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15章
美味しいを探して⑥
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連れて、逃げる___?
シュトラールが首を傾げると、ヴェールお化けの少女は小さく首を振って、小さくまた、すんすんと泣きながら、「ごめんなさい」と言う。
「迷惑、ですね・・・ごめんなさい。人を、呼んでください・・・」
泣いている少女を見ているだけで胸がチクチクズキズキ痛んで、シュトラールも泣きたくなる。
この子を連れて逃げたら、この子は笑ってくれる?
酷い事をした自分に笑ってくれるだろうか?
笑って欲しい。
この子が、笑ってくれるなら____。
手を少女に伸ばした、その時。
「おい。誰か居るかー!?」
人の声に、シュトラールも少女もビクッとして、シュトラールが伸ばした手を引っ込め様とすると、少女の小さな手がシュトラールの手を掴む。
この手を、離したくない。
少女を抱き上げると、ザックに跨ってシュトラールは元来た道を走り出す。
腕の中の少女の温かさに胸が締め付けられる。
誰にも取られたくない。
ああ、これが『番』なんだー・・・。
自覚すると胸の痛さは『恋』という物だろうか?と首を傾げる。
でも、罪悪感かもしれない。
少女の足を切断してしまった・・・他に方法があったかもしれない。
ごめんね、痛かったよね、ごめんね。
シュトラールは何度も心の中で謝りながら、もし、少女が許してくれるなら、何でもするのにと、思わずにはいられない。
「泣いて、いるの?」
少女の声にシュトラールは自分が泣いていることに気付く。
「あれ?おかしいな。ごめんね」
「あの、助けてくれて、ありがとう」
シュトラールはその言葉に胸がギュッとしてまた目から涙がポロポロ溢れ出る。
「泣かないで。貴方が泣いていると、胸が痛い・・・どうしてかな」
「ごめんね。オレ、いつもは笑ってるんだけどな。本当だよ?」
ヴェールの下の口元が笑った気がして、触れたいと思ってしまう。
ヴェールに手を掛けると、少女が手で払う。
「嫌っ!やめて!」
「あ・・・っ、ごめん」
ガタガタと震える少女に、シュトラールは再び自分は許されてはいない事に気付く。
ありがとうの言葉で許された気がしていたけれど、そうではない。
それに、この子の着ていたドレスは真っ白なウェディングドレスだった。
女の子の夢の様なドレスを自分が破いてしまった。ヴェールはその最後の砦の様なものかもしれない。
鎖で足を繋がれていた理由は解らないけど、この子は自分の物にはならないのだと、他人の物だと思うと、ズキリと胸が痛む。
この子には酷い事ばかりしてしまっている。
それでも、連れて逃げてという言葉に縋ってしまった。
「ザック、停まって」
ザックがゆっくりと足踏みをしながら停まる。
シュトラールが涙を拭くと、少女に笑いかける。
「この先に街があるんだけど、そこに君を連れて行けばいいのかな?ドレスの弁償もしたいから、先に服を買うって事で良いかな?」
「え・・・連れて、逃げてはくれない、の?」
「・・・オレが連れて逃げていいの?」
「迷惑、ですね・・・ごめんなさい」
「ううん。オレ君が望むならどこにだって連れて逃げるよ!」
ザァ・・・ッと風が吹いて、ヴェールが風に攫われると、そこに少女の笑顔があった。
「か・・・可愛い」
「あ・・・っ、見ないで!私を、見ないで!」
頬を染めるシュトラールとは対照的に、少女は蒼白な顔で必死に両手で自分の顔を隠す。
ガタガタと震えながら、泣き出して「見ないで」と繰り返す。
薄い銀糸の髪は透き通ると虹色を帯びた紫色にも見える。
瞳の色は桃色から薄紫のグラデーションの綺麗な目をしていた。
「君は凄く可愛いのに、自分の姿を好きじゃないの?」
シュトラールの声に少女がビクッとして頷く。
「私は、醜い、化け物だもの・・・」
「そんな事ない!オレは君が綺麗で可愛いと思う!」
シュトラールの言葉に少女の目から涙が溢れてすんすんと泣き始める。
「皆、私を化け物と言ったわ!私は綺麗でも可愛くも無い!」
「そんな奴らはオレは知らない!でもオレは君が好きだよ!凄く綺麗で可愛いよ!」
すんすんと泣く少女に元気になって欲しい。
どうすればいいんだろう?こんなに綺麗で可愛いのに、どうしてこの子はそんな事を言われていたの?と、シュトラールの頭の中は不思議でいっぱいになる。
「オレ、本当に君の事好きだよ。笑って欲しい」
父上は母上に何をしたら笑って貰ってただろう?
母上が少しでも拗ねると父上は母上にいっぱいキスをしてたけど、母上には順序立てて女の子とは付き合いなさいって言われてるし・・・でも、笑って欲しい。
じっと少女を見つめるシュトラールに少女が泣くのを止めてシュトラールを見つめると、シュトラールの瞳の中の自分と目が合う。目を伏せると、顔に何かが近付き、唇が塞がれる。
目を開けると、シュトラールの顔が目の前にあり、唇は甘くて胸がキュッと痛くなる。
ドキドキする、これは何だろう?口に広がる甘さが頭の芯を痺れさせている様に何も考えられなくなり、お互いに甘さだけを求めて繰り返しキスをする。
これがキスだと少女が気付いた時、この目の前の青年から香る香りと口の中の甘さに自分の『番』だと気付く。
ああ、だから、この青年は私を、綺麗で可愛いと言うのか。
その事に気付いて、少女の目から涙が流れて行った。
シュトラールが首を傾げると、ヴェールお化けの少女は小さく首を振って、小さくまた、すんすんと泣きながら、「ごめんなさい」と言う。
「迷惑、ですね・・・ごめんなさい。人を、呼んでください・・・」
泣いている少女を見ているだけで胸がチクチクズキズキ痛んで、シュトラールも泣きたくなる。
この子を連れて逃げたら、この子は笑ってくれる?
