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連載
双子の一度目の人生 ④〜アルマンSide〜
「あぁ……お帰りリエン。ほら見てくれよ。シャルル兄さんの代わりがやってきてくれたんだ。アルマンとソフィアだよ。今日から二人は私達の家族だ」
「……ジェイド兄様、もう~何を冗談言ってるの。応接間にお客さんが来ててずっと兄様を待ってたよ」
「……そうか。アルマン、ソフィアすまないが私は仕事をしてくるよ。いい子で待っているんだよ」
『リエン』と呼ばれた男性から声をかけられたジェイド様は僕の頭を撫で部屋を出て行く。
バタン……と、扉が閉まったと同時に緊張の糸が切れた僕はヘタリと床に座り込んでしまう。
怖かった。
ジェイド様のあの目は普通じゃない……。
座り込む僕をソフィアは泣きながら抱きしめ、恐怖で震える手で僕はソフィアの腕をギュッと握りしめる。
「ねぇ……、君達……何者なの?」
座り込む僕達を覆う黒い影と酷く不機嫌な声に僕達はビクンっと肩を揺らす。
視線を合わせるのが怖くて俯いたまま返事をしようとするが上手く声が出ない……。
「返事もできないの? せっかく君達を兄様から逃がしてあげようと思ってるのに」
助けて、くれる……?
その言葉に恐る恐る顔を上げれば、怪しげに輝くジェイド様と同じアメジストの瞳と目が合う。
「うわぁ……。似すぎでしょこれ……。こりゃジェイド兄様が執着するはずだねぇ……」
リエン様はさらにグイッと僕達に近づくとマジマジと顔を見てくる。
「気に食わない顔と……瞳の色……。泣き顔までもそっくりか……。せっかく本人がいなくなったのに……君達がいたらジェイド兄様がまた僕を見なくなるじゃないか……」
リエン様はブツブツと愚痴をこぼしながら最後に大きなため息をつく。
「ほら。君達はどうするの? 家に帰るの? それとも……このままシャルル兄様の代わりをするの?」
リエン様の言葉に僕とソフィアは必死に顔を横にふる。
「お家に……帰り……たいです……」
ソフィアが涙をポロポロと溢しながらそう答えればリエン様はフッ…と口元を綻ばせる。
「ふふ。いい子だね……。僕も君達に残られると困るから帰りたいと言ってくれて嬉しいよ……。さぁ、ジェイド兄様に捕まる前に逃げ出さないと君達は永遠にこの屋敷から出れなくなるよ~」
楽しいゲームでも始まるようにリエン様はニコニコと笑みを浮かべながら僕達にそう告げる。
僕とソフィアはどうにか立ち上がると、手を繋ぎ逃げるように部屋から出て行った……。
どこまでも続くんじゃないかと思う広いお屋敷の長い廊下を二人で小走りで走っていく……。
いつまで経っても辿り着かない出口……。
混乱した僕達にとってこの広いお屋敷は出口のない迷路のように感じた。
リエン様は僕達の後ろをついてきたがお屋敷の中を彷徨う僕達を助けてくれるわけでもなく……迷い困惑する僕達の姿を面白そうに見ていた。
ようやく玄関を見つけた時には安心感で思わず涙が出そうになる。でも、こんなところで泣いてる場合じゃない。
早く孤児院に帰りたい。
シスターや皆のところに……。
扉を開ければ眩しいくらいの夕陽の光。
そして、空一面綺麗な茜色の空が見える。
お屋敷の外へと一歩足を踏み出した時リエン様が僕達に声をかけてくる。
「アルマン、ソフィア。もうここに来ちゃダメだよ。君達は僕達の家にはいらない。ジェイド兄様の家族は僕だけで十分なんだからね……」
ヒラヒラと手を振りながら僕達に笑顔を向けるリエン様の顔は、夕陽に照らされ不気味さを増していた……。
それから僕とソフィアは振り返る事なく必死に孤児院を目指す。
教会が見え……孤児院へと辿り着けばシスターや孤児院の皆が玄関に集まっていた。
そして、僕とソフィアを見るなりシスターは顔をくしゃりと歪め僕達の方に向かってくる。
「もう! どこに行っていたの! 二人がいなくなったって聞いて……心配したのよ!」
シスターは怒っていたが……今はそんな事はどうでもよくて、僕とソフィアはシスターに飛びつくように抱きつく。
「アルマン? ソフィア? どうしたの……?」
「ひぐっ……しすたぁ……ごめんなさい……」
「………ごめん……なさい」
泣きじゃくるソフィアの横で僕もシスターの服に顔を埋めて泣き顔を隠す。
さっきまで怒っていたシスターは僕達の異変に気づいたようで頭を撫でながら優しく声をかけてくれる。
孤児院の皆も僕達を心配するように「大丈夫か?」と、声をかけてくれた。
皆の優しさに包まれると少しずつ安心する……。恐怖でいっぱいだった胸の中はじんわりと温かくなっていった。
きっと……僕とソフィアが求めていた『家族』という存在はこれなんだと今になって気付く。
あの人達は……僕達の家族なんかじゃない……。
血の繋がった父さんやジェイド様、リエン様の顔が浮かび上がると胸がギュッと締め付けられ、また恐怖が襲う。
僕にはソフィアがいる……シスターや孤児院の皆がいる……。
シスターの温かい胸に抱きしめられた僕とソフィアは、それから二度と『家族』を求める事はなかった。
~アルマンSide End~
「……ジェイド兄様、もう~何を冗談言ってるの。応接間にお客さんが来ててずっと兄様を待ってたよ」
「……そうか。アルマン、ソフィアすまないが私は仕事をしてくるよ。いい子で待っているんだよ」
『リエン』と呼ばれた男性から声をかけられたジェイド様は僕の頭を撫で部屋を出て行く。
バタン……と、扉が閉まったと同時に緊張の糸が切れた僕はヘタリと床に座り込んでしまう。
怖かった。
ジェイド様のあの目は普通じゃない……。
座り込む僕をソフィアは泣きながら抱きしめ、恐怖で震える手で僕はソフィアの腕をギュッと握りしめる。
「ねぇ……、君達……何者なの?」
座り込む僕達を覆う黒い影と酷く不機嫌な声に僕達はビクンっと肩を揺らす。
視線を合わせるのが怖くて俯いたまま返事をしようとするが上手く声が出ない……。
「返事もできないの? せっかく君達を兄様から逃がしてあげようと思ってるのに」
助けて、くれる……?
