人が消えた世界で

赤牙

文字の大きさ
53 / 55
第二章

1話

しおりを挟む
月日が経つのは早くて……あれからあっという間に4年も過ぎた。

19歳になった僕は相変わらずアストさんと一緒にお屋敷で過ごしている。変わったところと言えば…ガイルさんとイザベラさんの仕事を少し手伝うようになった事だ。
表立った事はできないので、保管してある資料や書類の整理をしたりしている。
もちろんアストさんも一緒だ。

仕事が終われば温室で二人で過ごして夜も一緒に眠っている…。
そんな幸せな日々をずっと過ごしている。


ソルとルナは、この4年で外見はすっかり変わった。

ソルは身長も体格も大きくなって、今では剣術の腕前もアストさんに引けを取らない。
学園でもソルは一番強いらしく、今後は学園を卒業したら騎士団を目指していくと意気込んでいた。
今の一番の悩みは、ガイルさんにそっくりな赤髪が少し癖っ毛がでてきてピョコピョコ跳ねるのが嫌らしく毎朝鏡の前で髪の毛と格闘している。


ルナは身長が伸びスラリとした綺麗な女性に成長している。イザベラさんと同じサラサラと煌めく金色の髪は胸の辺りまで伸びていた。
勉強も魔術も成績は常にトップで、才色兼備とはルナの為にある言葉だと僕は思っている。

しかし、ルナはイザベラさんに似て魔力が強いので最近二人は魔力制御の特訓を頻繁にしている。
ルナも12歳……。
アストさんが13歳で凶獣化したのを考えると、まだ気は抜けないと言っていた……。



「なぁソル。最近ルナの調子はどうなんだ? なんだか最近……元気がないみたいだけど…」

ソルの部屋で二人で過ごしている時にルナの事が気になって質問するとソルは、ん~…と少し考える。

「きっと今度ある魔術の試験が気になってるのかも……」
「試験…?」
「うん。実践方式の試験でさ学園にあるどデカい森の中で実際に攻撃魔術とかを使ってみる試験なんだ。ただ……それがチームを組んでやるんだけど、ルナのチームが弱い奴らばっかだから悩んでんのかなぁ~」
「へぇ~! そんな試験もあるんだね。でも、ルナは責任感も強いし負けず嫌いだから…確かに悩んでるかもね…」
「そうなんだよ! そのチーム編成もタイマンじゃルナに勝てない奴らが、ルナに勝とうとして無理矢理押し付けたような形だからさぁ…」

ソルは口を尖らせながらブツブツと文句を言う。
でも……確かにルナに勝てないからと言ってそんなやり方は酷いな…。

「それは少し酷いね……。ルナも責任感じて無理しなければいいけど…。」
「そこは大丈夫! 俺も同じチームだから、何かあったら俺がルナを助けるからさっ!」
「え? ソルは同じなの?」
「うん。だって俺は父さんに似て魔力は少ないし魔術のセンスもないからダメダメなんだよ~」

ソルはそう言いながら肩をすくめ苦笑いする。

「でも、ソルが一緒だとルナも安心できると思うよ。多分今は……凶獣化の事も不安に思ってるだろうし…」
「大丈夫大丈夫! ルナはすげー努力してるし才能もあるから。魔力の暴走だって起こした事ないし……それに今は凶獣化を抑える為の道具だっていいのがあるから…ルナは凶獣化なんてしない! それに母さんもついてるから!」
「そうだね。ルナ頑張ってるもんね」

僕がそう言うと、ソルはうんうんと何故か誇らしげに頷いた。


もしもルナが凶獣化してしまったら……

そんな考えが一瞬浮かんでしまうが、頭を振って消し去る。

大丈夫……。ルナはあんなに頑張っているんだから……。
しおりを挟む
感想 34

あなたにおすすめの小説

寂しいを分け与えた

こじらせた処女
BL
 いつものように家に帰ったら、母さんが居なかった。最初は何か厄介ごとに巻き込まれたのかと思ったが、部屋が荒れた形跡もないからそうではないらしい。米も、味噌も、指輪も着物も全部が綺麗になくなっていて、代わりに手紙が置いてあった。  昔の恋人が帰ってきた、だからその人の故郷に行く、と。いくらガキの俺でも分かる。俺は捨てられたってことだ。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

あなたの隣で初めての恋を知る

彩矢
BL
5歳のときバス事故で両親を失った四季。足に大怪我を負い車椅子での生活を余儀なくされる。しらさぎが丘養護施設で育ち、高校卒業後、施設を出て一人暮らしをはじめる。 その日暮らしの苦しい生活でも決して明るさを失わない四季。 そんなある日、突然の雷雨に身の危険を感じ、雨宿りするためにあるマンションの駐車場に避難する四季。そこで、運命の出会いをすることに。 一回りも年上の彼に一目惚れされ溺愛される四季。 初めての恋に戸惑いつつも四季は、やがて彼を愛するようになる。 表紙絵は絵師のkaworineさんに描いていただきました。

飼われる側って案外良いらしい。

なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。 向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。 「まあ何も変わらない、はず…」 ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。 ほんとに。ほんとうに。 紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22) ブラック企業で働く最下層の男。顔立ちは悪くないが、不摂生で見る影もない。 変化を嫌い、現状維持を好む。 タルア=ミース(347) 職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。 最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…? 2025/09/12 ★1000 Thank_You!!

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

たとえば、俺が幸せになってもいいのなら

夜月るな
BL
全てを1人で抱え込む高校生の少年が、誰かに頼り甘えることを覚えていくまでの物語――― 父を目の前で亡くし、母に突き放され、たった一人寄り添ってくれた兄もいなくなっていまった。 弟を守り、罪悪感も自責の念もたった1人で抱える新谷 律の心が、少しずつほぐれていく。 助けてほしいと言葉にする権利すらないと笑う少年が、救われるまでのお話。

処理中です...