悪役令嬢ポジションが俺で、回復魔法がキスな件!?

ろいず

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プロローグ

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 姉という存在は、弟である立場からしたら『絶対的な権力者』といえるだろう。俺の経験上は、姉イコール悪魔である。
 そんな姉のお楽しみが乙女ゲームだった。
 しかも、スマートフォンやパソコンで出来てしまうタイプのもので、課金システムありのものだったわけだ。
 俺の姉は「課金はしたくない! が、全ての攻略対象とのエンディングが見たい!」だったのだが……大人しく一人ずつエンディングを見るかというと、答えは違う。
 猫撫で声には副音声付きで「一緒にゲームやろうよ」(お前も協力しなさいよ)だった。
 そんなゲーム嫌だ! と、騒いだところで俺のスマートフォンとノートパソコンには、インストールされて可愛らしいヒロインのアイコンマークが表示されていた。
 大学で使うのですけど? これ、大学で……と言うと、姉はニッコリ笑顔で言い放つ。

「アンインストールしたら、お前をアンインストールしてやるから」
 (アンインストールしたら、お前をこの世から消してやるから)

 この世から消す前提である。
 これだから姉という生き物は、弟にとっては天敵なのだ。
 しかし、俺はこの時、姉によって無理やらされた乙女ゲームが、自分の転生先になるなんて思ってもみなかったし、普通はそうだろう。
 だってさ、悪役令嬢のポジションが俺になるなんて、誰が思いつくだろうか?
 普通は攻略対象のヒーロー側か、転生したら女性でしかも悪役令嬢でした……とかなら、話が少しは分かるけど、悪役令息は無いだろ。

 しかもだ。

 このゲームのタイトル『野バラのkissで貴方を癒す』という通称『野ギス』は、その題名通り。
 悪役令嬢とヒロインは、回復魔法が使える上に、その方法がキスなのだ。
 冗談じゃない! 自分が二十歳であっけなくこの世を去ったのも混乱しているのに、転生した先が乙女ゲームの中、しかも何が悲しくて男にキスして回復役なんぞしなきゃいけないんだ? 俺が浮かばれない!
 酷すぎるし、あんまりだ。こんな嫌がらせは姉だけにしてくれ! そう叫ばずにはいられない。
 悪役令嬢と瓜二つの顔を鏡で眺め、頭を抱えたフェルミナ・ドロッセル四歳の誕生日だった。
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