嫌われ者の俺はやり直しの世界で義弟達にごまをする

赤牙

文字の大きさ
30 / 112
連載

双子の一度目の人生 ②〜アルマンSide〜

コンコン……と、ノックをすると少し時間を置いてシスターから「はい……」と少し疲れた返事が返ってくる。

「シスター、入ります……」

泣き止まないソフィアの手を引いて部屋へと入ると、僕達の姿を見てシスターはハッと息を呑む。

「———ッ!? アルマン……ソフィア……。いつから……」

シスターの姿を見たソフィアは、わっと泣き出してしまい僕も下唇をぐっと噛み涙を我慢する。
シスターは僕達を見るなり傍へと駆け寄ってきてギュッと僕達を抱きしめてくれる。
その温もりに安心感を覚えるが、実の父親から向けられた蔑むような冷めた視線を思い出すと心の中は一気に冷えていく。

「シスター。さっき来ていた人は……僕たちのお父さんなの……?」

僕の言葉にシスターは口をつぐみ俯き考え込むが……しばらくすると重々しく口を開く。

「えぇ……そうよ。貴方達がここに来た本当の理由をいつか話さないといけないと思っていたけれど、今がその時なのかしらね……」

シスターはそう言うと、僕とソフィアがこの孤児院にいる理由を話し始めた。


母さんと父さんの事……。
母さんが僕達の事をどれだけ大切に思い産んだのか……。
僕達の名前の意味……。


そして最後に、シスターは僕達に渡す物があると言って部屋の奥に置いてある棚へと向かい一つの箱を取り出す。
大切に抱えたその箱を僕達の前で開けると銀色のピアスが二つ入っていた。

「これは貴方達のお母さんから預かっていた物よ。大切な物だから貴方達がこのピアスを大切にできる年頃になったら渡そうと思っていたのよ」

そう言ってシスターは僕とソフィアにピアスを一つずつ渡してくれる。

母さんの……ピアス……。

渡されたピアスには小さめなのブルーの宝石がついておりキラリと輝いていた。

「アルマン、綺麗だね……」
「うん。凄く綺麗だ……」
「貴方達のお母さんから聞いた話だけれど……このピアスはお父さんからもらった大切な物でもあるらしいわ」
「そうなんだ……」

母さんが残してくれた大切なピアスが父さんからの贈り物だと思うと少しだけ複雑な気持ちになる。
あの態度や視線……そして投げかけられた言葉を思い出すと父さんと分かっていても恐怖が強くなる。
僕達が思い描いていた『父親』とは、あの人はあまりにもかけ離れていた……。

僕とソフィアが母さんの形見のピアスをじっ……と暗い顔をして見つめ続けていると、シスターは僕達の頭を優しく撫でながら、このピアスの話をしてくれる。

「このピアスの前の持ち主は、領主様の奥様だったみたいよ。貴方達のお父さんはその奥様の弟だったんですって」

突然『領主様』という言葉が飛び出して僕とソフィアは驚いた顔でシスターを見上げる。

「今は領主様もその奥様も亡くなられているけれど、その二人の御子息であるシャルル様に貴方達はよく似ているわ……」
「シャルル……様?僕達はその人に似てるの?」
「えぇ。その綺麗な水色の瞳や黒髪もシャルル様の小さな頃にそっくりよ」
「僕達にそっくりな人……。ねぇシスター。その人は……僕達の家族?」
「そうねぇ、親戚にはあたるから家族なのかしらね」
「そうなんだ……シャルル様は僕達の家族なんだ……」

シスターから教えてもらった父さん以外の『家族』の存在を知り僕はなんだか胸がドキドキした。




夕食を食べ明日の準備を済ませいつものようにソフィアと一緒のベッドへと潜り込めばソフィアがヒソヒソと話しかけてくる。

「ねぇアルマン。シスターの話は本当かな?」
「シャルル様のこと?」
「うん! 私達によく似てるって言ってたけど……」
「どうだろう? 見てみないと分からないよね……」
「そうだよね。アルマンは……シャルル様に会ってみたい?」

ソフィアの質問に僕はドキリとしてしまう。
僕もソフィアに同じ事を聞きたかったから……。

「会って……みたいかも。ソフィアはどう?」
「私も会ってみたい」
「じゃあ、コッソリ会いに行こう」
「うん!」

それからソフィアといつ会いに行くか、どうやってバレないように抜け出すか話し合う。ソフィアとそんな事を話していると怒られる事をしているのに段々と楽しくなってきてしまう。

「シャルル様ってどんな人かな? 僕達と似てる人かぁ……。楽しみだね」
「うん。お父さんは怖い人だったからシャルル様は優しいといいなぁ」
「そうだね……」


僕とソフィアは父さん以外の『家族』の存在に心を躍らせた。

一週間後にシャルル様がいる領主の屋敷を訪ねることに決め僕とソフィアはピアスを開けた。
ソフィアとの初めてのお揃いの物が母さんから譲り受けたピアスなのが嬉しくてピアスを開ける痛みも吹き飛んでしまう。
僕は左耳に、ソフィアは右耳にピアスをつけ鏡を見ながら二人ではしゃいだ。


そして一週間後。

理由をつけて僕とソフィアは孤児院を抜け出しシャルル様の住むお屋敷へと向かった。

感想 513

あなたにおすすめの小説

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!一肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

ハッピーエンドのために妹に代わって惚れ薬を飲んだ悪役兄の101回目

カギカッコ「」
BL
ヤられて不幸になる妹のハッピーエンドのため、リバース転生し続けている兄は我が身を犠牲にする。妹が飲むはずだった惚れ薬を代わりに飲んで。

悪役令嬢の兄でしたが、追放後は参謀として騎士たちに囲まれています。- 第1巻 - 婚約破棄と一族追放

大の字だい
BL
王国にその名を轟かせる名門・ブラックウッド公爵家。 嫡男レイモンドは比類なき才知と冷徹な眼差しを持つ若き天才であった。 だが妹リディアナが王太子の許嫁でありながら、王太子が心奪われたのは庶民の少女リーシャ・グレイヴェル。 嫉妬と憎悪が社交界を揺るがす愚行へと繋がり、王宮での婚約破棄、王の御前での一族追放へと至る。 混乱の只中、妹を庇おうとするレイモンドの前に立ちはだかったのは、王国騎士団副団長にしてリーシャの異母兄、ヴィンセント・グレイヴェル。 琥珀の瞳に嗜虐を宿した彼は言う―― 「この才を捨てるは惜しい。ゆえに、我が手で飼い馴らそう」 知略と支配欲を秘めた騎士と、没落した宰相家の天才青年。 耽美と背徳の物語が、冷たい鎖と熱い口づけの中で幕を開ける。

同性愛者であると言った兄の為(?)の家族会議

海林檎
BL
兄が同性愛者だと家族の前でカミングアウトした。 家族会議の内容がおかしい

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話