111 / 182
本章
91話:イケメン騎士団長の日常 ⑧ 〜Sideアルク〜
しおりを挟む~アルクSide~
急いでカオルくんのいる宿へと向かうと軍服を着たままの僕を見て受付のドルンさんは驚いた表情で見てくる。
「アルクさん…そんなに急いでどうしたんですか…?」
「カオルくんは…部屋にいますか?」
「あぁ、いると思いますよ。エルと一緒に帰ってきていたから…。でも、体調が悪いみたいでエルに抱きかかえられていたから今は寝ているかも…」
「……そうですか。少し顔を見てきます」
エル…
確かカオルくんが最近買った奴隷の名前だったな…。
カオルくんが抱きかかえられていたとドルンさんは言っていたが…やはりあの部屋にいたのはカオルくんだったのだろうか…。
嫌な予感がしながら僕はカオルくんの部屋へと向かい深呼吸をしてドアをノックする。
しばらくするとドアが開き、カオルくんではなく狼の半獣人が僕の目の前に現れる。
「ハイ。ナンデスカ?」
「あ…。カオルくんは…?」
「アルジハ…ネテル」
部屋の奥ではベッドで寝ているカオルくんの姿が見える。
その姿を見て僕は少しホッとした…
しかし…事実を確認しないと…
「なぁエルくん…。カオルくんは…娼館の講習会に行っていたのかい?」
「……ナンデシッテル?」
僕の質問にエルは目を細めて警戒するようにギロっと睨みつけてくる。
「僕はその講習会の事件を調査していてね…。奴隷にされそうになった娼夫があと2人見つからないんだ…。フィウスと…カオル。カオルくんはもしかして…奴隷にされそうになっていたんじゃないか?エルくんがカオルくんを助けたのかい?」
「……ウン」
「そう…か…」
なんとなくそんな気はしていたが…事実を知ってしまうと、あんな非道な事をしていた娼館の奴らに怒りが湧いてくる。
だが、今はそれよりもカオルくんの状態が知りたい。
眠っているようだが…本当に大丈夫なのだろうか…。
「中に入っても…いいかな?カオルくんの様子を確認したいんだ…」
「……アナタハ、アルジノナニ?」
「僕は…カオルくんの…」
カオルくんにとって僕は一体何なんだろうか…。
ただの客…いやそれ以上なんだと思いたい…
「僕はカオルくんの友人だよ。頼むからカオルくんの様子を見せて欲しい…。」
「……ワカッタ」
僕が必死に頼むとエルは僕の匂いをスンスンと嗅いでドアから離れ僕を部屋へと入れてくれる。
ベッドでスヤスヤと眠るカオルくん…。
首には娼夫達がつけていた物と同じ首輪がついていた。
その首輪を見ると、あの会場にいた娼夫達の姿を重ねてしまう。
皆、泣きじゃくり…怯えていた…
「カオルくん…怖かったよね…」
僕はカオルくんの首につけられた首輪に触れながらカオルくんの寝顔を見つめる。
「ソレ…ハズレナイ…」
エルはそう言うと忌々しそうに首輪を睨みつけていた。
奴隷用の首輪は簡単に外れないように装着者が魔力を流し首輪を固定している。
服従の契約等をしていない首輪は装着者が注いだ魔力が切れれば外れるようになる。
まだカオルくんは契約は結んでいないので数日後には外れるだろう。
「この首輪は魔力が切れれば外れるから。多分、2~3日後くらいかな…」
「ホント!ヨカッタ!」
エルは首輪が外れると聞くと嬉しそうに尻尾を揺らしていた。
「ところでエルくん。もう一人いたフィウスって名前の人の事は知ってる?」
「シッテル。フィウス、セシリオト、イッショ。」
「えっと…セシリオって人が助けに来たって事なのかな?」
「ウン」
エルはぶんぶんと首を縦に振る。
詳しく聞くとフィウスもセシリオもカオルくん達の知り合いだったようだ。
「なぁエルくん。カオルくんの目が覚めたら…また会いにくると伝えてくれる?」
「ワカッタ。……ナマエハ?」
「アルクだよ」
エルは了承した。と、頷いてくれる。
僕は眠るカオルくんの頬を撫でおデコにキスをして部屋から出ていく。
本当は僕が付き添ってあげたいけれど…僕にはやらなきゃいけない事がある。
急いで来た道を戻り、あの会場へと向かう。
カオルくんをこんな目に合わせた奴らは絶対に許さない…
104
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
ハッピーエンドのために妹に代わって惚れ薬を飲んだ悪役兄の101回目
カギカッコ「」
BL
ヤられて不幸になる妹のハッピーエンドのため、リバース転生し続けている兄は我が身を犠牲にする。妹が飲むはずだった惚れ薬を代わりに飲んで。
主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。
お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた
やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。
俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。
独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。
好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け
ムーンライトノベルズにも掲載しています。
挿絵をchat gptに作成してもらいました(*'▽'*)
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる