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本章
129話:イケメン護衛の事情 ① 〜ランスSide〜
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「ランス。明日から極秘の任務についてもらいたい」
突然クリストファー王子から極秘任務があると告げられ何か大きな問題が生じたのかと緊張が走る。
「何か問題ですか…?」
「あぁ…。これはランスにしか頼めない事なんだ…」
「私にだけ…?」
クリストファー王子が私に頼み事をする時はプライベートな事が多い。最近では、アルク騎士団長の足止めをして欲しいと無茶な事を言われ、困り果てた私は無理矢理手合わせをお願いしに行ったことがある…。
極秘任務と言っていたが内容はなんなのか…
「離れの塔に私の大事な人を住まわせているのは知っているな」
「はい」
「その人の話し相手と護衛をランスに任せたい」
「話し相手…ですか…」
クリストファー王子のまさかの任務内容に私は内心ハァ…とため息をつく。護衛だけならまだしも、話し下手な私に話し相手など務まるのだろうか…。
しかも相手は王子の『大事な人』…つまり婚約者という事だろう。
ここ最近クリストファー王子が離れの塔に匿うように誰かを住まわせているのは知っていた。警護についている近衛騎士の間では『謎の美少年』だと密かに噂されているのを聞いたことがある。
そんな人物の話し相手か…。
だが…こんなにも醜い私が護衛についても大丈夫なのだろうか…?
断ることなどできない私は「分かりました」と、返事をして王子の極秘任務に就くことになった。
✳︎
翌日、クリストファー王子に連れられ離れの塔へと入り部屋へ通される。
部屋の中には黒髪の小柄な少年が突然現れた私を見て驚いた顔をしていた…。
噂通りの美少年に私も思わず緊張してしまう。
つぶらな瞳でこちらを見上げる少年に挨拶をするとペコリと頭を下げてくれる。
……可愛い。
思わず口元が緩みそうになるのを必死に堪えていると、クリストファー王子が説明し始める。
「今日からカオルの護衛と話し相手をしてもらう予定なんだけど…どうかな?」
「え!?あ、あのぉ…」
言葉を濁す少年に『断らないでくれ!』と念を飛ばす勢いで見つめると、なんとか了承してくれた。
カオル様はグレイス魔導師団長の研究の手伝いをしながら、それ以外はこの離れの塔の部屋で過ごされている。
何を話したらいいのか…カオル様を前にすると緊張してしまい話を広げられない日々…。
そんな私にカオル様は毎日話しかけてくれるが、簡単な返事しか返せないので会話は数分…。
その後はベッドの上で可愛らしくゴロゴロしている。
退屈な時間を過ごさせてしまっている事は分かっているのだが…どうしてもカオル様の前だと緊張してしまい『そうですね』『特には』と、簡単な返事しか返す事ができない…。
そう思っているとカオル様は私を気遣ってくれたのか仕事の話やクリストファー王子の話題を振ってくれる。
何故だか普段よりも話しやすくカオル様も私の話を聞きながら可愛らしく微笑んでくれる。
途中、私の護衛を断られそうになり思わず強い口調で護衛を続ける意志を伝えてしまう。
醜い者に…ましてや話し相手にもならない私の護衛など嫌かもしれないが…私はカオル様の護衛を誰かに譲る気にはなれなかった。
「…カオル様は私が傍にいるのは嫌ですか?」
私の突然の質問にカオル様は困った顔を見せる。
困らせてしまった事を少し後悔するが、カオル様の本音が聞きたかった。
「嫌じゃないですよ…。ただ…」
「ただ…?」
「もう少し笑ってくれると嬉しいです…」
笑う…?
こんな醜い顔の笑顔が見たいのか?
