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二章 学園生活
クロームとミナ
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……やれやれ。困ったな。
ヒロインも大変なのだと、お嬢様がたに意地悪をされること一週間にして、しみじみ思った。
上半身をずぶ濡れにしてな。
授業が終わるから、使った乳鉢を水で洗っていたところ、上からバケツで水を掛けられた。
もう、これはそろそろ怒っていいかな? ブチ切れるべきじゃないかと思い始めた。
ただね、相手は女の子。
叱り方が分からないんだよな。
「貴女、今日もわたくしたちの忠告を無視して、ヒルクス様たちとお昼を!!」
「それだけじゃありませんわ! ディオン殿下まで誘惑してましたわね!」
「平民の貴女は、水で頭を冷やすことが一番ですわ!」
くすくすと笑う彼女らを、俺は舌打ちした。
全体的に、これは攻略対象と仲の良い平民許せないわー。しめてやるわー的な、物だと思うんだよ。
本来なら、フェルミナが思って行動することを、彼女らはしているわけで、ゲームの強制力で行っている事なら、フェルミナが行動していない時点で、彼女たちに汚点は無かったのだろう。
普通のモブだったはずだ。
俺の舌打ちに後退ったアリシャを睨みつける。
「ハァー……」
「な、なんですの! 貴女、本当に生意気でしてよ!」
これは遠慮なく叱ってもいいんじゃないだろうか? 今なら俺も女の格好だし、女同士ならやれるか?
俺がぐるぐる考えているうちに、他の生徒が近付いてきたため、彼女たちは逃げてしまった。
「俺、情けなー……」
でも、仕方がない。
俺は姉に虐げられて育っていたので、基本的に女の子がやる事は受け流すことにしている。
そして、喧嘩はほぼした事が無い。
だって、姉に抵抗しようものなら、サンドバッグにされてボロ雑巾にされていたからね。
上半身はずぶ濡れ状態で、歩いているうちに靴にまで水が入ってきて、ガッポガッポ音がして……なんというか、泣きたくなった。
ローファーのコツコツ音が昔を思い出させていただけに、何故だか切なくなってしまったのだ。
ぐすっと俯きながら歩いて鼻水を啜ると、後ろからバサッと白い物が被せられた。
手に握ると、白い布でどこかで見た布だなと思った。
「こんな時期に水浴びとは、酔狂だな。風邪をひいてしまうぞ」
この声は聞いてはいけない声で、俺がこんな事になった原因では__?
顔を上げると、褐色の肌に黒髪の竜人クロームが、自分の私服の民族衣装の白い布を俺に被せていたわけだ。
「うん? 余のナイスガイさに見惚れてしまったのか? いいぞ。余の妃になるか?」
「ならないよ!」
「おぅ。元気ではないか」
「元気だよ! ったく、まぁ、でも布はありがと」
お礼に鼻水付きで返してやる……とは、流石に人としてダメなので、洗って返そう。
会いたくはないが、少しだけ許してやらない事も無い、キスの事は許さないけどな。
あれだ。心が弱った時に優しくされて、少しだけ絆された的なやつだ。
クロームはニコニコと俺の横を一緒に歩いて、風魔法を使って水を乾かしてくれたりと、チュートリアル用攻略者なだけあって、親切設定。
「理由は分からないが、早く片が付くと良いな」
「ソウデスネー……」
クロームが俺を探さなければ、すぐにでも解決するんだけどな! とも言えない。
なんかクロームの中でフェルミナは、『俺の嫁』状態で国にお持ち帰りするのだ! と、息巻いているらしいから、流石にそれは遠慮したいし、なんでだよ! と不思議で仕方がないんだよな。
ちびドラゴン助けただけなのに……って、こいつの中では、王座を巡る争いをちびドラゴン回復で王手を掛けたものだから、回復術師の俺を妃に持ち帰りたいのは、ゲームでも一緒だ。
「余も兄上や弟たちからは、同じような事をされていたからな。あまり気負うな」
「ふーん。あのさ、そう思うなら、式典の時に問題行動したのはなんでだよ? あれはどうみても、これと似た部類だろ」
「いや、あれは……感極まってだな。ああ、でも相手は余を避けまわっているらしいから、会う事も出来ないし、お礼も言えていないな」
感極まっていきなり人にキスするとか、お前は行動と言動が一致しない何かなの!?
ジト目でクロームを睨みつけると、「彼女には悪い事をしてしまった」と、深い溜め息を吐く。
「え? 彼女?」
「ああ。なんとか名前だけは判明したのだが、全然会えないのだ。君はフェルミナという女性を知らないか?」
やっぱり一瞬だったから、性別まで判明していないとは……こいつ、まさかのポンコツなのでは……?
