嫌われ者の俺はやり直しの世界で義弟達にごまをする

赤牙

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【番外編★現在更新中★】ジェイドとリエンのやり直し

ジェイドとリエンのやり直しの人生 〜決闘③〜

 決勝戦。重々しい空気が闘技場を埋め尽くし、互いの名を呼ばれると観衆はワッと声をあげた。
 イザークは気合いを入れ直したのか、マチアスに似せた髪型で登場する。歓声に余裕の表情をみせながら手を振り、私と向き合うと剣先を向けてくる。

「ジェイド。あの時の約束忘れていないだろうな」
「……もちろんです」
「ならいい。俺がシャルルのそばにいる時に、二度とその陰気臭い顔をみせるなよ」

 散々バカにされるが、イザークのことは無視をして剣に集中していく。グリップにぐっと力を込め、大きく深呼吸をすれば頭の中がハッキリとする。
 イザークに視線を向ければ、イザークも緊張した顔をしていた。皆の歓声をうけながら、チラリと見ていた先は……来賓席にいるマチアスだった。
 マチアスがイザークに向ける無言の圧力は、騎士団を率いる侯爵家としてのプライドの高さを感じさせる。

— —イザークが虚勢を張り続けている原因か……

 兄マチアスが優秀であるがゆえに、弟にかかるプレッシャーは大きいのだろう。だからと言って、こちらも負けてやるわけにはいかない。
 売られた喧嘩だ。やるならば徹底的に。
 剣を持ちイザークと向き合うと開始の合図が響き、興奮した観客の声が場内を包み込む。
 先に動いたのはイザークだった。
 無駄のない動きで、真っ直ぐに剣先を突き出してくる。それを交わすと、イザークはまた同じように剣を振るう。
 交わしながら間を取ると空を切る剣の音は徐々に大きくなり、イザークの苛立ちが伝わってきた。

「— —ッッ! ジェイド逃げるな! 男らしく剣を受け止めろ」
「力で勝てないと分かっている相手の剣を受ければ私が勝てないではありませんか」
「勝てないと分かっているなら、さっさと負けてしまえ!」
「それはできない話ですね」

 イザークがさらに大きく振り上げ隙が生まれる。それを見過ごさず、一気にイザークの間に入り込む。ギョッとしたイザークの顔を見て、思わずニヤッと笑みを浮かべてしまう。
 踏み込んだイザークの足を軽く払うと、イザークの重心がぐっと前に流れた。その瞬間に、イザークの剣を強く弾くと、体勢を崩し膝をついた。すぐに立ちあがろうとするイザークに向けて、剣を突き出す。

「あなたの負けです」

 その言葉にイザークの顔がみるみると赤くなる。そして、こちらを睨みつけた。

「俺は、まだ負けていない!」

 イザークは地面の砂を手に取るとこちらに向かって投げつけ、その間に体勢を整えた。紳士の決闘としては少し卑劣なイザークの行動だが、負けたくないのは私も同じだ。
 最後は意地と意地のぶつかり合いだった。
 剣のぶつかり合う音が何度も響き渡り、そして、一番甲高い音を最後に消えた。
 膝をついたイザークの手に剣はなかった。

「私の勝ちです」

 ワッと闘技場の観衆が声を上げ、勝者の名前を叫んだ。イザークは肩で息をしながら呆然とした顔で剣のない手を見つめていた。
 その手にそっと白い布を手渡す。

「これで汗を拭って下さい」

 エスタリア家の家紋が入った白い手袋を渡すと、イザークは悔しそうに私を睨みつけた。
 勝敗が決まり、近くで見守ってくれていたシャルル兄さんとリエンに視線をむけると、二人とも興奮した様子で抱き合いながら喜んでいた。
 どさくさに紛れてシャルル兄さんの体を抱きしめているリエンを、引き剥がしに行こうと二人の方に向かっていると、目の前を剣で塞がれた。
 剣を突き出してきた相手は……マチアスだった。

「すまないが、私ともう一戦やってくれないだろうか。エスタリア家の威信をかけてキミと戦いたい」
 
 微笑みかけてくる優しい表情とは裏腹に、マチアスの黄金色の瞳はギラリと強い光を放っていた。
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