カオル様の顔を見れば冗談を言っている訳でもないし、ましてや嫌味でもない…。
「分かりました。善処します」
そう言って慣れない笑顔を作りカオル様に顔を向けるとクスっと微笑まれる。
……可愛い。可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い
あの時の笑顔は本当に愛らしく…私の頭の中はカオル様の笑顔で埋めつくされ、顔に出さないように必死に隠し通した。
それからカオル様は私に対して少し心を開いてくれる。以前は私がいる前で眠る事など無かったのに、最近は無防備な寝顔をよく見せてくれる。
寝相の悪いカオル様は掛け物をよく蹴飛ばすのでお腹が冷えないようにそっと掛け直す。
間近でスヤスヤと眠るカオル様の寝顔は天使のように愛らしい…。
私はこの可愛らしい人を必ず護り通すと心の中で誓った。
そう誓ったはずなのに……あの日、私は過ちを犯してしまった。
突然クリストファー王子から極秘任務があると告げられ何か大きな問題が生じたのかと緊張が走る。
「何か問題ですか…?」
「あぁ…。これはランスにしか頼めない事なんだ…」
「私にだけ…?」
クリストファー王子が私に頼み事をする時はプライベートな事が多い。最近では、アルク騎士団長の足止めをして欲しいと無茶な事を言われ、困り果てた私は無理矢理手合わせをお願いしに行ったことがある…。
極秘任務と言っていたが内容はなんなのか…
「離れの塔に私の大事な人を住まわせているのは知っているな」
「はい」
「その人の話し相手と護衛をランスに任せたい」
「話し相手…ですか…」
クリストファー王子のまさかの任務内容に私は内心ハァ…とため息をつく。護衛だけならまだしも、話し下手な私に話し相手など務まるのだろうか…。
しかも相手は王子の『大事な人』…つまり婚約者という事だろう。
ここ最近クリストファー王子が離れの塔に匿うように誰かを住まわせているのは知っていた。警護についている近衛騎士の間では『謎の美少年』だと密かに噂されているのを聞いたことがある。
そんな人物の話し相手か…。
だが…こんなにも醜い私が護衛についても大丈夫なのだろうか…?
断ることなどできない私は「分かりました」と、返事をして王子の極秘任務に就くことになった。
✳︎
翌日、クリストファー王子に連れられ離れの塔へと入り部屋へ通される。
部屋の中には黒髪の小柄な少年が突然現れた私を見て驚いた顔をしていた…。
噂通りの美少年に私も思わず緊張してしまう。
つぶらな瞳でこちらを見上げる少年に挨拶をするとペコリと頭を下げてくれる。
……可愛い。
思わず口元が緩みそうになるのを必死に堪えていると、クリストファー王子が説明し始める。
「今日からカオルの護衛と話し相手をしてもらう予定なんだけど…どうかな?」
「え!?あ、あのぉ…」
言葉を濁す少年に『断らないでくれ!』と念を飛ばす勢いで見つめると、なんとか了承してくれた。
カオル様はグレイス魔導師団長の研究の手伝いをしながら、それ以外はこの離れの塔の部屋で過ごされている。
何を話したらいいのか…カオル様を前にすると緊張してしまい話を広げられない日々…。
そんな私にカオル様は毎日話しかけてくれるが、簡単な返事しか返せないので会話は数分…。
その後はベッドの上で可愛らしくゴロゴロしている。
退屈な時間を過ごさせてしまっている事は分かっているのだが…どうしてもカオル様の前だと緊張してしまい『そうですね』『特には』と、簡単な返事しか返す事ができない…。
そう思っているとカオル様は私を気遣ってくれたのか仕事の話やクリストファー王子の話題を振ってくれる。
何故だか普段よりも話しやすくカオル様も私の話を聞きながら可愛らしく微笑んでくれる。
途中、私の護衛を断られそうになり思わず強い口調で護衛を続ける意志を伝えてしまう。
醜い者に…ましてや話し相手にもならない私の護衛など嫌かもしれないが…私はカオル様の護衛を誰かに譲る気にはなれなかった。
「…カオル様は私が傍にいるのは嫌ですか?」
私の突然の質問にカオル様は困った顔を見せる。
困らせてしまった事を少し後悔するが、カオル様の本音が聞きたかった。
「嫌じゃないですよ…。ただ…」
「ただ…?」
「もう少し笑ってくれると嬉しいです…」
笑う…?
こんな醜い顔の笑顔が見たいのか?
カオル様の顔を見れば冗談を言っている訳でもないし、ましてや嫌味でもない…。
「分かりました。善処します」
そう言って慣れない笑顔を作りカオル様に顔を向けるとクスっと微笑まれる。
……可愛い。可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い
あの時の笑顔は本当に愛らしく…私の頭の中はカオル様の笑顔で埋めつくされ、顔に出さないように必死に隠し通した。
それからカオル様は私に対して少し心を開いてくれる。以前は私がいる前で眠る事など無かったのに、最近は無防備な寝顔をよく見せてくれる。
寝相の悪いカオル様は掛け物をよく蹴飛ばすのでお腹が冷えないようにそっと掛け直す。
間近でスヤスヤと眠るカオル様の寝顔は天使のように愛らしい…。
私はこの可愛らしい人を必ず護り通すと心の中で誓った。
そう誓ったはずなのに……あの日、私は過ちを犯してしまった。
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