その言葉に恐る恐る顔を上げれば、怪しげに輝くジェイド様と同じアメジストの瞳と目が合う。
「うわぁ……。似すぎでしょこれ……。こりゃジェイド兄様が執着するはずだねぇ……」
リエン様はさらにグイッと僕達に近づくとマジマジと顔を見てくる。
「気に食わない顔と……瞳の色……。泣き顔までもそっくりか……。せっかく本人がいなくなったのに……君達がいたらジェイド兄様がまた僕を見なくなるじゃないか……」
リエン様はブツブツと愚痴をこぼしながら最後に大きなため息をつく。
「ほら。君達はどうするの? 家に帰るの? それとも……このままシャルル兄様の代わりをするの?」
リエン様の言葉に僕とソフィアは必死に顔を横にふる。
「お家に……帰り……たいです……」
ソフィアが涙をポロポロと溢しながらそう答えればリエン様はフッ…と口元を綻ばせる。
「ふふ。いい子だね……。僕も君達に残られると困るから帰りたいと言ってくれて嬉しいよ……。さぁ、ジェイド兄様に捕まる前に逃げ出さないと君達は永遠にこの屋敷から出れなくなるよ~」
楽しいゲームでも始まるようにリエン様はニコニコと笑みを浮かべながら僕達にそう告げる。
僕とソフィアはどうにか立ち上がると、手を繋ぎ逃げるように部屋から出て行った……。
どこまでも続くんじゃないかと思う広いお屋敷の長い廊下を二人で小走りで走っていく……。
いつまで経っても辿り着かない出口……。
混乱した僕達にとってこの広いお屋敷は出口のない迷路のように感じた。
リエン様は僕達の後ろをついてきたがお屋敷の中を彷徨う僕達を助けてくれるわけでもなく……迷い困惑する僕達の姿を面白そうに見ていた。
ようやく玄関を見つけた時には安心感で思わず涙が出そうになる。でも、こんなところで泣いてる場合じゃない。
早く孤児院に帰りたい。
シスターや皆のところに……。
扉を開ければ眩しいくらいの夕陽の光。
そして、空一面綺麗な茜色の空が見える。
お屋敷の外へと一歩足を踏み出した時リエン様が僕達に声をかけてくる。
「アルマン、ソフィア。もうここに来ちゃダメだよ。君達は僕達の家にはいらない。ジェイド兄様の家族は僕だけで十分なんだからね……」
ヒラヒラと手を振りながら僕達に笑顔を向けるリエン様の顔は、夕陽に照らされ不気味さを増していた……。
それから僕とソフィアは振り返る事なく必死に孤児院を目指す。
教会が見え……孤児院へと辿り着けばシスターや孤児院の皆が玄関に集まっていた。
そして、僕とソフィアを見るなりシスターは顔をくしゃりと歪め僕達の方に向かってくる。
「もう! どこに行っていたの! 二人がいなくなったって聞いて……心配したのよ!」
シスターは怒っていたが……今はそんな事はどうでもよくて、僕とソフィアはシスターに飛びつくように抱きつく。
「アルマン? ソフィア? どうしたの……?」
「ひぐっ……しすたぁ……ごめんなさい……」
「………ごめん……なさい」
泣きじゃくるソフィアの横で僕もシスターの服に顔を埋めて泣き顔を隠す。
さっきまで怒っていたシスターは僕達の異変に気づいたようで頭を撫でながら優しく声をかけてくれる。
孤児院の皆も僕達を心配するように「大丈夫か?」と、声をかけてくれた。
皆の優しさに包まれると少しずつ安心する……。恐怖でいっぱいだった胸の中はじんわりと温かくなっていった。
きっと……僕とソフィアが求めていた『家族』という存在はこれなんだと今になって気付く。
あの人達は……僕達の家族なんかじゃない……。
血の繋がった父さんやジェイド様、リエン様の顔が浮かび上がると胸がギュッと締め付けられ、また恐怖が襲う。
僕にはソフィアがいる……シスターや孤児院の皆がいる……。
シスターの温かい胸に抱きしめられた僕とソフィアは、それから二度と『家族』を求める事はなかった。
~アルマンSide End~
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