普通にフェルミナまで名前が分かれば、男だっていう事も分かりそうなんだけど。
藪蛇になりそうだから、俺はあえてこの藪を突くまい。
「余はクローム・ハドスン。竜人国の第三王子だ」
「……ミナ。どこにでもいる、普通の人間」
少しぶっきらぼうに俺が答えると、クロームは俺の頭をガシガシと撫でて「よろしくな。ミナ」と言った。
キスさえなければ、こいつは攻略対象でチャラくても良い奴ではあるのだ。
明日と明後日は休校のため、週明けに布を返すと言って、クロームとは別れた。
とりあえず、明日から休みだし、久々にルカリオンと一日部屋で過ごそう。
疲れた心と体を癒してもらおう。きっとルカリオンなら、甘やかしてくれるに違いない。
ヒロインも大変なのだと、お嬢様がたに意地悪をされること一週間にして、しみじみ思った。
上半身をずぶ濡れにしてな。
授業が終わるから、使った乳鉢を水で洗っていたところ、上からバケツで水を掛けられた。
もう、これはそろそろ怒っていいかな? ブチ切れるべきじゃないかと思い始めた。
ただね、相手は女の子。
叱り方が分からないんだよな。
「貴女、今日もわたくしたちの忠告を無視して、ヒルクス様たちとお昼を!!」
「それだけじゃありませんわ! ディオン殿下まで誘惑してましたわね!」
「平民の貴女は、水で頭を冷やすことが一番ですわ!」
くすくすと笑う彼女らを、俺は舌打ちした。
全体的に、これは攻略対象と仲の良い平民許せないわー。しめてやるわー的な、物だと思うんだよ。
本来なら、フェルミナが思って行動することを、彼女らはしているわけで、ゲームの強制力で行っている事なら、フェルミナが行動していない時点で、彼女たちに汚点は無かったのだろう。
普通のモブだったはずだ。
俺の舌打ちに後退ったアリシャを睨みつける。
「ハァー……」
「な、なんですの! 貴女、本当に生意気でしてよ!」
これは遠慮なく叱ってもいいんじゃないだろうか? 今なら俺も女の格好だし、女同士ならやれるか?
俺がぐるぐる考えているうちに、他の生徒が近付いてきたため、彼女たちは逃げてしまった。
「俺、情けなー……」
でも、仕方がない。
俺は姉に虐げられて育っていたので、基本的に女の子がやる事は受け流すことにしている。
そして、喧嘩はほぼした事が無い。
だって、姉に抵抗しようものなら、サンドバッグにされてボロ雑巾にされていたからね。
上半身はずぶ濡れ状態で、歩いているうちに靴にまで水が入ってきて、ガッポガッポ音がして……なんというか、泣きたくなった。
ローファーのコツコツ音が昔を思い出させていただけに、何故だか切なくなってしまったのだ。
ぐすっと俯きながら歩いて鼻水を啜ると、後ろからバサッと白い物が被せられた。
手に握ると、白い布でどこかで見た布だなと思った。
「こんな時期に水浴びとは、酔狂だな。風邪をひいてしまうぞ」
この声は聞いてはいけない声で、俺がこんな事になった原因では__?
顔を上げると、褐色の肌に黒髪の竜人クロームが、自分の私服の民族衣装の白い布を俺に被せていたわけだ。
「うん? 余のナイスガイさに見惚れてしまったのか? いいぞ。余の妃になるか?」
「ならないよ!」
「おぅ。元気ではないか」
「元気だよ! ったく、まぁ、でも布はありがと」
お礼に鼻水付きで返してやる……とは、流石に人としてダメなので、洗って返そう。
会いたくはないが、少しだけ許してやらない事も無い、キスの事は許さないけどな。
あれだ。心が弱った時に優しくされて、少しだけ絆された的なやつだ。
クロームはニコニコと俺の横を一緒に歩いて、風魔法を使って水を乾かしてくれたりと、チュートリアル用攻略者なだけあって、親切設定。
「理由は分からないが、早く片が付くと良いな」
「ソウデスネー……」
クロームが俺を探さなければ、すぐにでも解決するんだけどな! とも言えない。
なんかクロームの中でフェルミナは、『俺の嫁』状態で国にお持ち帰りするのだ! と、息巻いているらしいから、流石にそれは遠慮したいし、なんでだよ! と不思議で仕方がないんだよな。
ちびドラゴン助けただけなのに……って、こいつの中では、王座を巡る争いをちびドラゴン回復で王手を掛けたものだから、回復術師の俺を妃に持ち帰りたいのは、ゲームでも一緒だ。
「余も兄上や弟たちからは、同じような事をされていたからな。あまり気負うな」
「ふーん。あのさ、そう思うなら、式典の時に問題行動したのはなんでだよ? あれはどうみても、これと似た部類だろ」
「いや、あれは……感極まってだな。ああ、でも相手は余を避けまわっているらしいから、会う事も出来ないし、お礼も言えていないな」
感極まっていきなり人にキスするとか、お前は行動と言動が一致しない何かなの!?
ジト目でクロームを睨みつけると、「彼女には悪い事をしてしまった」と、深い溜め息を吐く。
「え? 彼女?」
「ああ。なんとか名前だけは判明したのだが、全然会えないのだ。君はフェルミナという女性を知らないか?」
やっぱり一瞬だったから、性別まで判明していないとは……こいつ、まさかのポンコツなのでは……?
普通にフェルミナまで名前が分かれば、男だっていう事も分かりそうなんだけど。
藪蛇になりそうだから、俺はあえてこの藪を突くまい。
「余はクローム・ハドスン。竜人国の第三王子だ」
「……ミナ。どこにでもいる、普通の人間」
少しぶっきらぼうに俺が答えると、クロームは俺の頭をガシガシと撫でて「よろしくな。ミナ」と言った。
キスさえなければ、こいつは攻略対象でチャラくても良い奴ではあるのだ。
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