大きくなり、イザークの苛立ちが伝わってきた。
「— —ッッ! ジェイド逃げるな! 男らしく剣を受け止めろ」
「力で勝てないと分かっている相手の剣を受ければ私が勝てないではありませんか」
「勝てないと分かっているなら、さっさと負けてしまえ!」
「それはできない話ですね」
イザークがさらに大きく振り上げ隙が生まれる。それを見過ごさず、一気にイザークの間に入り込む。ギョッとしたイザークの顔を見て、思わずニヤッと笑みを浮かべてしまう。
踏み込んだイザークの足を軽く払うと、イザークの重心がぐっと前に流れた。その瞬間に、イザークの剣を強く弾くと、体勢を崩し膝をついた。すぐに立ちあがろうとするイザークに向けて、剣を突き出す。
「あなたの負けです」
その言葉にイザークの顔がみるみると赤くなる。そして、こちらを睨みつけた。
「俺は、まだ負けていない!」
イザークは地面の砂を手に取るとこちらに向かって投げつけ、その間に体勢を整えた。紳士の決闘としては少し卑劣なイザークの行動だが、負けたくないのは私も同じだ。
最後は意地と意地のぶつかり合いだった。
剣のぶつかり合う音が何度も響き渡り、そして、一番甲高い音を最後に消えた。
膝をついたイザークの手に剣はなかった。
「私の勝ちです」
ワッと闘技場の観衆が声を上げ、勝者の名前を叫んだ。イザークは肩で息をしながら呆然とした顔で剣のない手を見つめていた。
その手にそっと白い布を手渡す。
「これで汗を拭って下さい」
エスタリア家の家紋が入った白い手袋を渡すと、イザークは悔しそうに私を睨みつけた。
勝敗が決まり、近くで見守ってくれていたシャルル兄さんとリエンに視線をむけると、二人とも興奮した様子で抱き合いながら喜んでいた。
どさくさに紛れてシャルル兄さんの体を抱きしめているリエンを、引き剥がしに行こうと二人の方に向かっていると、目の前を剣で塞がれた。
剣を突き出してきた相手は……マチアスだった。
「すまないが、私ともう一戦やってくれないだろうか。エスタリア家の威信をかけてキミと戦いたい」
微笑みかけてくる優しい表情とは裏腹に、マチアスの黄金色の瞳はギラリと強い光を放っていた。
イザークは気合いを入れ直したのか、マチアスに似せた髪型で登場する。歓声に余裕の表情をみせながら手を振り、私と向き合うと剣先を向けてくる。
「ジェイド。あの時の約束忘れていないだろうな」
「……もちろんです」
「ならいい。俺がシャルルのそばにいる時に、二度とその陰気臭い顔をみせるなよ」
散々バカにされるが、イザークのことは無視をして剣に集中していく。グリップにぐっと力を込め、大きく深呼吸をすれば頭の中がハッキリとする。
イザークに視線を向ければ、イザークも緊張した顔をしていた。皆の歓声をうけながら、チラリと見ていた先は……来賓席にいるマチアスだった。
マチアスがイザークに向ける無言の圧力は、騎士団を率いる侯爵家としてのプライドの高さを感じさせる。
— —イザークが虚勢を張り続けている原因か……
兄マチアスが優秀であるがゆえに、弟にかかるプレッシャーは大きいのだろう。だからと言って、こちらも負けてやるわけにはいかない。
売られた喧嘩だ。やるならば徹底的に。
剣を持ちイザークと向き合うと開始の合図が響き、興奮した観客の声が場内を包み込む。
先に動いたのはイザークだった。
無駄のない動きで、真っ直ぐに剣先を突き出してくる。それを交わすと、イザークはまた同じように剣を振るう。
交わしながら間を取ると空を切る剣の音は徐々に大きくなり、イザークの苛立ちが伝わってきた。
「— —ッッ! ジェイド逃げるな! 男らしく剣を受け止めろ」
「力で勝てないと分かっている相手の剣を受ければ私が勝てないではありませんか」
「勝てないと分かっているなら、さっさと負けてしまえ!」
「それはできない話ですね」
イザークがさらに大きく振り上げ隙が生まれる。それを見過ごさず、一気にイザークの間に入り込む。ギョッとしたイザークの顔を見て、思わずニヤッと笑みを浮かべてしまう。
踏み込んだイザークの足を軽く払うと、イザークの重心がぐっと前に流れた。その瞬間に、イザークの剣を強く弾くと、体勢を崩し膝をついた。すぐに立ちあがろうとするイザークに向けて、剣を突き出す。
「あなたの負けです」
その言葉にイザークの顔がみるみると赤くなる。そして、こちらを睨みつけた。
「俺は、まだ負けていない!」
イザークは地面の砂を手に取るとこちらに向かって投げつけ、その間に体勢を整えた。紳士の決闘としては少し卑劣なイザークの行動だが、負けたくないのは私も同じだ。
最後は意地と意地のぶつかり合いだった。
剣のぶつかり合う音が何度も響き渡り、そして、一番甲高い音を最後に消えた。
膝をついたイザークの手に剣はなかった。
「私の勝ちです」
ワッと闘技場の観衆が声を上げ、勝者の名前を叫んだ。イザークは肩で息をしながら呆然とした顔で剣のない手を見つめていた。
その手にそっと白い布を手渡す。
「これで汗を拭って下さい」
エスタリア家の家紋が入った白い手袋を渡すと、イザークは悔しそうに私を睨みつけた。
勝敗が決まり、近くで見守ってくれていたシャルル兄さんとリエンに視線をむけると、二人とも興奮した様子で抱き合いながら喜んでいた。
どさくさに紛れてシャルル兄さんの体を抱きしめているリエンを、引き剥がしに行こうと二人の方に向かっていると、目の前を剣で塞がれた。
剣を突き出してきた相手は……マチアスだった。
「すまないが、私ともう一戦やってくれないだろうか。エスタリア家の威信をかけてキミと戦いたい」
微笑みかけてくる優しい表情とは裏腹に、マチアスの黄金色の瞳はギラリと強い光を放っていた。
あなたにおすすめの小説
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!一肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
ハッピーエンドのために妹に代わって惚れ薬を飲んだ悪役兄の101回目
カギカッコ「」
BL
ヤられて不幸になる妹のハッピーエンドのため、リバース転生し続けている兄は我が身を犠牲にする。妹が飲むはずだった惚れ薬を代わりに飲んで。
悪役令嬢の兄でしたが、追放後は参謀として騎士たちに囲まれています。- 第1巻 - 婚約破棄と一族追放
大の字だい
BL
王国にその名を轟かせる名門・ブラックウッド公爵家。
嫡男レイモンドは比類なき才知と冷徹な眼差しを持つ若き天才であった。
だが妹リディアナが王太子の許嫁でありながら、王太子が心奪われたのは庶民の少女リーシャ・グレイヴェル。
嫉妬と憎悪が社交界を揺るがす愚行へと繋がり、王宮での婚約破棄、王の御前での一族追放へと至る。
混乱の只中、妹を庇おうとするレイモンドの前に立ちはだかったのは、王国騎士団副団長にしてリーシャの異母兄、ヴィンセント・グレイヴェル。
琥珀の瞳に嗜虐を宿した彼は言う――
「この才を捨てるは惜しい。ゆえに、我が手で飼い馴らそう」
知略と支配欲を秘めた騎士と、没落した宰相家の天才青年。
耽美と背徳の物語が、冷たい鎖と熱い口づけの中で幕を開ける。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。