酷い事をした自分に笑ってくれるだろうか?
笑って欲しい。
この子が、笑ってくれるなら____。
手を少女に伸ばした、その時。
「おい。誰か居るかー!?」
人の声に、シュトラールも少女もビクッとして、シュトラールが伸ばした手を引っ込め様とすると、少女の小さな手がシュトラールの手を掴む。
この手を、離したくない。
少女を抱き上げると、ザックに跨ってシュトラールは元来た道を走り出す。
腕の中の少女の温かさに胸が締め付けられる。
誰にも取られたくない。
ああ、これが『番』なんだー・・・。
自覚すると胸の痛さは『恋』という物だろうか?と首を傾げる。
でも、罪悪感かもしれない。
少女の足を切断してしまった・・・他に方法があったかもしれない。
ごめんね、痛かったよね、ごめんね。
シュトラールは何度も心の中で謝りながら、もし、少女が許してくれるなら、何でもするのにと、思わずにはいられない。
「泣いて、いるの?」
少女の声にシュトラールは自分が泣いていることに気付く。
「あれ?おかしいな。ごめんね」
「あの、助けてくれて、ありがとう」
シュトラールはその言葉に胸がギュッとしてまた目から涙がポロポロ溢れ出る。
「泣かないで。貴方が泣いていると、胸が痛い・・・どうしてかな」
「ごめんね。オレ、いつもは笑ってるんだけどな。本当だよ?」
ヴェールの下の口元が笑った気がして、触れたいと思ってしまう。
ヴェールに手を掛けると、少女が手で払う。
「嫌っ!やめて!」
「あ・・・っ、ごめん」
ガタガタと震える少女に、シュトラールは再び自分は許されてはいない事に気付く。
ありがとうの言葉で許された気がしていたけれど、そうではない。
それに、この子の着ていたドレスは真っ白なウェディングドレスだった。
女の子の夢の様なドレスを自分が破いてしまった。ヴェールはその最後の砦の様なものかもしれない。
鎖で足を繋がれていた理由は解らないけど、この子は自分の物にはならないのだと、他人の物だと思うと、ズキリと胸が痛む。
この子には酷い事ばかりしてしまっている。
それでも、連れて逃げてという言葉に縋ってしまった。
「ザック、停まって」
ザックがゆっくりと足踏みをしながら停まる。
シュトラールが涙を拭くと、少女に笑いかける。
「この先に街があるんだけど、そこに君を連れて行けばいいのかな?ドレスの弁償もしたいから、先に服を買うって事で良いかな?」
「え・・・連れて、逃げてはくれない、の?」
「・・・オレが連れて逃げていいの?」
「迷惑、ですね・・・ごめんなさい」
「ううん。オレ君が望むならどこにだって連れて逃げるよ!」
ザァ・・・ッと風が吹いて、ヴェールが風に攫われると、そこに少女の笑顔があった。
「か・・・可愛い」
「あ・・・っ、見ないで!私を、見ないで!」
頬を染めるシュトラールとは対照的に、少女は蒼白な顔で必死に両手で自分の顔を隠す。
ガタガタと震えながら、泣き出して「見ないで」と繰り返す。
薄い銀糸の髪は透き通ると虹色を帯びた紫色にも見える。
瞳の色は桃色から薄紫のグラデーションの綺麗な目をしていた。
「君は凄く可愛いのに、自分の姿を好きじゃないの?」
シュトラールの声に少女がビクッとして頷く。
「私は、醜い、化け物だもの・・・」
「そんな事ない!オレは君が綺麗で可愛いと思う!」
シュトラールの言葉に少女の目から涙が溢れてすんすんと泣き始める。
「皆、私を化け物と言ったわ!私は綺麗でも可愛くも無い!」
「そんな奴らはオレは知らない!でもオレは君が好きだよ!凄く綺麗で可愛いよ!」
すんすんと泣く少女に元気になって欲しい。
どうすればいいんだろう?こんなに綺麗で可愛いのに、どうしてこの子はそんな事を言われていたの?と、シュトラールの頭の中は不思議でいっぱいになる。
「オレ、本当に君の事好きだよ。笑って欲しい」
父上は母上に何をしたら笑って貰ってただろう?
母上が少しでも拗ねると父上は母上にいっぱいキスをしてたけど、母上には順序立てて女の子とは付き合いなさいって言われてるし・・・でも、笑って欲しい。
じっと少女を見つめるシュトラールに少女が泣くのを止めてシュトラールを見つめると、シュトラールの瞳の中の自分と目が合う。目を伏せると、顔に何かが近付き、唇が塞がれる。
目を開けると、シュトラールの顔が目の前にあり、唇は甘くて胸がキュッと痛くなる。
ドキドキする、これは何だろう?口に広がる甘さが頭の芯を痺れさせている様に何も考えられなくなり、お互いに甘さだけを求めて繰り返しキスをする。
これがキスだと少女が気付いた時、この目の前の青年から香る香りと口の中の甘さに自分の『番』だと気付く。
ああ、だから、この青年は私を、綺麗で可愛いと言うのか。
その事に気付いて、少女の目から涙が流れて行った。
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