嫌われ者の俺はやり直しの世界で義弟達にごまをする

赤牙

文字の大きさ
45 / 112
【番外編】二度目の人生 本編番外編

隣国、ミャーム国編 ⑧

ノア王子とマエル国王とともに馬車に乗り込み走ること一時間。
やってきたのは国が管理している森の中だった。
馬車の中では、ノア王子が俺の隣に座り馬車の小窓から見える景色を見て色々と話をしてくれる。

「今から向かう場所は、王家の家族や親しき友人など特別な人だけが入ることを許される場所なんです」
「えっ、そんな場所に私が行っても大丈夫なんですか?」
「はい。シャルル様は僕にとって特別な人ですから」

淡い水色の瞳を輝かせ微笑みかけてくるノア王子。
ノア王子の瞳は、俺を通して亡くなった王妃を思い浮かべているように見える。
でも、王家の許可がおりないと入れない場所って、一体どんな場所なんだろうか……。
俺は少し緊張してしまう。

「シャルル殿、そんなに緊張しなくても大丈夫だよ。向かっている場所は国が管理しているため、私たちの許可がいる場所なだけだから」

柔らかく微笑むマエル国王の言葉に頷くと、ノア王子がそっと手を繋いでくる。
ノア王子に視線を向けると、少し恥ずかしそうにはにかむ。

———手、繋ぎたかったのかな?

可愛らしいノア王子の行動に、俺も口元を綻ばせた。


そして、馬車は青々と茂る木々を掻き分けながら走り続け、開けた場所へ到着する。
馬車から降りると、とても大きな湖が目に入る。
コバルトブルーが広がり、太陽の光を浴びて水面はキラキラと煌めいている。
あまりにも壮大で綺麗な光景に思わず言葉を無くす。

「シャルル様、どうですか? すっごく綺麗でしょ?」
「はい! とても綺麗ですね」

思わずテンションが上がった声で返事をすると、ノア王子も満面の笑みを見せる。

「この場所は、母様のお気に入りの場所だったんです。病気がちだった母様と、元気になったら一緒に行こうねと約束していたんですが……それも叶いませんでした。だから、シャルル様と一緒に来れれば、母様との約束を守れるんじゃないかって思って……」
「ノア王子……」

幼くして母親を亡くした辛さは俺も痛いほど分かる。
俺も、病弱だった母と沢山の約束をした。
約束を交わすことで、母と自分に繋がりができた気がしたっけ……。
悲しげな表情を浮かべる優しい王子の手をぎゅっと握り締める。

「ノア王子の優しさは、きっと天国にいらっしゃるお母様に届いていますよ」
「そうでしょうか……」
「はい。こうやって、ずっと思い続けるだけでも、お母様は喜んでいらっしゃると思いますよ」

ノア王子の瞳は潤み涙が溢れだしてくる。
俺はしゃがみ込み、その涙をハンカチで拭う。

「今日は、お母様との思い出を沢山教えて下さい。そして、お母様と交わした約束を一緒に叶えていきましょう」

王子にそう伝えると、くしゃりと顔を歪め抱きついてくる。

「シャルル……様……。ありがとう……ございます……」

震える王子の背中に手を回し、俺も王子を抱きしめる。胸元で啜り泣く、小さな王子の背中を撫でていると、マエル国王がこちらに近寄り王子に声をかける。

「ノア、大丈夫か?」
「ぐす……はい、大丈夫、です」

王子は涙を手の甲で拭い、国王へと視線を向ける。
国王はしゃがみ込むと、ノア王子の頭を撫でる。

「私も、ノアとレシスが交わした約束のお手伝いをさせてくれないか?」
「……父様、いいんですか?」
「あぁ、もちろんだ。シャルル殿と一緒に、ノアの願いを叶えさせてくれ」

そう言うと、マエル国王は長い腕を伸ばし俺ごと王子を抱きしめる。
ノア王子を挟んで、国王の腕が俺を包み込み、一瞬ドキリとしてしまう。
国王と目が合えば、眉を下げ優しく笑いかけてくる。

———これは、ノア王子を思って抱きしめているんだよな……?

少しドキッとしてしまったが、俺と国王に挟まれたノア王子のはじける笑顔を見れば、小さな疑問は打ち消された。

感想 513

あなたにおすすめの小説

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!一肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

ハッピーエンドのために妹に代わって惚れ薬を飲んだ悪役兄の101回目

カギカッコ「」
BL
ヤられて不幸になる妹のハッピーエンドのため、リバース転生し続けている兄は我が身を犠牲にする。妹が飲むはずだった惚れ薬を代わりに飲んで。

悪役令嬢の兄でしたが、追放後は参謀として騎士たちに囲まれています。- 第1巻 - 婚約破棄と一族追放

大の字だい
BL
王国にその名を轟かせる名門・ブラックウッド公爵家。 嫡男レイモンドは比類なき才知と冷徹な眼差しを持つ若き天才であった。 だが妹リディアナが王太子の許嫁でありながら、王太子が心奪われたのは庶民の少女リーシャ・グレイヴェル。 嫉妬と憎悪が社交界を揺るがす愚行へと繋がり、王宮での婚約破棄、王の御前での一族追放へと至る。 混乱の只中、妹を庇おうとするレイモンドの前に立ちはだかったのは、王国騎士団副団長にしてリーシャの異母兄、ヴィンセント・グレイヴェル。 琥珀の瞳に嗜虐を宿した彼は言う―― 「この才を捨てるは惜しい。ゆえに、我が手で飼い馴らそう」 知略と支配欲を秘めた騎士と、没落した宰相家の天才青年。 耽美と背徳の物語が、冷たい鎖と熱い口づけの中で幕を開ける。

同性愛者であると言った兄の為(?)の家族会議

海林檎
BL
兄が同性愛者だと家族の前でカミングアウトした。 家族会議の内容がおかしい

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話