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9章
父子と従者
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感動の再会が果たされたのは、温泉大陸【刻狼亭】旅館『蝋燭の間』にて。
「3年間心配していました。父上がご無事で良かった」
「イルもエスタークも無事で安心しましたよ」
テルトワイトがイルマールを抱きしめながら微笑んで、優しくイルマールの頭を撫でつけ片耳の無くなった場所に手を当てて眉を下げて「私の可愛い子。大変でしたね」と小さく声を震わせると、イルマールが涙を溜めた目で笑って首を振る。
「おれはエスタークやここの人達に助けてもらって、こうして父上やダリドアに会えただけで今までの大変さなんて忘れました」
「イルは知らない間に大人になりましたね」
「父上と離れてから3年経ってしまいましたからね」
「いえ、精神的に、です。イルが良い子に成長してくれて嬉しいですよ」
「父上にそう言ってもらえるなら自分に自信が持てます」
照れた笑い方でイルマールがテルトワイトの腕の中で顔を埋めて肩を震わせている後ろで、エスタークとダリドアも小さく拳と拳を合わせて「お疲れさん」と小さく笑い合う。
「コホコホッ、あ、ごめんなさい。ゆっくりしてくださいね」
テルトワイト達を部屋に案内した朱里が口を手で押さえて、慌てて部屋を出て廊下に出る。
少し震える手で腕輪に魔力を通し、ルーファスの声を待つ。
『アカリ、どうした?テルトワイト達を部屋に送ったところか?』
「ええ。それなんだけど、テルトワイトさんか、ダリドアさんのどちらかが何か病気を持っているかもしれないの。直ぐに特殊ポーションを持ってきて、あと、ハガネと子供達にもポーションを飲ませて」
『わかった。アカリは大丈夫か?』
「コホッ、少しなら大丈夫。早く子供達とハガネにポーションをお願い。ケホッ」
『直ぐに行くから、その場にいろ!』
「うん。あとは任せます」
ハァ・・・と、朱里が息を吐きフロントロビーでタンタンの水槽に指を入れてから来ればよかったと少しだけ後悔した。
聖域の体が何かを取り入れてしまった事を自分の体が訴えた事で知り、自分が接触した人間は子供達とハガネ以外には居なかったはずだと思い出しながら、廊下に座り込む。
「悪い病気じゃないと、いいな・・・ケホッ」
ありすが居れば何とか回復はするだろうという楽観的な事も思うが、急激な体調の変化に不安は募る。
この体の急激な嫌な感じは竜人国に連れていかれて瘴気が体に入り込んだ時に似ていると、ボンヤリ思いながら廊下の壁に背を持たれて、肺から息を吐けば鉄錆びた味が口の中にする。
「ケホッ、ケホッ・・・ッ」
着物の袖で口を押えると赤い染みが広がる。
「血・・・?あんまり、良い物じゃないかも・・・」
テルトワイトやイルマールにも特殊ポーションを飲ませないと駄目だなぁ・・・。
ああ、船を使ったなら船を降りた人達にも配らないと温泉大陸に病気が蔓延するかもしれない。と、朱里が思った後でルーファスなら直ぐにその考えに行きつくから心配しなくても大丈夫だと、目を閉じる。
暗い水の中に吸い込まれる様に意識が沈んでいくと、耳元で騒がしく言葉が聞こえる。
『呪われてしまえ!』
『ドラゴンは呪われてしまえ!』
ああ、これはドラゴンを呪う呪詛だ。
病気じゃなくて呪詛なら、接触した人だけが感染する・・・と、言う事はダリドアさんに肩を掴まれたからダリドアさんが呪詛に蝕まれてる。
エスタークさんにも触っていたし、目が覚めたら教えなきゃいけない。
ハガネはこれよりも酷い呪詛を浴びていたんだから凄い我慢強いなぁ。
ササマキちゃんも我慢強い子だなぁ。
うん。私はこれは無理かな?体中痛い・・・。
それにしても、体が焼けるみたいに熱くて痛い。
うるさい声も呪われろと騒がしいまま。
ルーファスが直ぐに来ると言っていたから、直ぐにありすさんの特殊ポーションで解呪してもらえると思うんだけど、時間かかってるのかな?
それとも、数分なのにこんなに長く感じてしまっているんだろうか?
目の前が白く霧が掛かってくると、暗闇から辺りは白い霧だけになる。
これは覚えがある。以前、死にかけた時に着た場所だ。
「もしかして、私、死にかけてる?」
不味い。
確かに急激な体調の悪さは感じたけど、早すぎる。
辺りを見回し、以前見た灯りが無いか探す。
「嫌だ!まだ、死にたくない!まだ・・・子供達が居るのにっ!」
必死に走り始めて、灯りを探しては道のない道を走る。
「ルーファス・・・急いで!私、まだ・・・」
ズシリと重りを引きずる様に体が重くなる。
自分の手を見れば、ハガネが呪詛に蝕まれた時の様に黒く変色している。
腕が重い・・・。
足が重い・・・。
「歩かなきゃ・・・立ち止まったら、駄目」
重い足を一歩踏み出せば『呪われろ!』と声がする。
「うるさい・・・っ」
『呪われてしまえ!』
「うるさい!私は、呪われたりなんかしない!」
『ドラゴンは呪われればいい!』
「うるさい!うちのドラゴン達は良い子達なのよ!」
『ドラゴンなんて愛されない!』
「愛してるわよ!私は家族だと思ってるもの!」
アルビーもグリムレインもネルフィームも出会ったドラゴン達は私の家族だと胸を張って言える。だから呪わせてなんてやらないし、私が居る限り呪いを自分の血を使ってでも解呪してやる!だから、絶対、死ぬもんか!
手を伸ばして力を振り絞ると、何かを手に掴んだ。
「3年間心配していました。父上がご無事で良かった」
「イルもエスタークも無事で安心しましたよ」
テルトワイトがイルマールを抱きしめながら微笑んで、優しくイルマールの頭を撫でつけ片耳の無くなった場所に手を当てて眉を下げて「私の可愛い子。大変でしたね」と小さく声を震わせると、イルマールが涙を溜めた目で笑って首を振る。
「おれはエスタークやここの人達に助けてもらって、こうして父上やダリドアに会えただけで今までの大変さなんて忘れました」
「イルは知らない間に大人になりましたね」
「父上と離れてから3年経ってしまいましたからね」
「いえ、精神的に、です。イルが良い子に成長してくれて嬉しいですよ」
「父上にそう言ってもらえるなら自分に自信が持てます」
照れた笑い方でイルマールがテルトワイトの腕の中で顔を埋めて肩を震わせている後ろで、エスタークとダリドアも小さく拳と拳を合わせて「お疲れさん」と小さく笑い合う。
「コホコホッ、あ、ごめんなさい。ゆっくりしてくださいね」
テルトワイト達を部屋に案内した朱里が口を手で押さえて、慌てて部屋を出て廊下に出る。
少し震える手で腕輪に魔力を通し、ルーファスの声を待つ。
『アカリ、どうした?テルトワイト達を部屋に送ったところか?』
「ええ。それなんだけど、テルトワイトさんか、ダリドアさんのどちらかが何か病気を持っているかもしれないの。直ぐに特殊ポーションを持ってきて、あと、ハガネと子供達にもポーションを飲ませて」
『わかった。アカリは大丈夫か?』
「コホッ、少しなら大丈夫。早く子供達とハガネにポーションをお願い。ケホッ」
『直ぐに行くから、その場にいろ!』
「うん。あとは任せます」
ハァ・・・と、朱里が息を吐きフロントロビーでタンタンの水槽に指を入れてから来ればよかったと少しだけ後悔した。
聖域の体が何かを取り入れてしまった事を自分の体が訴えた事で知り、自分が接触した人間は子供達とハガネ以外には居なかったはずだと思い出しながら、廊下に座り込む。
「悪い病気じゃないと、いいな・・・ケホッ」
ありすが居れば何とか回復はするだろうという楽観的な事も思うが、急激な体調の変化に不安は募る。
この体の急激な嫌な感じは竜人国に連れていかれて瘴気が体に入り込んだ時に似ていると、ボンヤリ思いながら廊下の壁に背を持たれて、肺から息を吐けば鉄錆びた味が口の中にする。
「ケホッ、ケホッ・・・ッ」
着物の袖で口を押えると赤い染みが広がる。
「血・・・?あんまり、良い物じゃないかも・・・」
テルトワイトやイルマールにも特殊ポーションを飲ませないと駄目だなぁ・・・。
ああ、船を使ったなら船を降りた人達にも配らないと温泉大陸に病気が蔓延するかもしれない。と、朱里が思った後でルーファスなら直ぐにその考えに行きつくから心配しなくても大丈夫だと、目を閉じる。
暗い水の中に吸い込まれる様に意識が沈んでいくと、耳元で騒がしく言葉が聞こえる。
『呪われてしまえ!』
『ドラゴンは呪われてしまえ!』
ああ、これはドラゴンを呪う呪詛だ。
病気じゃなくて呪詛なら、接触した人だけが感染する・・・と、言う事はダリドアさんに肩を掴まれたからダリドアさんが呪詛に蝕まれてる。
エスタークさんにも触っていたし、目が覚めたら教えなきゃいけない。
ハガネはこれよりも酷い呪詛を浴びていたんだから凄い我慢強いなぁ。
ササマキちゃんも我慢強い子だなぁ。
うん。私はこれは無理かな?体中痛い・・・。
それにしても、体が焼けるみたいに熱くて痛い。
うるさい声も呪われろと騒がしいまま。
ルーファスが直ぐに来ると言っていたから、直ぐにありすさんの特殊ポーションで解呪してもらえると思うんだけど、時間かかってるのかな?
それとも、数分なのにこんなに長く感じてしまっているんだろうか?
目の前が白く霧が掛かってくると、暗闇から辺りは白い霧だけになる。
これは覚えがある。以前、死にかけた時に着た場所だ。
「もしかして、私、死にかけてる?」
不味い。
確かに急激な体調の悪さは感じたけど、早すぎる。
辺りを見回し、以前見た灯りが無いか探す。
「嫌だ!まだ、死にたくない!まだ・・・子供達が居るのにっ!」
必死に走り始めて、灯りを探しては道のない道を走る。
「ルーファス・・・急いで!私、まだ・・・」
ズシリと重りを引きずる様に体が重くなる。
自分の手を見れば、ハガネが呪詛に蝕まれた時の様に黒く変色している。
腕が重い・・・。
足が重い・・・。
「歩かなきゃ・・・立ち止まったら、駄目」
重い足を一歩踏み出せば『呪われろ!』と声がする。
「うるさい・・・っ」
『呪われてしまえ!』
「うるさい!私は、呪われたりなんかしない!」
『ドラゴンは呪われればいい!』
「うるさい!うちのドラゴン達は良い子達なのよ!」
『ドラゴンなんて愛されない!』
「愛してるわよ!私は家族だと思ってるもの!」
アルビーもグリムレインもネルフィームも出会ったドラゴン達は私の家族だと胸を張って言える。だから呪わせてなんてやらないし、私が居る限り呪いを自分の血を使ってでも解呪してやる!だから、絶対、死ぬもんか!
手を伸ばして力を振り絞ると、何かを手に掴んだ。
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